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医療政策会議報告書 (25 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/010622.html
出典情報 医療政策会議報告書 公表(4/20)《日本医師会》
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第 3 章:日本の医療政策、そのベクトルをパンデミックの渦中に考える

図表 2 医療制度の変化の方向性Ⅱ

出所:『医療年金問題の考え方――再分配政策の政治経済学Ⅲ』(2006)、89 頁
図表 2

図表 3 ホメオスタット機構(サーモスタットの例)

出所:『医療年金問題の考え方――再分配政策の政治経済学Ⅲ』(2006)、84 頁
図表 3

しないように、制度のほうが変えられていく動きがでて

(恒常性)を備えているとして、彼の社会システム論を構

くる。ニューハウスの医療制度は内生的であるという仮

築した。

説は、そういう意味をもつ。

サーモスタットの場合、データとは周りの空気である。
たとえば室内温度を 24 度に設定した場合、周りの空気が

内生的医療制度と医療費

それを超えると、恒常性を保とうとするサーモスタット

もう少し、制度が内生的であるということを考えてみ

機構が起動し始める。

よう。制度の内生性を理解するためには、ホメオスタッ

医療政策では、データのところに保険料率があると考

ト機構の代表例であるサーモスタット(温度を調整する

えれば理解しやすい。所得の伸びよりも医療費の伸びが

ための装置)の構造を概観するのがよいであろう。ホメ

大きくなろうとすると保険料率が上がる圧力がかかるこ

オスタットとは、生命体が絶えず内外の諸変化にさらさ

とになる。そうすると、
「情報伝達部」に位置するメディ

れながら、形態的状態や生理的状態を一定の安定した範

アなどいろいろなところが、財源調達者、費用負担者た

囲内に保ち、個体としての生存を維持しようとする性質

ちを支持する情報伝達を開始する。

である。このようなホメオスタシス(恒常性)を乱すよ

逆も成立して、所得がどんどん伸びているときには、

うな<変化>を<情報>として受け取った場合に、その

医療費が伸びても保険料率の上昇はさほど必要ないため

<変化>を打ち消すような指令を与える<負のフィード

に、医療費の伸びは世の中の関心事ではなくなってくる。

バック>を備えた体系がホメオスタット機構である。社

そうしたホメオスタット機構の中で、医療制度は形成さ

会学者パーソンズは、社会がこのようなホメオスタシス

れていく(図表 3)


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