資料 先-3-2○先進医療技術の科学的評価等について (90 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00063.html |
出典情報 | 先進医療会議(第127回 12/7)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示25>
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術
適応症
顕微授精を受ける不妊症患者
内容
(先進性)
従来の顕微授精(Intracytoplasmic sperm injection; ICSI)では、術者が顕微鏡下(400 倍)に、運動性が高く、形態
的に良好と思われる精子を選別し、卵に注入する。しかしながら、ICSIにて顕微鏡下で良好と判断した精子でも、強
拡大(1000 倍以上)顕微鏡を用いて観察すると頭部に微細な空胞が認められる場合がある。この様な精子頭部内
の異常構造体は、精子DNAの断片化を誘導し、受精卵の染色体の構造異常(相互転座等)や断片化を引き起こし、
結果として着床不成功や流産の原因となる可能性が指摘されている。
そのため、最大倍率6000 倍で精子を観察し、上記の様な空胞等の異常構造を有さない形態良好精子を選別し、
その精子を用いて顕微授精を行うIMSI(Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection)の技術が発展し
てきている。
形態良好精子を選別する意義や効果に高い期待が持たれているが、技術的、経済的な理由から上記のIMSI は、
未だ広汎に普及している技術と言い難いのが現状である。
(概要)
・対象:本研究の対象は、
1)
1 回以上の体外授精を実施しても受精卵や移植可能胚を得られず
2) 下記の性状不良精液(精子)所見のうち、2 つ以上を満たしており、顕微授精の実施が必要と判断された患者
さまを対象にしています。
A) 精子濃度:1mL あたりの精子数3000 万未満
B) 運動率:40%未満
C) クルーガーテスト:正常形態精子率 3%未満
D) 精子DNA 断片化:30%以上
本研究の概要や計画を説明し、同意を得られた後、コンピューターで発生・作成した乱数表に従い、無作為に300
例ずつをIMSI 群と従来法(ICSI)群に振り分け、研究対象とする。
・精子の選別:最大倍率6000 倍の顕微鏡下に精子を観察し、頭部内における空胞等の異常構造の有無を確認す
る。異常構造を認めない形態良好精子のみをガラスピペットに吸引して回収する。
・強拡大顕微鏡により選別した形態良好精子を用いる顕微授精(IMSI):上記の様にして回収した形態良好精子を、
卵細胞質内に直接、注入する。
・受精卵の培養:IMSI 後、精子を注入した卵を培養液内にて培養する。注入の翌日に雌雄両前核の存在を確認
し、受精卵とする。注入から5日間、着床直前の段階である胚盤胞期胚まで培養する。
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