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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 3 呼吸器症状へのアプローチ

4.フォローアップすべき所見・症状
呼吸器系の罹患後症状としては,呼吸困難・息苦しさ,咳などが主であり,これらが遷延す
ることが多く,明らかな呼吸器・循環器疾患が認められない場合も少なくない.また,特発性
肺線維症などの基礎疾患のある患者では,既存の間質性肺炎などが急性増悪し,このため症状
が重篤化することもあるので注意が必要である.
遷延する労作時の呼吸困難で,通常の CT 検査や肺機能検査で異常がない場合,肺血栓塞栓
症を念頭に検査を行うことも重要である.急性期は軽症であった例において,より重度の肺血
栓塞栓症や疲労感・倦怠感がみられたとの海外の報告もある.

5.プライマリケアにおけるマネジメント
問診や身体所見で鑑別診断を絞り込むことになる.急性期から継続する呼吸困難や咳で,検
査に異常もない場合は注意深く経過観察する.悪化傾向がある場合は,遷延した間質性肺炎,
器質化肺炎,心不全などを除外する.突然の悪化は肺血栓塞栓症や気胸・縦郭気腫を疑う.また,
虚血性心疾患や通常の細菌性肺炎,誤嚥性肺炎などの場合もある.身体所見,検査所見におい
て異常所見が認められず,器質的疾患を疑わない場合は,うつ・不安症などを鑑別し,必要に
応じて適切な医療機関への紹介を検討する.
基本的な検査としては,動脈血液ガスあるいは経皮的酸素飽和度測定,胸部単純写真,心電
図検査,血液検査(CBC,BNP,CPK,D ダイマーを含む)があげられる.なお,先に述べ
たように胸部 CT を撮影した場合は,中等症以上で退院 3 カ月経過しても,半数以上にすりガ
ラス陰影を中心とした異常所見が残存しているため注意する.

6.専門医・拠点病院への紹介の目安・タイミング
かかりつけ医による対症療法などによっても 3 ~ 6 カ月以上症状が持続する場合は,呼吸器
専門医への紹介を検討する.一方で,身体所見や検査所見に大きな異常がある場合,画像所見
の判断に迷う場合,さらに新たに,あるいは突然の息苦しさの出現や,悪化傾向がある場合な
どは早期に治療を要することもあるため,早い段階での専門医の受診を勧める.

7.専門医・拠点病院でのマネジメント
まずは,病態の把握と原因精査のために,動脈血液ガス,肺機能検査(DLco を含む)
,6 分間
歩行試験など運動能や労作時低酸素血症の把握,
HRCT 画像により鑑別診断を行う.場合によっ
ては喀痰検査,心エコー図検査,造影 CT 検査や血管造影を行う.肺炎,心不全,虚血性心疾患,
肺血栓塞栓症などの場合は,それぞれの疾患に対する治療を行う.遷延性の肺機能障害がみら
れる場合は,気管支肺胞洗浄や経気管支的肺生検による原因精査が必要な場合もある.器質化
肺炎に対しては全身性ステロイド薬が有効である.

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