【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (76 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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Collaborating Centre and European Union Reference Laboratory for Antimicrobial Resistance in
Foodborne Pathogens))が中心となって WHO 支援による環境調査 Global Sewage Surveillance
Project("Global Sewage Surveillance Project.")が進行中である 1。これらにおいては環境 AMR だ
けでなくポリオウイルス等のウイルス汚染も調査対象であるため、下水処理場の“流入水”を中心に調
査が行われている。第一弾の成果として、2016 年 1-2 月に収集された 79 サンプル(60 カ国)の下
水処理場・流入水のメタゲノム解析の結果が掲載された 2。60 カ国の中で最も ARG 汚染が高かった
のはブラジルの 4616.9 FPKM(Fragments per kilobase of exon per million reads mapped)であ
り、アフリカ諸国の ARG 汚染度は平均 2034.3 FPKM の高値を示し、オセアニア地域(ニュージーラ
ンド、オーストラリア)が最も低値の平均 529.5 FPKM であった。アジア(日本は含まれない)はア
フリカ諸国ほど高い ARG 汚染では無かったが、ARG の組成(Resistome)は非常に似通っていた
(27% dissimilarity)。ARG の FPKM および Resistome 解析から、各国の人口・経済活動や公衆衛
生対策と強く相関する結果であることが浮き彫りになった。本邦は 2017 年から本計画に参画して処
理前・流入水を提供しており、本邦サンプルも評価された GSSP の追加報告が待たれる。GSSP は下
水処理場の流入水サンプル(未処理)であることから、前述の本邦環境 AMR 調査と同じ基準で比較
解析することは難しいものの、少なくとも~100 FPKM を示す本邦の下水処理・放流水が今後のさら
なる環境浄化を必要とするのかを見極める重要な定量値であると考えている。
放流水の ARG に加え、環境で生存し増殖する可能性を有す ARB の存在の特定は重要である。本厚
労研究班からの成果として、東京湾沿岸の水再生センターから、臨床分離すら希少な KPC-2 産生肺
炎桿菌 Klebsiella pneumoniae(Sequence type 11:ST11)が分離され、ST11 は東アジアで広範に
分離される臨床分離株と同一型であったこと 3、創傷感染症で稀に分離されるアエロモナス属が KPC2 を保有していたこと 4、NDM-1 よりも広域活性を獲得した NDM-5 カルバペネマーゼを保有する大
腸菌が分離されたこと等を報告しており 5、国内事情が少しずつ明らかになりつつある。また、大
阪・淀川流域における病院排水、下水処理場の流入・放流水、および河川水の包括的な AMR 調査が
実施され報告されている。オゾン処理しなければ下水処理・放流水から多様な ARB が分離されるこ
とや病院排水による環境 AMR 負荷が試算されている 6。海外の汚染実態と同様、本邦環境水におい
ても少なからず ARB が分離されている実状、より広範な実態調査が好ましく、ARB のみを集中的に
滅菌・減量させる手法開発も重要となってくるだろう。
このように、環境 AMR、さらには残留抗菌薬の調査法を確立し、実態調査を行っていくことが重
要である。環境水中の薬剤耐性の調査法として、下水処理場の放流処理水のメタゲノム解析法の手順
書を作成した。従来の培養法も重要であり、遺伝子の検出だけでなく、下水中の生きた耐性菌の特徴
を分析した。メタゲノム解析と培養法によるアプローチの両方を行うことによって、環境水の薬剤耐
性の全体像を理解することにつながることが期待される。全国的な環境水 AMR 調査に加えて、地域
の病院排水、地域の養豚場の下水の環境 AMR 調査、地域の下水処理水の抗菌薬分析といった、日本
における環境 AMR の実態調査を実施している。これらの知見と環境 AMR に関する文献レビューを
もとにリスク評価を行っていく必要がある。海外の環境 AMR のエビデンスを整理するために、本研
究班では環境中の薬剤耐性に対するイニシアチブ:現状と課題(原文:Initiatives for Addressing
Antimicrobial Resistance in the Environment: Current Situation and Challenges. 2018)を翻訳した
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