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学校保健委員会答申 (26 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011751.html
出典情報 令和4・5年度学校保健委員会答申「地域に根差した医師の活動である学校医活動を推進させるための具体的な方策は何か」の提出および『学校医のすすめ』発行について(6/5)《日本医師会》
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第4章

中長期的な課題

1)健診項目の見直し
学校における健康診断は、児童生徒等の健康の保持増進を図るために実施し、もって、学
校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的としている。そこには、学校生活
を送るにあたり支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングし、健康状態を把握する
という役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという、大きく二
つの役割があるとされている。このため、学校における健康診断は、個人を対象とした確定
診断を行うものではなく、学業やこれからの発育に差し支えの出るような疾病や異常がある
かという視点で選び出す「スクリーニング」の性格を持っている。その検査項目は、学校保
健安全法施行規則第6条に規定されている。
これまで、学校健診項目において、昭和 36(1961)年から実施項目となっていた蟯虫検査
は、平成 27(2015)年度限りで必須項目から削除された。理由は、衛生環境の向上により感
染率が減少したためである。同時期に座高検査も必須項目から削除された5。一方、平成 28
(2016)年度には、現代の子供たちには、運動量が多い子ども(過剰な運動)とほとんど行
わない子ども(運動不足)の二分化があり、運動器に関する様々な課題が増加しているとし
て「四肢の状態」が必須項目に加えられた。特に成長期の子どもは成人に比べ四肢軟骨の強
度が十分でなく損傷も受けやすいという特徴があることから運動量が多い子どもの運動器
障害を早期発見することなどを目的としている。しかし、これ以外の項目は変更されていな
い。
現在、文部科学省の調査によると、コロナ禍以降、不登校、自殺、体力低下、肥満、近視
などが増えており、今後、教材のデジタル化が進めば眼疾患の診断の重要性が増えてくると
考えられる。学校医、特に耳鼻咽喉科や眼科校医の確保が非常に困難となり定期的な健診が
実施しがたい地域もある。日本医師会は、社会情勢・学校環境の変化に即した学校における
健診項目を加えるよう検討をし、要望していく必要がある。

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その他、
「胸囲の検査」は平成7(1995)年度に必須項⽬から加えることのできる項⽬とされ、「⾊覚の検

査」は平成 15(2003)年度に必須項⽬から削除されている。

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