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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (45 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
11
別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 11 罹患後症状に対するリハビリテーション
罹患後症状に対するリハビリテーション
1.はじめに
リハビリテーションは,COVID-19 のさまざまな急性期,亜急性期の症状および罹患後症状
に対して実施され,症状改善に効果的であることが示されている.罹患後症状としてみられる
息切れや筋力低下に対しては,主にエキスパートオピニオンをベースとしたいくつかのガイド
ラインやコンセンサスステートメントで,有酸素運動,呼吸練習,下肢筋力増強,バランス練習,
日常生活指導などのリハビリテーションの実施が推奨されている.また,酸素投与の既往があ
る症例では開始時にモニタリングを実施し,低強度の運動(3METs 以下)から開始すること,
運動後の酸素化の低下,心不全や肺高血圧症,深部静脈血栓症などのリスクを伴うケースでは
専門家へのコンサルテーションのうえで実施することが推奨されている.
疲労感・倦怠感も罹患後症状のなかで頻度の高い症状の一つとして報告されている.疲労感・
倦怠感は呼吸器疾患において呼吸機能や運動耐容能と関連してみられることもあり,その場
合には呼吸リハビリテーションが効果的であることが報告されている.しかし,罹患後症状と
しての疲労感・倦怠感は,呼吸器症状とは独立した症状として報告されることが多く,そのよ
うな症状に対しての運動負荷は症状を悪化させる場合があることから,介入としてはまず個々
の症状に合わせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが複数のガイドラ
インにおいて推奨されている.運動療法も症状を改善する可能性があるが,適切なモニタリン
グのもとで実施することが勧められる. 特に労作後の症状悪化(Post-exertional symptom
exacerbation;PESE)がみられる場合には,運動療法の実施は避け,上記のような活動量や
環境の調整を注意深く実施することに加え,症状に対するセルフマネジメントについての指導
を行うことが推奨されている.
2.科学的知見
Cochrane Rehabilitation が定期的にまとめている COVID-19 に関する介入に関する Rapid
living systematic review(https://rehabilitation.cochrane.org/covid-19/reh-coverrapid-living-systematic-reviews;最終更新は 2021 年 12 月)によると,これまでに,罹患
後症状に対しては 2 つのランダム化比較試験(RCT)の実施が報告されている.
1 つは,急性期治療が終了し退院した COVID-19 患者に対して行われた呼吸リハビリテー
ション(遠隔指導と自主練習によるプログラム)の効果をみたもので,呼吸法の指導と有酸素
運動,下肢筋力増強の組み合わせを中心とした運動指導が,運動耐容能および筋力の改善に効
果的であったことが報告されている.
また,もう 1 つは COVID-19 罹患後のサルコペニアに対する低強度と高強度の有酸素運動
の効果を比較したもので,低強度のプログラムの方が筋力,運動恐怖および QOL においてよ
り大きな改善効果を得たことが報告されている.また,RCT 以外ではコントロール群のない介
入前後比較試験において,呼吸リハビリテーションの自主練習プログラムの実施後の運動耐容
能の改善,運動課題(カゴにボールを投げる,物を持って狭い通路を歩くなど)と認知課題(カ
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 11 罹患後症状に対するリハビリテーション
罹患後症状に対するリハビリテーション
1.はじめに
リハビリテーションは,COVID-19 のさまざまな急性期,亜急性期の症状および罹患後症状
に対して実施され,症状改善に効果的であることが示されている.罹患後症状としてみられる
息切れや筋力低下に対しては,主にエキスパートオピニオンをベースとしたいくつかのガイド
ラインやコンセンサスステートメントで,有酸素運動,呼吸練習,下肢筋力増強,バランス練習,
日常生活指導などのリハビリテーションの実施が推奨されている.また,酸素投与の既往があ
る症例では開始時にモニタリングを実施し,低強度の運動(3METs 以下)から開始すること,
運動後の酸素化の低下,心不全や肺高血圧症,深部静脈血栓症などのリスクを伴うケースでは
専門家へのコンサルテーションのうえで実施することが推奨されている.
疲労感・倦怠感も罹患後症状のなかで頻度の高い症状の一つとして報告されている.疲労感・
倦怠感は呼吸器疾患において呼吸機能や運動耐容能と関連してみられることもあり,その場
合には呼吸リハビリテーションが効果的であることが報告されている.しかし,罹患後症状と
しての疲労感・倦怠感は,呼吸器症状とは独立した症状として報告されることが多く,そのよ
うな症状に対しての運動負荷は症状を悪化させる場合があることから,介入としてはまず個々
の症状に合わせた日々の活動内容の調整,環境調整による対応を行うことが複数のガイドラ
インにおいて推奨されている.運動療法も症状を改善する可能性があるが,適切なモニタリン
グのもとで実施することが勧められる. 特に労作後の症状悪化(Post-exertional symptom
exacerbation;PESE)がみられる場合には,運動療法の実施は避け,上記のような活動量や
環境の調整を注意深く実施することに加え,症状に対するセルフマネジメントについての指導
を行うことが推奨されている.
2.科学的知見
Cochrane Rehabilitation が定期的にまとめている COVID-19 に関する介入に関する Rapid
living systematic review(https://rehabilitation.cochrane.org/covid-19/reh-coverrapid-living-systematic-reviews;最終更新は 2021 年 12 月)によると,これまでに,罹患
後症状に対しては 2 つのランダム化比較試験(RCT)の実施が報告されている.
1 つは,急性期治療が終了し退院した COVID-19 患者に対して行われた呼吸リハビリテー
ション(遠隔指導と自主練習によるプログラム)の効果をみたもので,呼吸法の指導と有酸素
運動,下肢筋力増強の組み合わせを中心とした運動指導が,運動耐容能および筋力の改善に効
果的であったことが報告されている.
また,もう 1 つは COVID-19 罹患後のサルコペニアに対する低強度と高強度の有酸素運動
の効果を比較したもので,低強度のプログラムの方が筋力,運動恐怖および QOL においてよ
り大きな改善効果を得たことが報告されている.また,RCT 以外ではコントロール群のない介
入前後比較試験において,呼吸リハビリテーションの自主練習プログラムの実施後の運動耐容
能の改善,運動課題(カゴにボールを投げる,物を持って狭い通路を歩くなど)と認知課題(カ
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