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医療政策会議報告書 (23 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 2 章:最近の社会情勢と医療政策の課題

図表 3

要となってくる。今後の疾病構造の変化を考えると、軽

かし、新しい時代を展望する時ほど、変化する側面、変

度な急性期患者にどこで対応するのかという点が大きな

化しなければならない側面と変化しない側面、変化させ

ポイントになるが、その点も含めて、集約すべき機能と

てはならない側面を見極める冷静さが不可欠である。と

分散すべき機能の線引きも一律的ではなく、地域の実情

りわけ、
「守成は創業より難し」とも言われるように、守

に応じながら、そのバランスを構築する必要がある。

るべきものを守り、受け継いでいくことの方が遥かに難

また、決して忘れてならないのは、コロナ禍が終わっ

しい場合も少なくない。医療政策において堅持すべきも

た後も、日本社会は少子高齢化・人口減少という中長期

のの筆頭は、国民皆保険であろう。本稿でも強調したよ

的な人口動態から逃れられない点だ。医療ニーズの変化

うに、社会の不安定性が増している今日だからこそ、
「必

に対応した医療提供体制の見直しという要請自体はコロ

要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」

ナ禍を経ても本質的に変わることはない。むしろ、2040

という国民皆保険の基本的理念を揺るがせてはならない。

年を展望すると、人口動態の局面は高齢者の急増から人

同時に、医療システム全体を守るためにこそ、変わら

口減少の加速へと変化するため、医療提供体制改革の必

なければならない点も多い。本稿では、有事にも対応で

要性はますます高まる。
コロナ禍の教訓も踏まえながら、

きる余裕と柔軟性を平時から確保するためにも、高度で

地域ごとに有効に機能する医療機関の役割分担と連携の

専門的な診療密度の高い医療の集約化を中心として、医

体制を構築していく必要がある。

療提供体制改革の必要性について論じた。これまで議論
されてきた大きな方向性を踏襲しながらも、コロナ禍の

おわりに

教訓を踏まえ、さらには欠落していた視点を補った上で、

何事においても、時代の移り変わりに応じて変化して

より現実的な形で軌道修正を加えることにより、医療提

いくことは不可欠であり、医療政策も例外ではない。し

供体制改革を加速していくことが求められる。

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