よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2021 (75 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

(4)環境
一般的に、人的活動による汚物は下水処理場等の生活排水処理施設で排水基準まで処理されて環境
(河川・海洋)へと放流される。ワンヘルス・アプローチに基づく環境 AMR で注視すべき対象は、
人的活動による汚物が下水処理場等の生活排水処理施設で排水基準まで処理されて環境(河川・海
洋)へと放流される環境水の中にどのような薬剤耐性菌(遺伝子)が存在し、我々の日常生活へどの
ように循環しリスクへと発展しうるのかを評価することにある。
現状、どの程度の薬剤耐性菌(AMR bacteria:ARB)およびそれらに由来する薬剤耐性遺伝子
(AMR gene:ARG)が環境へと排泄され負荷を与え続けているのかについて、定量的な報告はわず
かであり、系統だった全国調査が必須であると考えられる。そこで、本邦行政として継続的な環境
AMR 調査のため、厚生労働省科学研究費課題「環境中における薬剤耐性菌及び抗微生物剤の調査法
等の確立のための研究. 代表: 金森肇 H30-R02」の研究班が編成された。平成 30 年度~令和 2 年度
において本研究班で環境 AMR モニタリングに資する手順書を作成し、環境水の薬剤耐性菌及び残留
抗菌薬の調査方法の確立に向けた研究を実施した。放流処理水の環境 AMR モニタリング調査を全国
展開するための体制を構築し、地方自治体の環境負荷の実態が遺伝子レベルで解明した。また、国内
外の文献レビューを行い、環境中の薬剤耐性に関する現状と課題を明らかにした。
3 年間(2018~2020 年度)の成果として、次世代シークエンサーによる環境水から ARG 等の網羅
的配列解読法(メタゲノム解析)を構築し(国立感染症研究所・病原体ゲノム解析研究センター)、
39 自治体からご提供頂いた下水処理場・放流水サンプル(2018 夏・8月、2019 冬・2月、2019
夏・8 月、2020 冬・2 月、2020 夏・8 月、2021 冬・2月の計 332 サンプル)のメタゲノム解析を実
施した。臨床および家畜抗菌薬の ARG 配列データベースを元に、対象 ARG の解読リード数を検出し
た。さらに、ARG 塩基長とメタゲノム総解読リード数で標準化する RPKM(Reads Per Kilobase of
gene per Million mapped reads)法を採用し、相対的な ARG 濃度を算出して検体間の比較解析を実
施した。昨年度報告では夏よりも冬期において ARG がやや多い傾向が見られたことを報告したが、3
年間(計 6 回)の継続調査により、ARG が継続的に増加傾向であるとともに、その主要因としてサ
ルファ剤(Sulphonamide)耐性遺伝子が有意に高く検出され(p<0.01)、腸内細菌科細菌で広範に
伝播獲得が知られている Class1 インテグロンの基本構成遺伝子(sul1, qacEdelta)が検出増の要因
と考えられた。一方、下水処理場・放流水中のマクロライド耐性遺伝子は顕著な減少を示し、ヒトに
対するマクロライド系薬の使用が減少したことを反映する結果が得られたものと考えられた。また、
キノロン耐性遺伝子においても同様の減少傾向が見られ、ヒトに対するキノロン系薬の使用量が減少
したこととの関連が示唆されるが、キノロン耐性大腸菌の分離状況とは乖離が見られた。本研究班に
おけるメタゲノム解析では外来性獲得である oqx および qnr 遺伝子を検出対象としているため、キノ
ロン剤阻害ターゲットである gyrA および parC 遺伝子上のキノロン耐性決定領域(quinolone
resistance– determining regions:QRDR)の変異は判定していない。少なくとも、外来性獲得の頻
度が低下して好ましい状況へ近づきつつあるのかもしれないが、更なる継続調査が必須である。本研
究班のメタゲノム解析法は世界的なメタゲノム解析法に準じたものであり、各国からの報告と比較す
る上においても重要な情報提供ができたと考えている。引き続き、自治体のご協力を仰ぎながら年 2
回(夏および冬)の全国調査を実施し、本邦の環境 AMR(Resistome)の基盤を整備していく予定
である。

74