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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (50 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
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(6)医療経済学的な観点
1. わが国における先行研究
わが国における帯状疱疹に対するワクチン接種の費用対効果に関する文献は、2024 年 4 月時点で Pub
Med に 4 件が収載されていた。
Hoshi SL et al.(2017)241 は、
(1)65~84 歳、
(2)70~84 歳、
(3)75~84 歳、
(4)80~84 歳の年齢層を
対象に乾燥弱毒生水痘ワクチン(以下、生ワクチン)1回接種を実施する場合について、社会の立場から
増分費用効果比(ICER)を算出した。ワクチンの接種費用は 10,000 円とし、割引率は費用・効果ともに
年率 3%とした。マルコフモデルにおける健康状態は、帯状疱疹関連疾患なし、急性帯状疱疹後回復、帯
状疱疹後神経痛(PHN)後回復、帯状疱疹/PHN 後、一般死亡とした。ICER はすべての年齢層について
500 万円/QALY を下回り、中でも 65~84 歳の ICER は 2,812,000 円と最も低かった。
Hoshi SL et al.(2019)242 は、生ワクチン 1 回接種と乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(以下、組換えワク
チン)2 回接種について、Hoshi SL et al.(2017)241 と同じ年齢層を対象に同様のマルコフモデルを用い
て、支払者の立場から ICER を算出した。ワクチンの接種費用は生ワクチン 1 回接種 8,000 円、組換えワ
クチン 2 回接種 30,000 円とし、割引率は費用・効果ともに年率 3%とした。組換えワクチンの効果は ZOE50 試験(NCT01165177)および ZOE-70 試験(NCT01165229)の 4 年間のデータを用いている。生ワクチ
ン 1 回接種の ICER は 2,633,587 円(80~84 歳)から 3,434,267 円(65~84 歳)であった。 また、組換え
ワクチン 2 回接種では 5,262,227 円(80~84 歳)から 6,278,557 円(65~84 歳)であった。
Shiragami M et al.(2019)243 は、65 歳以上を対象として組換えワクチンを 2 回接種する場合の費用対効
果を推計した。ベースケース解析では、ワクチンの接種率は 40%、2 回目の接種率は 95%と仮定した。ワ
クチンの費用は 1 回 12,000 円、手技料は 1 回 3,170 円、これらに消費税 8%を加算した。費用と効果は年
率 2%で割り引き、ICER を支払者の立場と社会の立場から算出した。組換えワクチンの効果は ZOE-50 試
験(NCT01165177)および ZOE-70 試験(NCT01165229)の 4 年間のデータを用いている。組換えワクチ
ン接種により、非接種と比較して、65 歳以上の 100 万人あたり 48,943 例の帯状疱疹症例および 12,136 例
の PHN 症例が予防され、ICER は支払者の視点からは約 432 万円/QALY、社会的視点からは 404 万円
/QALY と推計された。感度分析ではほとんどの場合に 500 万円/QALY を下回った。なお、本研究は企業
の資金提供によるものである。
Teng L et al.(2022)244 は、65 歳の日本人集団を対象に、組換えワクチン 2 回接種の費用対効果の推計
を行った。分析方法は Shiragami M et al.(2019)243 と基本的に同様であるが、ワクチンの価格を 33,000 円
に更新するとともに、8 年間の長期成績(中間 ZOE-LTFU;NCT02723773)に基づいて、年齢層別のワク
チン有効性と減弱率を更新した。1 回目の接種率は 40%、2 回目の接種遵守率は 95%と仮定した。費用と
効果は毎年 2%で割り引かれ、ICER は支払者の立場と社会の立場から算出された。社会的観点では、帯
状疱疹に罹患することによる生産性損失、または帯状疱疹に罹患することによる生産性損失とワクチン
接種に要する時間を考慮した。基本分析は 65 歳の者であるが、50 歳、60 歳、70 歳、80 歳、50 歳以上、
65 歳以上の集団を対象としたシナリオ解析を行った。組換えワクチンはワクチンを接種しない場合と比
較して、65 歳 100 万人あたり 71,423 例の帯状疱疹患者と 15,858 例の PHN を予防すると推定された。
ICER は、支払者の立場から 4,205,515 円であり、感度分析では、ワクチン効果の減弱、帯状疱疹患者が
PHN を発症する割合、帯状疱疹発症率に関する仮定に最も影響を受けた。社会の立場からは、ICER は
3,854,192 円(帯状疱疹罹患による生産性損失のみ)
、4,622,212 円(帯状疱疹罹患による生産性損失とワク
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1. わが国における先行研究
わが国における帯状疱疹に対するワクチン接種の費用対効果に関する文献は、2024 年 4 月時点で Pub
Med に 4 件が収載されていた。
Hoshi SL et al.(2017)241 は、
(1)65~84 歳、
(2)70~84 歳、
(3)75~84 歳、
(4)80~84 歳の年齢層を
対象に乾燥弱毒生水痘ワクチン(以下、生ワクチン)1回接種を実施する場合について、社会の立場から
増分費用効果比(ICER)を算出した。ワクチンの接種費用は 10,000 円とし、割引率は費用・効果ともに
年率 3%とした。マルコフモデルにおける健康状態は、帯状疱疹関連疾患なし、急性帯状疱疹後回復、帯
状疱疹後神経痛(PHN)後回復、帯状疱疹/PHN 後、一般死亡とした。ICER はすべての年齢層について
500 万円/QALY を下回り、中でも 65~84 歳の ICER は 2,812,000 円と最も低かった。
Hoshi SL et al.(2019)242 は、生ワクチン 1 回接種と乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(以下、組換えワク
チン)2 回接種について、Hoshi SL et al.(2017)241 と同じ年齢層を対象に同様のマルコフモデルを用い
て、支払者の立場から ICER を算出した。ワクチンの接種費用は生ワクチン 1 回接種 8,000 円、組換えワ
クチン 2 回接種 30,000 円とし、割引率は費用・効果ともに年率 3%とした。組換えワクチンの効果は ZOE50 試験(NCT01165177)および ZOE-70 試験(NCT01165229)の 4 年間のデータを用いている。生ワクチ
ン 1 回接種の ICER は 2,633,587 円(80~84 歳)から 3,434,267 円(65~84 歳)であった。 また、組換え
ワクチン 2 回接種では 5,262,227 円(80~84 歳)から 6,278,557 円(65~84 歳)であった。
Shiragami M et al.(2019)243 は、65 歳以上を対象として組換えワクチンを 2 回接種する場合の費用対効
果を推計した。ベースケース解析では、ワクチンの接種率は 40%、2 回目の接種率は 95%と仮定した。ワ
クチンの費用は 1 回 12,000 円、手技料は 1 回 3,170 円、これらに消費税 8%を加算した。費用と効果は年
率 2%で割り引き、ICER を支払者の立場と社会の立場から算出した。組換えワクチンの効果は ZOE-50 試
験(NCT01165177)および ZOE-70 試験(NCT01165229)の 4 年間のデータを用いている。組換えワクチ
ン接種により、非接種と比較して、65 歳以上の 100 万人あたり 48,943 例の帯状疱疹症例および 12,136 例
の PHN 症例が予防され、ICER は支払者の視点からは約 432 万円/QALY、社会的視点からは 404 万円
/QALY と推計された。感度分析ではほとんどの場合に 500 万円/QALY を下回った。なお、本研究は企業
の資金提供によるものである。
Teng L et al.(2022)244 は、65 歳の日本人集団を対象に、組換えワクチン 2 回接種の費用対効果の推計
を行った。分析方法は Shiragami M et al.(2019)243 と基本的に同様であるが、ワクチンの価格を 33,000 円
に更新するとともに、8 年間の長期成績(中間 ZOE-LTFU;NCT02723773)に基づいて、年齢層別のワク
チン有効性と減弱率を更新した。1 回目の接種率は 40%、2 回目の接種遵守率は 95%と仮定した。費用と
効果は毎年 2%で割り引かれ、ICER は支払者の立場と社会の立場から算出された。社会的観点では、帯
状疱疹に罹患することによる生産性損失、または帯状疱疹に罹患することによる生産性損失とワクチン
接種に要する時間を考慮した。基本分析は 65 歳の者であるが、50 歳、60 歳、70 歳、80 歳、50 歳以上、
65 歳以上の集団を対象としたシナリオ解析を行った。組換えワクチンはワクチンを接種しない場合と比
較して、65 歳 100 万人あたり 71,423 例の帯状疱疹患者と 15,858 例の PHN を予防すると推定された。
ICER は、支払者の立場から 4,205,515 円であり、感度分析では、ワクチン効果の減弱、帯状疱疹患者が
PHN を発症する割合、帯状疱疹発症率に関する仮定に最も影響を受けた。社会の立場からは、ICER は
3,854,192 円(帯状疱疹罹患による生産性損失のみ)
、4,622,212 円(帯状疱疹罹患による生産性損失とワク
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