【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (81 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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75 に示す。AWaRe 分類は WHO の必須医薬品リスト(Model Lists of Essential Medicines)第 20
版に掲載された抗菌薬分類を適正使用の指標として応用したもので、抗菌薬を”Access”(一般的な感
染症の第一選択薬、または第二選択薬として用いられる耐性化の懸念の少ない抗菌薬で、すべての国
が高品質かつ手頃な価格で、広く利用出来るようにすべき抗菌薬。例. アンピシリン、セファレキシ
ンなど)、”Watch”(耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ使用すべき抗菌薬。例.
バンコマイシン、メロペネム、レボフロキサシン、セフトリアキソンなど)、”Reserve”(他の手段
が使用できなくなった時に最後の手段として使用すべき抗菌薬。例. チゲサイクリン、コリスチン、
ダプトマイシンなど)、未分類の4カテゴリーに分類している。この分類は 2019 年に改訂され、新
たに、”非推奨”(WHO で臨床上の使用を推奨していない抗菌薬。例. セフォペラゾン・スルバクタ
ム) のカテゴリーが追加された。WHO は全抗菌薬に占める”Access”の抗菌薬の割合を 60%以上にす
ることを目標としている。日本は他国と比較して Access の占める割合が少ない傾向があるが 3、
2013 年から経年的にみると、11.0%から 2020 年は 21.1%へと徐々に上昇し、Watch の占める割合は
87.5%から 76.4%へと低下してきており、AWaRe 分類の推奨に見合うように向かっているともいえ
る。
しかしながら、抗菌薬の供給不足問題や新型コロナウイルス感染症の影響など、さまざまな要因も
懸念されるため、引き続き注視が必要である。
また、ワンヘルスの観点から経口と注射用抗菌薬の使用量を力価換算して重量ベースでの使用状況
を調査したところ(表 76)、全体の使用量も減少が確認された。経口の第 3 世代セファロスポリン
系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬の使用量の減少が全体の半数を占めており、新型コ
ロナウイルス感染症の影響などを含め、適正使用の観点から要因を明らかにする必要がある。また、
一時的な減少もありうるため、今後の抗菌薬使用の推移も慎重に継続してみていくことが重要であ
る。
AMR 対策アクションプランの目標の1つであった監視体制を構築できたことにより、経年的に日
本における抗菌薬の使用状況を評価できるようになった。2019 年までは経口薬は漸減したことで
AMR 対策の影響が認められたものの、注射用抗菌薬は横ばいから増加を続け、高齢者人口の増加な
どによる影響が考えられた。しかし、2020 年は、経口薬はさらに減少し、注射用抗菌薬も減少に転
じた。減少した要因の1つには、新型コロナウイルス感染症に伴うさまざまな影響が考えられ、今後
の推移を把握することが必要である。さらに、販売量データに基づいた抗菌薬使用状況のみならず、
匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)に基づいた抗菌薬使用のサーベイラン
スも継続することで、抗菌薬の使用目的を明らかにし、適正性を評価していくことが重要である。
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