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資料1-2-14診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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資料1-2-14
(診断基準等のアップデート案(見え消し))

252 リジン尿性蛋白不耐症

取扱注意

○ 概要
1.概要
二塩基性アミノ酸の輸送蛋白の一つである y+LAT-1(y+L amino acid transporter-1)の機能異常によっ
て、二塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、オルニチン)の輸送異常(小腸での吸収障害、腎での再吸収障
害)を生じるために、アミノ酸バランスの破綻、蛋白合成の低下などを招き、諸症状を来す。
初発時の主な臨床所見は高アンモニア血症、蛋白嫌い、成長障害、嘔吐、肝腫大などであるが個人差が
大きい。本症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)を呈し、近年の本邦患者数は 30~40 人と推定される。リジ
ン尿性蛋白不耐症(Lysinuric protein intolerance: LPI)の責任遺伝子 SLC7A7 (Solute carrier family7,
member7)は y+LAT-1 をコードしている。
2.原因
y+LAT-1 の責任遺伝子である SLC7A7 の異常が報告されている。ただしその詳細な病態は未解明であ
る。
3.症状
出生時には異常を認めず、離乳期以後に嘔吐、下痢、体重増加不良、筋緊張低下などで気づかれること
が多い。肝脾腫は新生児期から認める場合もある。蛋白過剰摂取後に嘔気/嘔吐、高アンモニア血症によ
る意識障害を呈するため、1歳前後で多くは牛乳、肉、魚、卵を嫌うようになる(蛋白嫌い)。
離乳期以後、低身長(四肢・体幹均衡型)、低体重、疎な毛髪、皮膚や関節の過伸展を呈する。骨粗鬆
症・頻回骨折を呈する割合は半数近くあり、なかには骨成熟の遅延、骨変形も認められる。また約 1/3 の症
例に血液免疫学的異常所見を有する。ウイルス感染の重症化や感染防御能の低下、さらに血球貪食症候
群、自己免疫疾患合併の報告がある。肺合併症(間質性肺炎、肺胞蛋白症)、腎病変(腎炎、尿細管障
害)、血管内皮機能障害に基づくと思われる脳梗塞も報告されている。妊娠時には貧血、出血傾向、妊娠中
毒症が生じやすい。
本疾患の臨床症状と重症度は非常に多彩であり、症例によっては診断が学童、成人期まで遅れる。
4.治療法
高アンモニア血症の急性期は蛋白を除去し、静脈栄養によるカロリー調整を行う。またアンモニア代謝改
善のため、L-アルギニン、安息香酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、必要に応じ L-シトルリンを投与す
る。無効な場合は、持続血液透析の導入を図る。
維持療法としては、充分なカロリー摂取と蛋白制限、アミノ酸補充が主体となる。L-アルギニンも有効だ
が、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうる。カルシウム、鉄、亜鉛やビタミンD等は
欠乏しやすく、蛋白除去乳の併用も考慮する。
L-アルギニンも有効だが、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうる。二次的な低カ
ルニチン血症には、L-カルニチンが有効である。その他、免疫能改善のためのγ グロブリン投与、肺、腎合
併症に対するステロイド投与などが試みられている。

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