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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
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疫不全患者においては、水痘もしくは播種性帯状疱疹の初発症状として皮疹出現に先行して体内臓器で
の感染が原因で激しい腹痛や腰背部痛が出現する内臓播種性VZV感染症の場合があり、致命率が高い42,43。
帯状疱疹に伴う肺炎、肝炎も重篤な合併症である。
同種造血幹細胞移植後の患者における調査(日本, 1994年1月~2005年6月)では、2,411人中20人(0.8%)
で内臓播種性VZV感染症を発症し、そのうち17人(85%)が免疫抑制薬投与中の患者であった。VZVに対
する抗体検査を実施された症例のうち、12/17人(70%)が移植前の時点で抗体陽性であった。移植から発
症までの中央値は273日(範囲:103~800日)で、初発症状は80%が腹痛、15%が意識障害、1人は無症状
で、18人(90%)に皮疹が出現した。皮疹出現までの期間は初発症状から0~13日(中央値3日)であった。
全体の致命率は20%であった43。
5)感染性
帯状疱疹患者の水疱中には VZV が存在することから、VZV に対する感受性者への感染源となり得る。
水痘の家族内二次感染率は、未接種者の場合に 71.5%44 や、61~100%45 とされている。一方、帯状疱疹の
場合の感染性は、水痘の場合に比較すると低いものの、家族内感染の場合には、感受性者への二次感染率
は 20%とされている 45。
免疫機能に異常を認めない帯状疱疹患者において、唾液中にVZV DNAが検出されることが示されてい
る46-48。また、基礎疾患のない帯状疱疹症例の唾液から感染性を有するVZVが分離された例も報告されて
いる48。 主な感染経路は接触感染とされているが、帯状疱疹患者が滞在した部屋の空気中からVZV DNA
が検出されることから49、帯状疱疹患者からも空気感染が生じうることが示唆される。顔面の帯状疱疹の
場合や、免疫不全を有する帯状疱疹患者、播種性帯状疱疹の場合の感染性はより高い。局所的な帯状疱疹
の場合には病変部が被服等に覆われていると感染性は低くなる50。
以上のことから、帯状疱疹患者は病変部が乾燥・痂皮化するまでは、感受性者、特に重症水痘となるリ
スクが高い者(妊娠中の女性、VZV に対する免疫を持たない母親から生まれた新生児、母親の免疫状態
にかかわらず在胎 28 週未満あるいは体重 1,000 グラム未満の新生児、全年齢層の免疫不全の者)との接
触は避けるべきとされている 45。
② 鑑別を要する他の疾患
一般的に帯状疱疹は臨床症状が特徴的なことから診断が比較的容易である。単純ヘルペスウイルス
(herpes simplex virus:HSV)の再活性化による単純疱疹、接触皮膚炎、虫刺症、丹毒 51 など、様々な皮
膚疾患が鑑別疾患として挙げられる。皮疹の分布、水痘の既往歴、基礎疾患などの患者背景を考慮し、ウ
イルス学的な検査が必要な場合がある。
水痘と播種性帯状疱疹との鑑別は、水痘の既往歴が不明である場合、臨床症状のみでは難しい場合が多
い。帯状疱疹の場合にも水痘と同様に抗 VZV-IgM 抗体が陽性になることがあるが、陽性化しない場合も
ある。ペア血清で抗 VZV-IgG 抗体の有意上昇を認めることがあるが、急性期から既に抗 VZV-IgG 抗体が
高い場合は、回復期の抗 VZV-IgG 抗体の上昇を確認できないことがある。急性期から抗 VZV-IgG 抗体が
陽性である場合は VZV に既に感染している蓋然性が高いことから、そのような場合、水痘ではなく播種
性帯状疱疹である可能性がある。
水痘ワクチン接種後に帯状疱疹を発症することは稀であるが、急性白血病患児など免疫不全を有する
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の感染が原因で激しい腹痛や腰背部痛が出現する内臓播種性VZV感染症の場合があり、致命率が高い42,43。
帯状疱疹に伴う肺炎、肝炎も重篤な合併症である。
同種造血幹細胞移植後の患者における調査(日本, 1994年1月~2005年6月)では、2,411人中20人(0.8%)
で内臓播種性VZV感染症を発症し、そのうち17人(85%)が免疫抑制薬投与中の患者であった。VZVに対
する抗体検査を実施された症例のうち、12/17人(70%)が移植前の時点で抗体陽性であった。移植から発
症までの中央値は273日(範囲:103~800日)で、初発症状は80%が腹痛、15%が意識障害、1人は無症状
で、18人(90%)に皮疹が出現した。皮疹出現までの期間は初発症状から0~13日(中央値3日)であった。
全体の致命率は20%であった43。
5)感染性
帯状疱疹患者の水疱中には VZV が存在することから、VZV に対する感受性者への感染源となり得る。
水痘の家族内二次感染率は、未接種者の場合に 71.5%44 や、61~100%45 とされている。一方、帯状疱疹の
場合の感染性は、水痘の場合に比較すると低いものの、家族内感染の場合には、感受性者への二次感染率
は 20%とされている 45。
免疫機能に異常を認めない帯状疱疹患者において、唾液中にVZV DNAが検出されることが示されてい
る46-48。また、基礎疾患のない帯状疱疹症例の唾液から感染性を有するVZVが分離された例も報告されて
いる48。 主な感染経路は接触感染とされているが、帯状疱疹患者が滞在した部屋の空気中からVZV DNA
が検出されることから49、帯状疱疹患者からも空気感染が生じうることが示唆される。顔面の帯状疱疹の
場合や、免疫不全を有する帯状疱疹患者、播種性帯状疱疹の場合の感染性はより高い。局所的な帯状疱疹
の場合には病変部が被服等に覆われていると感染性は低くなる50。
以上のことから、帯状疱疹患者は病変部が乾燥・痂皮化するまでは、感受性者、特に重症水痘となるリ
スクが高い者(妊娠中の女性、VZV に対する免疫を持たない母親から生まれた新生児、母親の免疫状態
にかかわらず在胎 28 週未満あるいは体重 1,000 グラム未満の新生児、全年齢層の免疫不全の者)との接
触は避けるべきとされている 45。
② 鑑別を要する他の疾患
一般的に帯状疱疹は臨床症状が特徴的なことから診断が比較的容易である。単純ヘルペスウイルス
(herpes simplex virus:HSV)の再活性化による単純疱疹、接触皮膚炎、虫刺症、丹毒 51 など、様々な皮
膚疾患が鑑別疾患として挙げられる。皮疹の分布、水痘の既往歴、基礎疾患などの患者背景を考慮し、ウ
イルス学的な検査が必要な場合がある。
水痘と播種性帯状疱疹との鑑別は、水痘の既往歴が不明である場合、臨床症状のみでは難しい場合が多
い。帯状疱疹の場合にも水痘と同様に抗 VZV-IgM 抗体が陽性になることがあるが、陽性化しない場合も
ある。ペア血清で抗 VZV-IgG 抗体の有意上昇を認めることがあるが、急性期から既に抗 VZV-IgG 抗体が
高い場合は、回復期の抗 VZV-IgG 抗体の上昇を確認できないことがある。急性期から抗 VZV-IgG 抗体が
陽性である場合は VZV に既に感染している蓋然性が高いことから、そのような場合、水痘ではなく播種
性帯状疱疹である可能性がある。
水痘ワクチン接種後に帯状疱疹を発症することは稀であるが、急性白血病患児など免疫不全を有する
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