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【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (102 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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(7)環境
抗菌薬も含めて、医薬品や日用品等の医薬品類は、Pharmaceuticals and Personal Care Products
(PPCPs)とも呼ばれ、低濃度であっても生理活性作用を持つことがあるため、水生生態系への影響が懸念
されている 10。抗菌薬については医薬品類の一つとして、下水や下水処理水、再生水、環境水、汚泥という
環境中での抗菌薬濃度の測定結果がいくつかの研究で示されている 11。
下水処理の結果生じた下水汚泥(バイオマス)の一部は、嫌気性消化やコンポスト化を経て農業肥料とし
て再利用される場合があるが、PPCPs が下水処理過程や下水汚泥の消化過程で分解される度合いは PPCPs
によって異なる。例えば、抗菌薬の中では、サルファ剤はそのほとんどが分解されるが、オフロキサシンや
ノルフロキサシンといったフルオロキノロン類は、分解されず高濃度に汚泥中に残留する 12。PPCPs の生分
解過程は水温による影響を受け、また下水処理過程における水理的滞留時間、活性汚泥の処理濃度、滞留時
間などの処理条件によって、PPCPs の除去性が影響を受ける。さらに除去を進めるため、膜分離活性汚泥法
を用いて抗菌剤の除去性を改善する研究が行われている 10。また下水処理後にオゾンや促進酸化処理を導入
することで抗菌薬除去の効率性を高める研究も国内外で数多く行われていることから 11、日本での排出実態
と開発状況について把握する必要がある。
日本の都市部の河川で検出される抗菌薬濃度を下水処理場の流入下水で調べた研究では、CPFX とクラリ
スロマイシンの実測濃度とこれらの抗菌薬の出荷量や販売量から予測される濃度にはある程度近似性がみら
れ、薬剤の出荷量や販売量によって抗菌薬の下水濃度を予測できるかもしれないことが指摘されている 13。
この研究の中では、例えば CPFX が下水に 51 から 442ng/L、クラリスロマイシンが 886 から 1,866ng/L 含
まれていたことが示されている。なお、環境省が実施した化学物質環境実態調査において、河川水などから
アジスロマイシンが最大 130ng/L、アモキシシリンが最大 2.3ng/L、チアムリンが最大 3.1ng/L、レボフロ
キサシンが 540ng/L 及びクラリスロマイシンが 240ng/L がそれぞれ検出 15 され、アンピシリンが最大
1.4ng/L が検出 16 されている。

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