よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (40 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

③ 免疫抑制剤使用中の患者に対する安全性
一般的に、免疫不全状態にある患者や、免疫抑制剤内服中あるいは生物学的製剤の使用中の生ワクチン
接種は禁忌とされている 2。しかし、炎症性腸疾患(IBD)、関節性リウマチ(RA)、全身性エリテマトー
デス(SLE)など、免疫抑制剤を治療薬とする自己免疫性疾患患者や免疫不全状態の患者において、帯状
疱疹は重症になることも知られており、これらのハイリスク患者の予防戦略の確立は重要である。
Ohfuji らは、日本の悪性疾患、糖尿病、自己免疫疾患、及び腎疾患などの基礎疾患のある患者は健常者
と比較して、ワクチン接種後の有害事象の発生に差がないことを報告した 194。
また、Nadius らの報告によると、62 人の血液悪性疾患の患者に ZOSTAVAX ®を投与したが、ワクチン
関連の有害事象は認められなかった 195。Zhang らは、生物学的製剤使用中の自己免疫関連疾患患者に帯
状疱疹ワクチンを接種した場合にも、接種後 42 日以内の帯状疱疹の発症リスクは増加しなかったと報告
している 196。
一方、Cheetham らは、免疫抑制剤使用中の患者では、ワクチン接種 30 日前までに免疫抑制剤を中止し
た患者と比較し、帯状疱疹ワクチン接種後 42 日以内の帯状疱疹の発症リスクが増加する(免疫抑制剤を
中止した患者群とのオッズ比 2.99, 95% CI: 1.58~5.70)と報告した 197。ただし、これはワクチン株由来の
帯状疱疹ではなく、潜伏している野生株の VZV 再活性化の可能性が高いとしている 197。
Russell らは、副腎皮質ステロイド全身投与 (プレドニゾロン換算 1 日 5~20 mg)中の患者に対する帯
状疱疹ワクチン接種による有害事象について調査し、ワクチン接種による重篤な有害事象は増加しなか
ったと報告した 198。この報告では、接種 16 日後に眼部帯状疱疹を発症した 1 症例が認められたが、その
病変から PCR 法で野生株 VZV DNA が検出された。
移植後の患者に対する有害事象の報告は、49 歳の腎移植後の女性でアザチオプリン、タクロリムス、
プレドニゾロン、メトホルミンを内服中の患者が報告されている 199。一方、移植後患者に対する弱毒生
帯状疱疹ワクチンの安全性を示す報告もある 200。50 歳以上の幹細胞移植後の患者を対象とした研究では
深刻な有害事象は報告されなかった 201。105 人の末期呼吸器疾患患者に対する肺移植前にワクチンを接
種したが、移植後に感染や拒絶を増やさなかったことが報告されている 202。
臓器移植または幹細胞移植前後の帯状疱疹ワクチン投与については、現在、50 歳以上で、移植の 4 週
間以上前に投与することが推奨されているが 197,203、移植後にシクロフォスファミド、高用量ステロイド、
生物学的製剤使用中の患者については、ワクチン由来の VZV の活性化リスクが上昇する可能性があり
204,205、接種は推奨されないとしている 203。

弱毒生帯状疱疹ワクチン(ZOSTAVAX ®)は、抗 TNF 薬服用中の IBD 患者において、安全であり 206、
メトトレキセートや低用量ステロイド(<20 mg/day)との併用でも変わらないことが示された 207,208。カ
ナダの IBD 治療ガイドラインによると、免疫抑制剤を使用していない IBD には推奨されるが、免疫抑制
剤内服中の IBD 患者には推奨されないとされている 209。
50 歳以上の RA 患者で生物学的製剤や、シクロフォスファミド、プレドニゾロンを 1 日 20 mg 以上内
服していないものについては、1.6 年(中央値)のフォローアップ期間中にワクチン由来の帯状疱疹の発
症は見られなかった 210。50 歳以上の RA 患者でメトトレキセート内服中またはメトトレキセートとトフ
39