資料 先-3-2○先進医療技術の科学的評価等について (40 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00063.html |
出典情報 | 先進医療会議(第127回 12/7)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示14>
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術及び十二指腸空腸バイパス術
適応症
① BMI 35kg/㎡ 以上の重症肥満症
② 内科的治療困難な糖尿病を伴う重症肥満症(BMI 32kg/㎡ 以上)
内容
(先進性)
重症肥満症に対する手術療法は欧米では一般的であるが、本邦では現在、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が唯
一保険診療として認められている術式である。スリーブ状胃切除術は、重度肥満あるいは糖尿病合併症例ではその
効果は限定的であると言われており、欧米ではそのような症例に対しては、胃縮小術に加えて十二指腸空腸のバイ
パスを伴った手術(LRYGB or BPD/DS)が行われており、その高い効果が証明されている。我が国では、スリーブ状
胃切除術+十二指腸空腸バイパス術が考案されている。特に、糖尿病を伴った重症肥満症に対する十二指腸空腸
バイパス術もしくは胃バイパス術は、減量効果のみでなく非常に高い糖尿病改善効果を認めることが報告されてい
る。従来、糖尿病は内科的な薬物治療がなされてきたが、治癒を目指せるものではなく、終生に亘って薬物治療を
行う必要がある。また、薬物治療抵抗性の症例も少なからずあり、内科的治療にもかかわらず糖尿病性腎症による
透析治療など、糖尿病合併症による患者および社会的な喪失は非常に大きい。今回申請する腹腔鏡下スリーブ状
胃切除術+十二指腸空腸バイパス術は、まったく新しい糖尿病に対する外科治療である。肥満症に対する摂食お
よび吸収制限による体重減少効果だけでなく、十二指腸および口側空腸がバイパスされる術式により、生体内のホ
ルモン環境が改善し、薬物治療に抵抗性の糖尿病を著明に改善させ、時に治癒させることの出来る先進的な治療
法である。
(概要)
重症肥満症に対する外科手術は全世界的には年間30 万件以上施行されている術式であるが、日本では対象と
なるような症例数が少なく、保険適応の問題から普及が遅れていた。重症肥満症患者では重度の糖尿病を合併す
る者も多く、糖尿病に起因する多くの合併症が、重症肥満症患者の生命予後を左右するといっても過言ではない。
重症肥満症に対する外科手術のうち、スリーブ状胃切除術+十二指腸空腸バイパス術および胃バイパス術などの
バイパス手技を伴う術式では、スリーブ状胃切除術などの摂食制限手術に比較し、体重減少効果、糖尿病改善効
果が高いことが広く知られている。すでに保険診療として認められている「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」との明確な
適応の違いは欧米においても明らかにされていないが、本手術はその効果を鑑み、より重症の肥満症例、もしくは
内科的治療抵抗性の糖尿病を有する重症肥満患者を特にその対象とする。
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