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介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き 令和7年3月 (35 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001452998.pdf |
出典情報 | 介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き(3/25)《厚生労働省》 |
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事例⑤ 在宅で家族を支援し、身体拘束廃止・防止した実践事例
在宅において、家族への支援を実施しながら身体拘束廃止・防止した実践事例
事例概要
本人の尊厳と安全の観点から、揺れ動く家族の気持ちに対して、身体拘束を行わない生活の
実現に向け、本人・家族への支援を行った実践事例
本人の
基本情報
・在宅で生活する80代男性(要介護5、認知症高齢者の日常生活自立度M)
・反復誤嚥性肺炎のため口から食事をとることは難しい。
・脳梗塞の既往があり、意思疎通も難しい。
・家族の希望が強く、自宅に退院され、訪問看護等在宅サービス利用。
・本人・家族の希望により、胃ろうは増設せず、手首から点滴をしていた。
検討の経緯
・退院後に、点滴を入れている手首を動かしてしまうことが多く、頻繁に点滴が詰まり、感染症状も見
られた。本来であれば、点滴の交換が望ましい状況だが、家族は点滴の交換や感染症状の治療のため
の入院を希望せず、感染リスクの低いCVポート(皮下に設置される点滴のための医療器具)に変更
された。
・CVポートへの変更後、手が自由に動くようになったため、CVポートを触り、チューブや針を自分で
抜いてしまうことが増えた。夜間に自分で抜いてしまうことが多く、家族から上肢を抑制できない
か、という相談を受けた。
・訪問看護師としては、身体拘束を行うべきではないという考えのもと、自分で抜いてしまわないよ
うに、防止策について家族や主治医等と相談を重ねた。
身体拘束廃止・防止の取組
・CVポートを自分で抜いてしまうことを防ぐため、CVポート付近にタオルを置いてタオルをつかん
でもらうようにした。当初薄手のタオルを置いていたが、タオルごと掴んで抜いてしまうため、厚み
のあるタオルを置くよう試してみたところ、自分で抜くことはなくなった。
・家族は、何度も自分で抜いてしまったことによるCVポート周囲の腫れを気にされていたが、主治医
から身体に影響がないことを説明してもらった。また、主治医から「本人がチューブを抜いてしまっ
ても、再度入れ直すことが可能」と説明してもらったため、家族も安心して、身体拘束を実施せずに
過ごすことができた。
・訪問看護師は、継続的に自分で抜いてしまう理由のアセスメントを実施した。その結果、CVポート
の刺入部が蒸れ、かゆみが生じていることによりCVポートを触ってしまうと考えられたため、固定
テープの使用を夜間に限定し、入浴直後には固定テープを貼付しないようケアの方法を見直した。
その後
・自分で抜いてしまうことはなくなり、身体拘束を実施せずに過ごすことができている。
・家族も熱心に見守りをされているようだが、長時間目を離される際には、厚みのあるタオルを置い
て、自分で抜いてしまわないよう対応している。
ー 33 ー
在宅において、家族への支援を実施しながら身体拘束廃止・防止した実践事例
事例概要
本人の尊厳と安全の観点から、揺れ動く家族の気持ちに対して、身体拘束を行わない生活の
実現に向け、本人・家族への支援を行った実践事例
本人の
基本情報
・在宅で生活する80代男性(要介護5、認知症高齢者の日常生活自立度M)
・反復誤嚥性肺炎のため口から食事をとることは難しい。
・脳梗塞の既往があり、意思疎通も難しい。
・家族の希望が強く、自宅に退院され、訪問看護等在宅サービス利用。
・本人・家族の希望により、胃ろうは増設せず、手首から点滴をしていた。
検討の経緯
・退院後に、点滴を入れている手首を動かしてしまうことが多く、頻繁に点滴が詰まり、感染症状も見
られた。本来であれば、点滴の交換が望ましい状況だが、家族は点滴の交換や感染症状の治療のため
の入院を希望せず、感染リスクの低いCVポート(皮下に設置される点滴のための医療器具)に変更
された。
・CVポートへの変更後、手が自由に動くようになったため、CVポートを触り、チューブや針を自分で
抜いてしまうことが増えた。夜間に自分で抜いてしまうことが多く、家族から上肢を抑制できない
か、という相談を受けた。
・訪問看護師としては、身体拘束を行うべきではないという考えのもと、自分で抜いてしまわないよ
うに、防止策について家族や主治医等と相談を重ねた。
身体拘束廃止・防止の取組
・CVポートを自分で抜いてしまうことを防ぐため、CVポート付近にタオルを置いてタオルをつかん
でもらうようにした。当初薄手のタオルを置いていたが、タオルごと掴んで抜いてしまうため、厚み
のあるタオルを置くよう試してみたところ、自分で抜くことはなくなった。
・家族は、何度も自分で抜いてしまったことによるCVポート周囲の腫れを気にされていたが、主治医
から身体に影響がないことを説明してもらった。また、主治医から「本人がチューブを抜いてしまっ
ても、再度入れ直すことが可能」と説明してもらったため、家族も安心して、身体拘束を実施せずに
過ごすことができた。
・訪問看護師は、継続的に自分で抜いてしまう理由のアセスメントを実施した。その結果、CVポート
の刺入部が蒸れ、かゆみが生じていることによりCVポートを触ってしまうと考えられたため、固定
テープの使用を夜間に限定し、入浴直後には固定テープを貼付しないようケアの方法を見直した。
その後
・自分で抜いてしまうことはなくなり、身体拘束を実施せずに過ごすことができている。
・家族も熱心に見守りをされているようだが、長時間目を離される際には、厚みのあるタオルを置い
て、自分で抜いてしまわないよう対応している。
ー 33 ー