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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
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帯状疱疹に関する26か国130の研究についてまとめたシステマティックレビュー23、スペイン26、スウェ
ーデン27で行われた研究、および前述の英国の研究25によると、帯状疱疹による入院率または死亡率は、
高齢者ほど高かった。
免疫不全状態や基礎疾患の有無に関する検討として、日本の DPC データに基づく入院帯状疱疹患者に
おける調査(2016 年 4 月~2018 年 3 月)28 では、解析対象の 29,054 人(年齢中央値 71.0 歳)のうち、入
院中死亡は 1.1%(307 人)
、うち基礎疾患なしは 17 人(5.5%)で多くは何らかの基礎疾患を有していた。
T 細胞性免疫不全を有する造血幹細胞移植や臓器移植後の患者、免疫抑制治療中、リンパ腫、白血病、HIV
感染症などの基礎疾患を有する患者は帯状疱疹発症のリスクが高く、また、重篤となるリスクも高い 1。
2003年から2013年にマドリード市民(スペイン)を対象として実施された疫学調査では、帯状疱疹によ
る入院例2,039人の入院期間の中央値は6日間であった。また、この入院例の32.8%は基礎疾患に悪性腫瘍
や臓器移植後、AIDSなどを有する免疫不全患者であった。その他に糖尿病15.0%、慢性閉塞性肺疾患8.1%、
リウマチ性疾患4.7%などが基礎疾患として認められた26。
4)合併症・後遺症
皮膚病変からの細菌による二次感染、後述する様々な急性期合併症、さらに長期に持続する PHN 等の合併
症、後遺症がある。また帯状疱疹の発症部位によって特徴的な合併症を生じる(表 2)
。
表 2. 帯状疱疹の合併症(文献 7 より翻訳、一部改変)
合併症
症状
VZVの再活性部位
皮膚細菌性二次感染
溶連菌感染症、ブドウ球菌性蜂窩織炎など
いずれの知覚神経節でも発生しうる
帯状疱疹後神経痛
(PHN)
皮疹改善後も持続する疼痛
いずれの知覚神経節でも発生しうる
眼合併症
角膜炎、上強膜炎、虹彩炎、結膜炎、
ブドウ膜炎、急性網膜壊死、視神経炎、緑内障
第2脳神経(Ⅱ)、第3脳神経(Ⅲ)、
第5脳神経第一枝(V1)
無菌性髄膜炎
頭痛、髄膜刺激症状
第5脳神経(V)
血管炎(脳炎)
脳血管炎、昏迷、痙攣、
一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞
第5脳神経(V)
Bell麻痺
片側性顔面神経麻痺
第7脳神経(Ⅶ)
Ramsay Hunt症候群
耳痛、外耳道水疱、舌前方のしびれ、
顔面神経麻痺
第7脳神経(Ⅶ)膝神経節と
第8脳神経(Ⅷ)への拡大
聴覚障害
難聴
第8脳神経(Ⅷ)
運動神経炎
筋力低下、横隔神経麻痺、神経因性膀胱
いずれの知覚神経節でも発生しうる
横断性脊髄炎
麻痺、知覚麻痺、括約筋障害
脊髄神経節
スウェーデンにおける医療レジストリに基づくコホート研究で報告された合併症の頻度を示した(表
3)27,29。
表 4 は表 3 左と同一のスウェーデンの人口 150 万人の都市におけるレジストリデータを用いた検討で、
研究期間中(2008~2010 年)に帯状疱疹を発症した 13,296 人において、帯状疱疹と関連する可能性のあ
る疾患について、帯状疱疹の診断後 1 年以内の罹患率を一般集団の罹患率と比較した結果を示した。潜
10
ーデン27で行われた研究、および前述の英国の研究25によると、帯状疱疹による入院率または死亡率は、
高齢者ほど高かった。
免疫不全状態や基礎疾患の有無に関する検討として、日本の DPC データに基づく入院帯状疱疹患者に
おける調査(2016 年 4 月~2018 年 3 月)28 では、解析対象の 29,054 人(年齢中央値 71.0 歳)のうち、入
院中死亡は 1.1%(307 人)
、うち基礎疾患なしは 17 人(5.5%)で多くは何らかの基礎疾患を有していた。
T 細胞性免疫不全を有する造血幹細胞移植や臓器移植後の患者、免疫抑制治療中、リンパ腫、白血病、HIV
感染症などの基礎疾患を有する患者は帯状疱疹発症のリスクが高く、また、重篤となるリスクも高い 1。
2003年から2013年にマドリード市民(スペイン)を対象として実施された疫学調査では、帯状疱疹によ
る入院例2,039人の入院期間の中央値は6日間であった。また、この入院例の32.8%は基礎疾患に悪性腫瘍
や臓器移植後、AIDSなどを有する免疫不全患者であった。その他に糖尿病15.0%、慢性閉塞性肺疾患8.1%、
リウマチ性疾患4.7%などが基礎疾患として認められた26。
4)合併症・後遺症
皮膚病変からの細菌による二次感染、後述する様々な急性期合併症、さらに長期に持続する PHN 等の合併
症、後遺症がある。また帯状疱疹の発症部位によって特徴的な合併症を生じる(表 2)
。
表 2. 帯状疱疹の合併症(文献 7 より翻訳、一部改変)
合併症
症状
VZVの再活性部位
皮膚細菌性二次感染
溶連菌感染症、ブドウ球菌性蜂窩織炎など
いずれの知覚神経節でも発生しうる
帯状疱疹後神経痛
(PHN)
皮疹改善後も持続する疼痛
いずれの知覚神経節でも発生しうる
眼合併症
角膜炎、上強膜炎、虹彩炎、結膜炎、
ブドウ膜炎、急性網膜壊死、視神経炎、緑内障
第2脳神経(Ⅱ)、第3脳神経(Ⅲ)、
第5脳神経第一枝(V1)
無菌性髄膜炎
頭痛、髄膜刺激症状
第5脳神経(V)
血管炎(脳炎)
脳血管炎、昏迷、痙攣、
一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞
第5脳神経(V)
Bell麻痺
片側性顔面神経麻痺
第7脳神経(Ⅶ)
Ramsay Hunt症候群
耳痛、外耳道水疱、舌前方のしびれ、
顔面神経麻痺
第7脳神経(Ⅶ)膝神経節と
第8脳神経(Ⅷ)への拡大
聴覚障害
難聴
第8脳神経(Ⅷ)
運動神経炎
筋力低下、横隔神経麻痺、神経因性膀胱
いずれの知覚神経節でも発生しうる
横断性脊髄炎
麻痺、知覚麻痺、括約筋障害
脊髄神経節
スウェーデンにおける医療レジストリに基づくコホート研究で報告された合併症の頻度を示した(表
3)27,29。
表 4 は表 3 左と同一のスウェーデンの人口 150 万人の都市におけるレジストリデータを用いた検討で、
研究期間中(2008~2010 年)に帯状疱疹を発症した 13,296 人において、帯状疱疹と関連する可能性のあ
る疾患について、帯状疱疹の診断後 1 年以内の罹患率を一般集団の罹患率と比較した結果を示した。潜
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