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資料1-2-14診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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262 原発性高カイロミクロン血症
○ 概要
1.概要
カイロミクロン代謝に必要な酵素の欠損や、輸送酵素の機能に必要な蛋白の欠損などにより、血中に異
常にカイロミクロンが異常に蓄積し、黄色腫(発疹性黄色腫)や、時に急性膵炎を発症させる疾患である。
脂質異常症の WHO 分類では I 型(カイロミクロンの増加)及び V 型(カイロミクロンと VLDL の増加)を呈し、
高トリグリセリド血症を示す。
原発性高カイロミクロン血症の原因となる疾患として、リポ蛋白リパーゼ(LPL )欠損症、アポリポタンパク
C-II 欠損症、アポリポタンパク A-V 欠損症、GPIHBP1 欠損症、LMF1 欠損症、原発性V型高脂血症が知ら
れている。いずれの疾患も血清トリグリセリド上昇により急性膵炎の発症・重症化リスクが高くなる。
2.原因
原発性高カイロミクロン(食物由来の、中性脂肪トリグリセリドに富む軽くて大きなリポ蛋白)血症の遺伝的
原因として、カイロミクロン中の中性脂肪トリグリセリドを分解する酵素であるリポ蛋白リパーゼ(LPL)、ある
いはこの分解反応に必要なアポリポ蛋白 CIIC-II(APOC2)、GPIHBP1、LMF1 の先天的欠損症がある。アポ
リポタンパクアポリポ蛋白 A-V(APOA5)の遺伝子変異ではでも、トリグリセリド低下作用が障害され高カイ
ロミクロン血症となる。原発性 V 型高脂血症は原因不明である。
LPL 欠損症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)を示し、患者となるホモ接合体は約 50~100 万人に1人とさ
れる。アポリポタンパク C-II 欠損症、GPIHBP1 異常症、LMF1 異常症及びアポリポタンパク A-V 欠損症は
さらに頻度が低いとされている。他に、これらの蛋白に対する自己抗体も原因として知られている。
3.症状
血清トリグリセリド値の上昇が主要な臨床所見である。血清トリグリセリド値が 1,000mg/dL を超えると急
性膵炎の発症リスクが高まり、発症例ではほとんどが 2,000mg/dL を超えているとされる。そのため、食後
でも 1,500mg/dL を超えない程度にまで食事での脂肪摂取を制限する。
小児期から脂肪摂取後時の膵炎による上腹部痛を繰り返す。また、肝臓や脾臓の腫大がおきる。皮膚
には発疹性黄色腫という小さなピンクがかった黄色い皮疹ができる。
血清トリグリセリド値が 4,000mg/dL を超えると、網膜脂血症(眼底検査で網膜血管が白色ピンク状に見
える。)を呈する。
4.治療法
高カイロミクロン血症に対しては、食事療法が中心となる。1日の脂肪を 15~20g 以下、又は総カロリーの
15%以下にする脂質制限を行う。中鎖脂肪酸は小腸におけるカイロミクロン形成に関与しないため、高カイ
ロミクロン血症の予防及び治療に有効である。
LPL 欠損症、アポリポタンパク C-II欠損症に対しては薬物療法の効果は限定的である。カイロミクロンに
加えて VLDL も上昇を示す成人例場合に対してはフィブラートや選択的 PPARαモジュレーターなどを用いる

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