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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (22 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

6

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 6 神経症状へのアプローチ

神経症状へのアプローチ

1.はじめに
罹患後症状における神経症状の出現頻度は高いが,その評価方法や理解は不完全であり,医
療従事者向けのガイダンスは,知見の進展に応じて時間をかけて変化していくと思われる.以
下の内容は,現時点の主たる研究報告を中心にまとめたものである.

2.科学的知見
文献上でも神経症状は頻繁に報告されている.疲労感・倦怠感,筋力低下,呼吸困難,疼痛,
不快感,集中力低下などを高率〔記憶障害(18.9 %)
,疲労感・倦怠感(19.3 %)
〕で認めた
とする報告がある.中国武漢の研究では,発症から 6 カ月後,63 % に疲労感・倦怠感や筋力
低下を認めた.また,発症から 6 週間以上持続する神経症状を有していた自宅療養者では,疲
労感・倦怠感(85 %)
,brain fog(81 %)
,頭痛(68 %)
,しびれや感覚障害(60 %)
,味覚
障害(59 %)
,嗅覚障害(55 %)
,筋痛(55 %)を認めたと報告されている.若年(16 ~ 30 歳)
においても 11 % に認知障害を認めたとする報告や,11 ~ 17 歳の非入院青年でも,感染 3 カ
月後に疲労を呈したとの報告がある.リスク因子は,入院,喫煙,生活困窮,女性,肥満,高
齢とされる.
多数例の電子医療記録を用いた,
COVID-19 を発症した 10 歳以上の 236,379 例の検討では,
発症後 6 カ月間の精神・神経系の疾患(頭蓋内出血,虚血性脳卒中,パーキンソン症状,ギラン・
バレー症候群,神経・神経根・神経叢の障害,神経筋接合部・筋疾患,脳炎,認知症,精神・気分・
不安障害,物質使用障害,不眠症)の推定発生率は 33.6 %であった.そのうち,12.8 %の症
例では,初めて精神・神経系の疾患を診断された.また,ICU 入室例では推定発生率,初めて
精神・神経系の疾患と診断された率ともに高かった.個別の神経疾患では,虚血性脳卒中(2.10
%),認知症(0.67 %)
,頭蓋内出血(0.56 %)
,パーキンソン症状(0.11 %)であり,ICU
入院群では非入室群よりも頻度が上昇していた.
また発症から 6 カ月以内に,9 つの罹患後症状(呼吸困難・息切れ,疲労感・倦怠感,胸・
喉の痛み,頭痛,腹部症状,筋痛,その他の痛み,認知症状,不安・抑うつ)の中で 1 つ以上
の症状を 57.0 %に認めたが,3 ~ 6 カ月の頻度は 36.6 %であり,特に頭痛,筋痛,認知症状
の割合が低下していた.一方,持続的な疲労感・倦怠感の検討も複数あり,発症後 16 ~ 20 週
間で 13 ~ 33 %,内科的・精神科的な原因を除外した後の頻度は,感染の 6 カ月後で 10 ~ 35
% で持続し,増悪し得ると報告されている.

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