資料 先-3-2○先進医療技術の科学的評価等について (30 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00063.html |
出典情報 | 先進医療会議(第127回 12/7)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示12>
CYP2D6 遺伝子多型検査
適応症
ゴーシェ病患者のうち経口投与治療薬を投与される予定の患者
内容
(先進性)
・ゴーシェ病の治療薬は点滴静注 2 製剤、経口投与 1 製剤が承認されているが、点滴静注の場合は患者の来院及
び投与による拘束時間を考えると利便性に問題がある。経口投与製剤であるサデルガの使用前には、CYP2D6 の遺
伝子多型を投与前に同定しておくことが必須である。しかしながら、本邦において CYP2D6 遺伝子多型検査に用いる
体外診断薬は過去に存在したが、現在は使用できない状況である。本技術により CYP2D6 遺伝子多型検査を行
い、経口投与治療薬の投与可否や投与量の判定が可能になることで、ゴーシェ患者の QOL に貢献することが期待
される。
(概要)
1)CYP2D6 遺伝子多型検査のタイミング
ゴーシェ病患者において、経口投与治療薬の投与が適切であると研究責任者が判断し、患者も希望した場合に、
経口投与治療薬の投与前に本検査を実施する。
2)CYP2D6 遺伝子多型検査の流れ
①主治医から本研究への参加を希望する研究対象者の紹介を受けて、代表機関である東京慈恵会医科大学およ
び共同研究機関(以下、各研究機関)の研究責任者は、個人情報管理者および各機関の検査部に研究対象者の
来院日を連絡する。
②研究者等が倫理委員会で承認された患者用の説明文書を用いて、本研究の説明を行い、文書同意を取得する。
③研究対象者から 7mL 採血する。
④各研究機関の検査部より株式会社エスアールエル 施設担当者が検体を回収。
⑤株式会社エスアールエル 検査施設にて検査を実施。
⑥株式会社エスアールエルより研究代表者(東京慈恵会医科大学小児科 講師 櫻井謙)に結果を送付。
⑦東京慈恵会医科大学小児科にてダブルチェック後、各研究機関に結果を送付。
⑧各研究機関の研究責任者は、研究対象者の紹介元である主治医に CYP2D6 遺伝子型ならびに遺伝子型から
判断された表現型を報告し、研究対象者の希望を聞いた上で、主治医から研究対象者に説明を行う。
3)CYP2D6 遺伝子多型検査結果の解析
研究責任者又は研究分担者は遺伝子型から判断して表現型を特定する。表現型が Intermediate metabolizer
(IM)又は Extensive metabolizer (EM)の場合には、経口治療薬 1 回 100mg、1 日 2 回の投与が可能となる。Ultra
Rapid Metabolizer (URM) 、Poor Metabolizer(PM)、及び表現型が判別不能の患者には投与を避けることが望ま
しい。経口治療薬の用法用量は、添付文書の記載に従う。
4)研究責任者又は研究分担者はCYP2D6遺伝子多型から判断された表現型を被験者に伝える。被験者のゴーシェ
病の主治医が研究責任者(又は研究分担者)ではない場合、研究責任者(又は研究分担者)は治療を担当する医
師にも伝える。これらのデータは薬事申請時の資料とすることを計画している。
(効果)
ゴーシェ病は糖脂質の代謝障害のため、グルコシルセラミドが種々の臓器に蓄積し、発症する極めて稀な先天性代
謝異常症である。その治療薬としてグルコシルセラミドの合成を抑制する経口薬サデルガが2015年3月に我が国で
製造販売承認を取得した。サデルガの効果には用量依存傾向があり、かつ中毒閾値をこえると心毒性を呈すること
が報告されている。サデルガはチトクロームP450 2D6(以下CYP2D6)にて分解・代謝される。そしてCYP2D6遺伝子に
は多型が存在し、その分解能力という観点からultra-rapid metabolizer(URM)、extensive metabolizer(EM)、
intermediate metabolizer(IM)、Poor metabolizer(PM)の4つのタイプに分類されている。したがって、サデルガ
を患者に投与する場合、適正な投与量を決定するためには、CYP2D6の遺伝子多型を投与前に同定しておくことは
必須である。しかしながら、本邦においてCYP2D6遺伝子多型検査に用いる体外診断薬は過去に存在したが、
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