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【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (80 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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7. 日本における抗菌薬使用の現状
(1)ヒト用抗菌薬
① 日本全体の抗菌薬使用状況
データ元:JSAC(抗菌薬使用サーベイランス)
2013 年から 2020 年までの日本における販売量に基づいた抗菌薬の使用状況を表 72(経口薬)、
表 73(注射用薬)、表 74(経口および注射抗菌薬合計)に示す。日本における 2019 年の全体の抗
菌薬使用は 12.8 DID であり、2019 年の代表的な欧州諸国の DID と比較すると、フランス(25.1
DID)、イタリア(21.7 DID)、英国(18.2 DID)よりも低く、スウェーデン(11.8 DID)、ドイツ
(11.4 DID)、オランダ(9.5 DID)よりも高かった 1。経年的な変化をみると、2013 年から 2016 年
までは抗菌薬使用に大きな変化を認めなかったが、2017 年以降低下に転じたものの減少幅が小さく
なってきていた。そうした流れのなかで新型コロナウイルス感染症の流行があり、2020 年は全体の
抗菌薬使用は 10.2 DID とそれまでの減少幅に比べ大幅に抗菌薬使用が減少し、2013 年と比べ、
29.9%減少していた。2020 年における抗菌薬全体に占める経口薬の使用(表 72)は 9.31 DID
(91.5%)であり、そのうち、日本の AMR 対策アクションプランで 50%削減目標となっている経口
セファロスポリン系薬(2.2 DID)、経口フルオロキノロン系薬(1.7 DID)、経口マクロライド系薬
(2.9 DID)の合計は経口抗菌薬全体の 67.1%を占めていた(経口セファロスポリン系薬は第 1 世代
(0.1 DID)、第 2 世代(0.3 DID)、第 3 世代(1.8 DID)を合計したもの)。2013 年以降この傾向
は変化していないが、各使用を 2013 年と比べると、2020 年の経口セファロスポリン系薬、経口フル
オロキノロン系薬、経口マクロライド系薬それぞれ 42.7%、41.3%、39.3%減少していた。また、注
射用抗菌薬は、2013 年と比較して 2020 年は 1.1%減少していた(表 73)。2019 年までは注射用抗
菌薬の使用は減少に転じることがなく横ばいで推移していたが、これは高齢者人口の増加により、注
射用抗菌薬の使用機会が増加していた可能性が示唆された。また、2019 年は特にセファゾリンの供
給不足問題が生じた影響で、第1世代セファロスポリン系薬が減少し、狭域ペニシリン系薬や β ラ
クタマーゼ配合ペニシリン、第 2、3 世代セファロスポリン系薬、カルバペネム系薬が増加した可能
性が考えられた 2。2020 年は全体として抗菌薬使用量が減少していたが、これは抗菌薬適正使用が推
進されただけでなく、新型コロナウイルス感染症も影響(新型コロナウイルス感染症以外の感染症に
よる受診患者の減少等)していると考えられる。

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