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【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (127 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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(8)ヒト及び食品由来の Non-typhoidal Salmonella spp.の薬剤耐性状況の
調査
① 概要
食品由来耐性菌については、これまでに多くの地方衛生研究所が食品由来細菌の耐性状況を調査してきた
実績があり、現在、厚生労働科学研究費補助金による食品の安全確保推進研究事業の中で、組織化された複
数の地方衛生研究所が食品由来耐性菌モニタリングを研究として実施している10。統一された方法で全国規模
の食品由来細菌の耐性状況が調査されたのは、本邦で初めてと思われる。さらに、得られたデータは、WHO
によって構築されたGLASSにも報告されている。

② 調査方法
全国21地方衛生研究所の協力を得て、これらの地方衛生研究所において収集されているヒト(患者)由来
及び食品由来細菌、特にサルモネラ属菌について、共通のプロトコル、薬剤、器材等を用いて薬剤耐性状況
調査が実施された10。2015年から2020年に、ヒト(患者)及び食品から分離されたサルモネラ属菌株を対象
とした。ヒト由来株は、感染性胃腸炎や食中毒の患者検体から分離されたものを対象とし、食品由来株は、
分離した食品の種類、分離年月日を求め、食品が鶏肉の場合は、国産、輸入(国名)、不明の情報を収集し
た。協力21地方衛生研究所でサルモネラ属菌と判定された菌株を用い、「地衛研グループ薬剤感受性検査プ
ロトコル」にしたがって、CLSI ディスク拡散法による薬剤感受性検査を実施した。感受性ディスクとして
は、アンピシリン(ABPC)、ゲンタマイシン(GM)、カナマイシン(KM)、ストレプトマイシン
(SM)、テトラサイクリン(TC)、ST合剤(ST)、クロラムフェニコール(CP)、セフォタキシム
(CTX)、セフタジジム(CAZ)、セフォキシチン(CFX)、ホスホマイシン(FOM)、ナリジクス酸
(NA)、シプロフロキサシン(CPFX)、ノルフロキサシン(NFLX)、アミカシン(AMK)、イミぺネム
(IPM)、メロぺネム(MEPM)の17剤ディスクを用いた。検査に用いる感受性ディスク等の試薬、ディス
クディスペンサーやノギス等の器具は全ての地方衛生研究所で共通のものを用いた。寒天平板上の感受性デ
ィスクの配置は、阻止円が融合しないよう、プロトコルに示す配置図のように配置した。結果の判定は、阻
止円径を測定し、プロトコルの感受性判定表にしたがって行われた。

③ 今後の展望
ヒト由来株と食品由来株の各種抗菌薬に対する耐性率に明瞭な類似が認められている。これらのデータ
は、環境―動物―食品―ヒトを包括するワンヘルス・アプローチにおいて重要であり、相互変換ソフトによ
りJANIS及びJVARMのデータと統合し、三者を一元的に評価できるシステムが確立している。

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