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学校保健委員会答申 (33 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011751.html
出典情報 令和4・5年度学校保健委員会答申「地域に根差した医師の活動である学校医活動を推進させるための具体的な方策は何か」の提出および『学校医のすすめ』発行について(6/5)《日本医師会》
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日本児童青年精神医学会

学校医活動にあたっては、児童生徒等一人ひとりが心身共に自分らしく発達していけるよ
うに医療の立場から寄与するという姿勢が重要と考える。多様性を尊重すると同時に、発達
の経過に沿って生じやすい事象を念頭に置くことによって児童生徒等への理解が深まると
思われる。身体症状とメンタルヘルスの不調が相互に絡み合って児童生徒等に悪影響を及ぼ
す可能性を考慮することも望まれる。このようなアプローチは、いずれの診療科の学校医に
とっても有用と考える。また、家庭や地域社会と学校が連携して児童生徒等の発達を支援す
ることも大切であり、地域で活動する学校医の関与がそれに役立つこともあると思われる。
以上のように、学校医の果たす役割の重要性を確認した上で包括的なアプローチの基本を
改めて発信することも学校医活動の担い手を増やすことにつながると思われる。すなわち、
学校医の目指すところを示して、動機づけを高める。その際に、学校医活動の中でかなりの
比重を占める学校健診がより効果的になるような検討も必要だろう。見落としてはならない
事項の評価をきちんと継続しつつ、児童生徒等が健康の大切さに気づくきっかけとしても機
能するように工夫することも考えられる。
健診の機会を含めて、学校医が専門性を生かした健康教育を行うことの意義は大きい。学
校に学外から参入して機能するのは実際には容易ではないが、養護教諭や教諭と協働して健
康教育を推進することによって「チームとしての学校」の一員として受け入れられやすくな
ると期待される。また、健康教育は勤務医でも分担しやすいと思われ、その体験を通じて学
校医活動に触れて、新たな担い手となっていく可能性がある。
地域で活動する勤務医が参入しやすくなると、学校医の担い手が増えて負担軽減につなが
る。それに向けて、地域で学校保健について気軽に学び合える場を設定し、児童青年精神医
学の観点も含めて多面的な検討を行うことも考えられる。
さらに、ITの進歩を生かしたデータの活用によって学校医の負担軽減を図ると共に、児
童生徒等一人ひとりの発達の経過の追跡を容易にしたり、解析に基づいて学校としての取り
組みに示唆を得ることも期待される。
(金生

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由紀子)