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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》
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(2)疾患の特性
① 臨床症状
1)潜伏期間と発症に関与する要因
VZV 初感染から水痘発症までの潜伏期間は 2 週間程度(10~21 日)であるが、VZV 初感染から帯状疱
疹発症までの期間は一定ではない。加齢は帯状疱疹の重要なリスク因子とされ 8 、50 歳以上になると発
症頻度が高まり、70 歳以上で更に高くなる 5。
年齢と細胞性免疫の関連に関して、細胞性免疫の指標として水痘抗原皮内テストを用いて検討された
報告がある 12。糖タンパク質酵素結合免疫吸着測定法(Glycoprotein Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay:
gpELISA 法)で抗 VZV 抗体(液性免疫の指標)陽性が判明している 50~70 歳代の成人 129 人において、
高齢であるほど水痘抗原皮内テストへの反応性は減衰しており、陰性者の割合は 50 歳代で 20.3%(16/79
人)
、60 歳代で 48.0%(12/25 人)
、70 歳代では 56.0%(14/25 人)と年齢とともに増加していた 12。その
他、50 歳以上を対象とした国内の帯状疱疹に関する大規模調査でも、水痘抗原皮内テストにおける反応
性は年齢とともに有意に減衰しており、すなわち、加齢による VZV に対する細胞性免疫の低下が示唆さ
れた。さらに水痘抗原皮内テストへの反応性が高いほど、観察期間中の帯状疱疹の罹患率が低かった 13。
一方、同検討では液性免疫の指標としての gpELISA や免疫粘着赤血球凝集反応(Immune Adherence
Hemagglutination:IAHA)法による抗体価は水痘抗原皮内テストの結果と相関はなかった 13-15。
一方、1 歳未満で水痘に罹患した場合、小児期の帯状疱疹発症に関与することが指摘されている 16,17。
また妊娠中に妊婦が水痘を発症すると経胎盤経路で胎児が VZV に感染する場合があることから、生後水
痘の罹患歴がなくても、乳幼児期に帯状疱疹を発症することがある 18。
2)主症状
帯状疱疹の特徴は、片側性の神経支配領域(デルマトーム)に、時に疼痛を伴う集簇した水疱を形成す
ることである。皮疹の出現領域は通常、中心線をまたがず限局的であるが、免疫抑制状態の程度が強い場
合には、播種性(汎発性)帯状疱疹となることがある。
通常、痒みもしくは痛みが皮疹出現 2~3 日前から出現する。新規の皮疹が 3~5 日間にわたって出現
し、痂皮化には 10~15 日ほど必要で、皮膚所見が正常に戻るまでには 1 か月ほどを要する 19。免疫不全
患者における発症頻度は健常者のそれより高く 20、2 週間以上にわたって新規の皮疹が出現することもあ
る。一方、神経痛のみで皮疹が出現しない、無疱疹性帯状疱疹(zoster sine herpete)も存在する 8。第 3 胸
髄~第 2 腰髄(T3~L2)レベルの神経支配領域の発症頻度が高い(表 1)18。

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