【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (30 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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データ元:地方衛生研究所
全国21か所の地方衛生研究所では、2015年~2020年に分離されたサルモネラ2,662株の薬剤耐性状
況を統一した方法で調査している2。ヒト由来株及び食品由来株の主な血清型を表19に示している。
ヒト由来株(1,947株)の39.8%、食品由来株(715株)の91.0%が、調査に用いた17剤のうち1剤以
上の抗菌薬に耐性を示した(表20、21)。事業化された調査ではないものの、全国的調査であり、
2015年~2020年分離株の年次毎の耐性率はほぼ同様であり、この結果は、現在の日本の状況を反映
していると考えられる。表20において、2017年の分離株ではセファロスポリン系薬(CTX,CAZ,
CFX)に対する耐性率が上昇しているように見えるが、国産鶏肉に限定すると、2015年、2016年と
同等の傾向を示したことから、2017年分離株中の外国産鶏肉由来株の比率が高いことが原因であるこ
とが示唆された。多剤耐性の状況としては、ヒト由来株及び食品由来株ともに3剤耐性の割合が多か
った。6から11剤に耐性を示す多剤耐性株も、ヒト由来株中では37株、食品由来株中では61株で認め
られた。また、2020年のヒト由来分離株から初めてメロペネム(MEPM)に対する耐性株が検出さ
れた(表20)。この分離株はS. Heidelbergで、MEPMを含め8剤に耐性を示す多剤耐性株であった。
食品由来株上位2血清型(S. Infantis, S. Schwarzengrund)の薬剤耐性率を表22~23に、ヒト由来
株上位5血清型(S. Infantis, S. Enteritidis, S. Thompson, S. 4:i:-, S. Saintpaul)の薬剤耐性率を表24
~28に示す。食品由来株では2つの血清型間で耐性傾向に共通する部分が多いが、ヒト由来株では5
つの血清型それぞれに特徴的な耐性傾向が認められた。
また、食品由来株上位5血清型及びヒト由来株上位10血清型に共通して見いだされる3血清型(S.
Schwarzengrund, S. Infantis, S. Manhattan)の薬剤耐性率をヒト由来株と食品由来株の間で比較す
ると(表29)、それぞれの血清型において、各種抗菌薬に対する耐性率の全体的傾向に明瞭な類似性
が認められたことから、食品由来耐性菌とヒト由来耐性菌との間の関連が強く示唆された(表59参
照)。
薬剤感受性試験に加えて、2015年~2020年分離株のうち、セフォタキシム(CTX),セフタジジ
ム(CAZ),セフォキシチン(CFX)の1剤以上に耐性を示す菌株(ヒト由来41株、食品由来46株)
を対象に、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生遺伝子及びAmpC型β-ラクタマーゼ
(AmpC)遺伝子の検出を実施した。ESBL産生遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株とも、CTX-M1グループの保有が最も多く、TEM型が次に多かった。AmpC遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株
とも、CIT型の保有が最も多かった。これらの結果から、ESBL産生遺伝子、AmpC遺伝子ともに、ヒ
ト由来株と食品由来株での検出傾向に類似性が認められた一方、CTX-M-9グループ(ESBL産生遺伝
子)はヒト由来株のみに、EBC型(AmpC遺伝子)は食品由来株のみに検出されるなど、それぞれの
株に特徴的な検出も認められた。
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