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【参考資料6】成人と合わせて評価可能な小児(10歳又は12歳以上の小児)の臨床評価の留意点について(令和2年6月30日医薬品審査管理課事務連絡) (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198856_00028.html
出典情報 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会(第1回 7/10)《厚生労働省》
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2.家族性高コレステロール血症
(1)病態について
家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、low-density
lipoprotein(LDL)受容体及びその関連遺伝子の変異による遺伝性疾患である。
FHは常染色体優性遺伝形式をとり、原因遺伝子の変異が対立遺伝子の片方にあ
る場合がFHヘテロ接合体、双方にある場合がFHホモ接合体である。FHの主な特
徴は高LDL-コレステロール血症、腱黄色腫及び早発性冠動脈疾患(男性55歳未
満、女性65歳未満での冠動脈疾患の発症)の発症である。FHの動脈硬化の進展
速度は、遺伝的背景のない高LDLコレステロール血症患者に比べて速く、それに
伴う臓器障害の程度も強い。小児期にすでに動脈硬化性の変化が現れているこ
とは、Bogalusa Heart Study1)やPathological Determinants of Atherosclerosis in Youth
(PDAY)2)などの剖検所見からも証明されている。特に、FHホモ接合体患者で
は小児期から冠動脈硬化症・大動脈弁疾患などの動脈硬化性疾患が急速に進行
する。一方で、一般的なFHヘテロ接合体患者では動脈硬化性心血管疾患は中高
年になって発症するが、オランダで行われた小児FHヘテロ接合体の臨床研究に
より10歳頃から急速に動脈硬化が進行すること、さらにスタチン治療によりそ
の進行が抑制できることが明らかにされている3)
このように、FHの成因は関連遺伝子の変異であり、成人と小児の病態は連続
しており、高LDL-コレステロール血症を伴うという病態も同様である。
(2)治療実態について
小児期から、高LDL-コレステロール血症が動脈硬化の独立したリスク因子で
あり、多くの小児FHヘテロ接合体ではすでに学童後期より頸動脈の内膜中膜複
合体厚の肥厚が進行していることが知られている4)。近年、海外の多くのガイド
ラインにおいて、将来の心血管イベント予防を目的として、小児期からの治療の
重要性が指摘されている5),6),7)。
小児家族性高コレステロール血症診療ガイド 20178)によれば、「FHと診断さ
れれば、できるだけ早期に生活習慣の指導を行い、LDL-コレステロール値の低
下を含めた動脈硬化のリスクの低減に努める。生活習慣の改善による効果が十
分でない場合には、10歳を目安に薬物療法開始を考慮する」とされている。FH
ヘテロ接合体の薬物療法は、
「第一選択薬はスタチンで、最小用量から開始する。
単独で十分な効果を得られない場合には、①その製剤を増量、②より強力なスタ
チン製剤に変更・増量、③スタチンに他の脂質低下薬を併用、を考慮する」とさ
れている。また、FHホモ接合体の場合は、「まずはスタチンを開始し、最大耐
用量まで増量する。約1か月後にスタチンの効果を判定し、効果不十分であれば
LDLアフェレシスを開始する。並行して、スタチン以外の薬剤(エゼチミブ・レ
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成人と合わせて評価可能な小児(10 歳又は 12 歳以上の小児)の臨床評価の留意点について