資料 先-3-2○先進医療技術の科学的評価等について (27 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00063.html |
出典情報 | 先進医療会議(第127回 12/7)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示11>
多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断
適応症
ウイルス感染症が疑われるもの(造血幹細胞移植(自家骨髄移植、自家末梢血管細胞移植、同種骨髄移植、同種
末梢血管細胞移植又は臍帯血移植に限る。)後の患者に係るものに限る。)
内容
(先進性)
・造血細胞移植後は強い免疫不全状態にあるので、感染症のうちウイルス感染の診断は重要であり、診断の遅れが
脳炎や間質性肺炎などの重篤な臓器障害に進展することも稀ではない。この分野における現状は、多くの医療施
設では、外部の検査機関に委託されている。ウイルスを検出するための検査は抗体法とPCR法で行われているが、
検査結果が得られるまでに数日間を必要とし、迅速な対応ができないのが大きな問題である。
・また、ウイルス感染が疑われても原因ウイルスを推定することは、典型的なものを除いては困難であり、多種類
ウイルスのスクリーニングが必要である。
・この問題を解決するために少量検体で短時間のうちに多項目ウイルス検査を行うことのできる検査システムを開発
した。12種類(HSV-1、HSV-2、VZV、EBV、HHV-6、HHV-7、HHV-8、CMV、BKV、JCV、Parvo-B19、HBV)のウ
イルスを同時にスクリーニングし約3時間で結果が得られ、早期診断に通じるところに先進性と新規性がある。
(概要)
1)移植後多項目迅速ウイルスPCR 検査のタイミング
造血幹細胞移植を受けた患者においてa)発熱、b)咳・呼吸困難、c)黄疸・肝障害、d)出血性膀胱炎、e)意識障
害、f)発疹、g)下痢・血便および腹痛の症状が出現した際に、血中ウイルス検査を実施する。
2)多項目迅速ウイルスPCR 検査の方法
・分離した血漿から自動核酸抽出装置でDNA を抽出後、あらかじめ、12 種類のウイルスに対するprimer-mix を
含むPCR 試薬と混合し、PCR 反応を行う。PCR 終了後、LightCycler®を用いた解離曲線分析により各ウイルスを
識別する。これにより12 種類のウイルスの有無が同時に決定できる。検査時間がDNA ウイルスであれば75 分で検
出できる。また、同じ12 種類のウイルスに関してリアルタイムPCR 法(定量検査)を同時に行い、多項目迅速定性ウ
イルスPCR 法における正確度を、陽性的中率、および陰性的中率を算出することによって評価する。
3)ウイルス感染症の診断
ウイルスが検出されたら、臨床症状、身体所見、画像診断、および臨床検査(血液、尿、髄液、喀痰、および肺胞
洗浄液などの検査)により、ウイルス血症かウイルス病かの診断を行う。
(効果)
・造血幹細胞移植後に発熱、皮疹、肝機能障害、呼吸器症状などが出現した時点で、直ちにウイルス解析を行うの
で、多くの場合はウイルス血症の段階で診断ができることが予想され、早期先制攻撃的治療により“ウイルス血症”
から臓器障害を伴う“ウイルス病”への進展を阻止できる可能性が高い。例えば、HHV-6脳炎に関しては、症状が
出現してから治療開始までの時間が短いほど生存率が高いと報告されており、当検査は治療開始までの時間を大
幅に短縮できる。早期診断と早期治療により、ウイルス感染症に伴う移植合併症を減少させる効果が期待される。
(先進医療にかかる費用)
【定性セット(スクリーニングセット)】
①DNAウイルス属迅速PCR検査(網羅的/multiplex PCR)
12 種類のDNAウイルスをセットとしてmultiplex PCRにて行う。機器償却費が414円、人件費が7,640円、医療材
料・医薬品費が13,884円となり、DNAウイルス属迅速PCR検査(網羅的/multiplex PCR)における患者自己負担分
の合計金額は21,938円となる。
②定量検査(定量的PCR/Real-Time PCR)
定量検査(定量的PCR/Real-Time PCR)の費用として機器償却費が414 円、人件費が7,432円、DNA 抽出費用
1,457 円、12 ウイルス当たり医療材料・医薬品費36,444 円を加えた合計金額45,747 円が患者自己負担分とな
る。
以上、①②の合計、67,685 円が本先進医療の患者負担額となる。
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