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学校保健委員会答申 (16 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011751.html
出典情報 令和4・5年度学校保健委員会答申「地域に根差した医師の活動である学校医活動を推進させるための具体的な方策は何か」の提出および『学校医のすすめ』発行について(6/5)《日本医師会》
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法の“学校設置者の求めに応じ、学校医が教職員の健康管理に従事する”旨の規定が適用さ
れる。この2つの法令を踏まえ、各自治体では規程等を整備し、教職員の健康管理を行う医
師等について定めている。この健康管理医に産業医を充てるか、学校医を充てるかは自治体
により様々であり、教職員数に関わらず産業医を充てる自治体も増えているが、多くは未だ
学校医を充てていると思われる。従って、学校医も教職員の健康管理に携わっていく機会が
生じてくるが、学校医には様々な診療科の医師が就いており、産業医の資格を有していない
学校医も少なくない。児童生徒等を対象とした学校保健業務だけであれば、子どもを診療し
ている医師はその業務内容に充分に精通していると考えられる。しかし、診療科の専門性が
進んだために小児だけを診療し成人を全くと言っていいほど診ていない医師もおり、教職員
の健康管理について習得していない学校医も多いのではないかと推察される。このため、日
本医師会では、文部科学省に対し、学校医と産業医の職務内容は全く異なるもので、教職員
の健康管理は産業医が行うべきとの申入れを行い、文部科学省もこれに呼応した通知を教育
委員会宛に発出している。
近年、教職員の過重労働が話題になっている。また、教職員は多くのストレスに晒されて
おり、病気休暇を取らざるを得ない状況に陥っている例も非常に多い。教職員のストレスの
要因となるものは、長時間に及ぶ部活動の指導や休日の対外試合の引率、学校行事やその準
備等により発生する長時間の時間外勤務、上司や同僚との人間関係、配慮を要する児童生徒
等やその保護者への対応、モンスターペアレントと呼ばれる保護者からの理不尽な要求、教
職員本人の家庭の事情など様々であるが、いずれの場合も本人にとってかなり深刻な問題で
ある。
また、医療技術の発達等により医療的ケア児が増加しており、通常学級にも通うようにな
ってきた。食物アレルギーを持つ生徒も増加してきており、給食等の配慮や緊急時のエピペ
ンⓇの使用方法の習得が教職員にも要求される。医療に関係した業務が増え、教職員の負担
が増大してきている。
地域に根差した学校医活動を実現するには、学校医は児童生徒等に対する活動だけでなく、
身近に接する環境にある教職員の健康についても一定程度配慮しつつ、児童生徒等の健康と
同様に教職員の健康管理も地域全体の問題と捉え、医師会や教育委員会が行う産業医配置促
進の取り組みと連携していく必要がある。

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