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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (37 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き
9
別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 9 皮膚症状へのアプローチ
皮膚症状へのアプローチ
1.はじめに
COVID-19 により稀に皮膚症状がみられることがある.このなかには「COVID toe」と呼ば
れる手や足の指先にみられる特徴的な凍瘡様皮疹や,COVID-19 以外の感染症でもみられるこ
とのある蕁麻疹様皮疹,癒合性紅斑丘疹(麻疹)様皮疹,丘疹水疱様皮疹,リベド様皮疹,血
管炎様紫斑性皮疹がみられることがある.これらの皮膚症状は急性期を過ぎても遷延すること
がある.
加えて,COVID-19 では発症から数カ月を経過してから脱毛がみられることもある.
2.科学的知見
海外で報告されている COVID-19 の皮膚症状の頻度は 0.2 ~ 20.4 %と幅があり実際の頻度
は不明である.
米国皮膚科学会と国際皮膚科学会連盟の COVID-19 レジストリでは,皮膚症状が確認され
た 171 人の COVID-19 患者のうち,頻度が高かったのは,癒合性紅斑丘疹(麻疹)様皮疹(22
%),凍瘡様皮疹(18 %),
蕁麻疹様皮疹(16 %)
,
斑状紅斑性皮疹(13 %)
,
水疱性皮疹(11 %),
疹落屑性皮疹(9.9 %),リベド様皮疹(6.4 %)であった.このレジストリでは,軽症例では
凍瘡様皮疹,重症例ではリベド様皮疹,
中等症ではそれ以外の皮疹が多かったと報告されている.
このレジストリは,皮膚症状を有する COVID-19 患者の長期的な症状の推移についても評
価している.2020 年 4 月~ 10 月までに,41 カ国から皮膚症状を伴う COVID-19 について,
持続期間について調査が行われた(疑い例を含む総症例数 234 例,検査確定例 96 例)
.皮膚
症状の持続期間の中央値は,全患者で 13 日,確定例で 7 日であった.確定例において癒合性
紅斑丘疹(麻疹)様皮疹は中央値で 7 日,蕁麻疹様皮疹は中央値で 4 日続き,最大持続期間は
28 日であった.丘疹落屑性皮疹は,
確定例では 20 日間続き,
1 症例では 70 日間続く事例もあっ
た.凍瘡様皮疹は COVID-19 疑い例では中央値で 15 日,実験室確定例では 12 日持続した.
凍瘡様皮疹を発症した 103 例のうち 7 例(うち 2 例が確定例)は,
皮疹は 60 日以上持続した.
このなかには 133 日以上にわたって重度凍瘡様皮疹と倦怠感が続いた症例や,凍瘡様皮疹が出
現した 1 カ月後に SARS-CoV-2 血清 IgG が陽性となり,150 日以上凍瘡様皮疹とリベド様皮
疹が継続した事例が含まれた.
COVID-19 から回復した後に,脱毛症が出現することがある.日本における COVID-19 回
復者の調査では,58 人中 14 人(24.1 %)が脱毛症を訴えた.14 名のうち,5 名が女性,9
名が男性であった.COVID-19 の症状発現から脱毛症出現までの平均日数は 58.6 日であった.
脱毛症の症状が回復した 5 人の脱毛症の平均期間は 76.4 日であった.ここで言う脱毛症は多
くが「休止期脱毛症」(成長期の髪が急激に休止期へ移行した結果,髪が抜ける状態)をさして
いるものと考えられる.
さらに 457 名の COVID-19 回復者を対象に行われた国内でのアンケート調査では,22.7 %
が脱毛症を経験し,さらに 16 % が 4 週後時点で,6.3 % が 12 週後時点でも脱毛症の症状が
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別冊
罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 9 皮膚症状へのアプローチ
皮膚症状へのアプローチ
1.はじめに
COVID-19 により稀に皮膚症状がみられることがある.このなかには「COVID toe」と呼ば
れる手や足の指先にみられる特徴的な凍瘡様皮疹や,COVID-19 以外の感染症でもみられるこ
とのある蕁麻疹様皮疹,癒合性紅斑丘疹(麻疹)様皮疹,丘疹水疱様皮疹,リベド様皮疹,血
管炎様紫斑性皮疹がみられることがある.これらの皮膚症状は急性期を過ぎても遷延すること
がある.
加えて,COVID-19 では発症から数カ月を経過してから脱毛がみられることもある.
2.科学的知見
海外で報告されている COVID-19 の皮膚症状の頻度は 0.2 ~ 20.4 %と幅があり実際の頻度
は不明である.
米国皮膚科学会と国際皮膚科学会連盟の COVID-19 レジストリでは,皮膚症状が確認され
た 171 人の COVID-19 患者のうち,頻度が高かったのは,癒合性紅斑丘疹(麻疹)様皮疹(22
%),凍瘡様皮疹(18 %),
蕁麻疹様皮疹(16 %)
,
斑状紅斑性皮疹(13 %)
,
水疱性皮疹(11 %),
疹落屑性皮疹(9.9 %),リベド様皮疹(6.4 %)であった.このレジストリでは,軽症例では
凍瘡様皮疹,重症例ではリベド様皮疹,
中等症ではそれ以外の皮疹が多かったと報告されている.
このレジストリは,皮膚症状を有する COVID-19 患者の長期的な症状の推移についても評
価している.2020 年 4 月~ 10 月までに,41 カ国から皮膚症状を伴う COVID-19 について,
持続期間について調査が行われた(疑い例を含む総症例数 234 例,検査確定例 96 例)
.皮膚
症状の持続期間の中央値は,全患者で 13 日,確定例で 7 日であった.確定例において癒合性
紅斑丘疹(麻疹)様皮疹は中央値で 7 日,蕁麻疹様皮疹は中央値で 4 日続き,最大持続期間は
28 日であった.丘疹落屑性皮疹は,
確定例では 20 日間続き,
1 症例では 70 日間続く事例もあっ
た.凍瘡様皮疹は COVID-19 疑い例では中央値で 15 日,実験室確定例では 12 日持続した.
凍瘡様皮疹を発症した 103 例のうち 7 例(うち 2 例が確定例)は,
皮疹は 60 日以上持続した.
このなかには 133 日以上にわたって重度凍瘡様皮疹と倦怠感が続いた症例や,凍瘡様皮疹が出
現した 1 カ月後に SARS-CoV-2 血清 IgG が陽性となり,150 日以上凍瘡様皮疹とリベド様皮
疹が継続した事例が含まれた.
COVID-19 から回復した後に,脱毛症が出現することがある.日本における COVID-19 回
復者の調査では,58 人中 14 人(24.1 %)が脱毛症を訴えた.14 名のうち,5 名が女性,9
名が男性であった.COVID-19 の症状発現から脱毛症出現までの平均日数は 58.6 日であった.
脱毛症の症状が回復した 5 人の脱毛症の平均期間は 76.4 日であった.ここで言う脱毛症は多
くが「休止期脱毛症」(成長期の髪が急激に休止期へ移行した結果,髪が抜ける状態)をさして
いるものと考えられる.
さらに 457 名の COVID-19 回復者を対象に行われた国内でのアンケート調査では,22.7 %
が脱毛症を経験し,さらに 16 % が 4 週後時点で,6.3 % が 12 週後時点でも脱毛症の症状が
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