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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (50 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
12
別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 12 罹患後症状と産業医学的アプローチ
罹患後症状と産業医学的アプローチ
COVID-19 罹患後の医学的管理の目標は,
「罹患前の患者の心身機能と,仕事や学業を含め
生活の質を最適化すること」 である.理想的には,治療者は適切な専門家と相談して,患者の
現在の症状,基本的な医学的および精神的状態,個人または社会的状況と治療目標に基づいて
包括的な管理計画を作成し,治療や療養支援,職場復帰を含むスムーズな社会復帰への支援を
行うことが期待される.
1.COVID-19 罹患後の職場復帰支援の意義
【罹患後症状と職域での課題】
1)罹患後症状に関する基本的な考え方
・罹患後症状は, 数カ月以上続く場合もあるが, 一般的に時間ともに軽快することが多い.し
かし,罹患後症状によって社会生活に大きな制限が生じることがあり,これまで欧米では労働
者の職場復帰が困難であったり,作業時間の短縮が必要であったという報告がある.労働条件
が異なる国や地域では対応が異なる可能性があるが,本邦においても就労継続が困難な労働者
が一定数いると考えられる.罹患後症状を抱えていても罹患前の社会生活に戻られるよう,支援
が必要である.特に,治療者が患者の就業状況に関心をもち,職域連携を念頭において患者の
治療に当たることは,患者の社会的な生活,経済的な安定の面からも重要である.
2)職場復帰時の留意事項
・ 職域連携では,
患者がどのような仕事(デスクワークか現場作業か,
など)をしているか理解し,
復職手順,職場での差別対応,就労継続対応などに留意し,必要な情報を職場に提供する.
・職域で COVID-19 に罹患した可能性がある場合,職場での感染管理や労務管理対応,労働災
害としての手続き(労災申請)等に関して,適切な専門家との連携も考慮する.その場合,職場
内での感染発端者が責められたり不利益取扱いを受けたりしないよう,留意し助言を行う.例
えば,職場復帰時の診断書において,発症後 10 日間経過し,隔離解除となった後は,感染力
がほとんどないことなどを記載してもよい.復帰に際して原則,陰性証明は不要である.
3)労災申請に関する留意事項
・業務に起因して COVID-19 に感染したと認められる場合,また,その症状が持続し(罹患後
症状があり)療養や休業が必要と認められる場合には,労災保険給付の対象となる.なお,精
神障害については,罹患後症状ではなく独立して存在すると考えられる場合には,精神障害の労
災認定基準に基づき判断される.労災の支給・不支給は,主治医等の労災請求書上の診療証明等
を踏まえ労働基準監督署により個別に判断される.主治医の役割は情報提供を含む一次的な判断
であり業務と病気との因果関係の最終的な判断の主体者ではないことに留意し,労働基準監督署
から追加の情報提供を求められた場合には対応する.
・罹患後症状は,一般的には改善が見込まれることから療養補償給付等の対象となると考えられる
が,十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく,症状固定と判断され後遺障害が残存
する場合は,療養補償給付等は終了し,障害補償給付の対象となる.
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 12 罹患後症状と産業医学的アプローチ
罹患後症状と産業医学的アプローチ
COVID-19 罹患後の医学的管理の目標は,
「罹患前の患者の心身機能と,仕事や学業を含め
生活の質を最適化すること」 である.理想的には,治療者は適切な専門家と相談して,患者の
現在の症状,基本的な医学的および精神的状態,個人または社会的状況と治療目標に基づいて
包括的な管理計画を作成し,治療や療養支援,職場復帰を含むスムーズな社会復帰への支援を
行うことが期待される.
1.COVID-19 罹患後の職場復帰支援の意義
【罹患後症状と職域での課題】
1)罹患後症状に関する基本的な考え方
・罹患後症状は, 数カ月以上続く場合もあるが, 一般的に時間ともに軽快することが多い.し
かし,罹患後症状によって社会生活に大きな制限が生じることがあり,これまで欧米では労働
者の職場復帰が困難であったり,作業時間の短縮が必要であったという報告がある.労働条件
が異なる国や地域では対応が異なる可能性があるが,本邦においても就労継続が困難な労働者
が一定数いると考えられる.罹患後症状を抱えていても罹患前の社会生活に戻られるよう,支援
が必要である.特に,治療者が患者の就業状況に関心をもち,職域連携を念頭において患者の
治療に当たることは,患者の社会的な生活,経済的な安定の面からも重要である.
2)職場復帰時の留意事項
・ 職域連携では,
患者がどのような仕事(デスクワークか現場作業か,
など)をしているか理解し,
復職手順,職場での差別対応,就労継続対応などに留意し,必要な情報を職場に提供する.
・職域で COVID-19 に罹患した可能性がある場合,職場での感染管理や労務管理対応,労働災
害としての手続き(労災申請)等に関して,適切な専門家との連携も考慮する.その場合,職場
内での感染発端者が責められたり不利益取扱いを受けたりしないよう,留意し助言を行う.例
えば,職場復帰時の診断書において,発症後 10 日間経過し,隔離解除となった後は,感染力
がほとんどないことなどを記載してもよい.復帰に際して原則,陰性証明は不要である.
3)労災申請に関する留意事項
・業務に起因して COVID-19 に感染したと認められる場合,また,その症状が持続し(罹患後
症状があり)療養や休業が必要と認められる場合には,労災保険給付の対象となる.なお,精
神障害については,罹患後症状ではなく独立して存在すると考えられる場合には,精神障害の労
災認定基準に基づき判断される.労災の支給・不支給は,主治医等の労災請求書上の診療証明等
を踏まえ労働基準監督署により個別に判断される.主治医の役割は情報提供を含む一次的な判断
であり業務と病気との因果関係の最終的な判断の主体者ではないことに留意し,労働基準監督署
から追加の情報提供を求められた場合には対応する.
・罹患後症状は,一般的には改善が見込まれることから療養補償給付等の対象となると考えられる
が,十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく,症状固定と判断され後遺障害が残存
する場合は,療養補償給付等は終了し,障害補償給付の対象となる.
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