よむ、つかう、まなぶ。
03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (52 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
よりも 20%程度低下)を組み込んだ分析も実施した。
罹患時の QOL の低下は、PHN 合併の有無ごとに区分した Mizukami et al. 248・Imafuku et al. 249 の年代別
データを用いた。PHN 合併なしの場合の損失は 0.014-0.017QALY、合併ありの場合は 0.118-0.179QALY で
あった。シナリオ分析として、Hoshi et al.(2017)241 の生ワクチンの費用対効果評価論文中と、同じく
Hoshi et al.(2019)242 の組換えワクチンも含めた費用対効果評価論文での QOL 低下の数値を組み込んだ
分析も実施した。Hoshi et al.(2017)241 の数値では、PHN 合併なしが 0.0452-0.0456QALY、合併ありが
0.21-0.24QALY で、いずれもベースの数値よりも大きい。Hoshi et al.(2019)242 の数値は PHN 合併なしが
0.009-0.0160QALY、合併ありが 0.12-0.23QALY で、ベースの数値との差はやや縮小している。
ワクチン費用は、東京都のデータをもとに生ワクチン 10,000 円(接種回数 1 回)
・組換えワクチン 40,000
円(接種回数 2 回)とした。ここでのワクチン費用は、ワクチンそのもののコストと接種費用(手技料
等)を合算したものである。帯状疱疹罹患後の医療費は、Shiragami et al. 243・Teng et al. 244 のデータをも
とに、合併症なしが 37,494 円・PHN 合併が 123,852 円・PHN 以外の合併症併発例が 70,941 円とした。な
お、今回の分析では保健医療費支払者の立場として、ワクチン接種費用及び医療費を自己負担割合にかか
わらず 100%分析に組み込んでいる。B 類定期接種の場合、接種費用のうち国の負担割合は原則 3 割で、
自治体負担分を含めても接種費用の負担割合(3 割+自治体負担分)よりも医療費の負担割合(7 割~9 割)
が大きくなる。双方を 100%組み込む分析は、実質的に接種費用を 100%負担する設定となるため、国の
立場からは予防接種にとってやや保守的な分析になる。
分析は、特定の年齢集団に接種したケース(50 歳から 5 歳刻みで 80 歳まで)と、人口分布を考慮しつ
つある年齢以上の全ての集団(
「50 歳以上全員」
「55 歳以上全員」…「70 歳以上全員」まで)に接種した
ケースの二つのシナリオで行った。なお、後者のシナリオでの人口分布には、2023 年 10 月 1 日現在の年
齢別人口推計の数値を用いた(概数で、50 歳以上 6,166 万人・60 歳以上 4,373 万人・70 歳以上 2,889 万
人となる)
。
基本分析の結果を表 17A に、シナリオ分析の結果を表 17B~表 17H に示す。基本分析では、生ワクチ
ンの PHN 予防効果を 1 年目 50%・2~7 年目は 25%と設定している。
ICER は、
「生ワクチン vs 非接種(A とおく)
」
「組換えワクチン vs 非接種(B とおく)
」
「組換えワク
チン vs 生ワクチン(C とおく)
」の 3 通りを計算した。どの分析でも、費用・QALY 減少を阻止する効
果ともに組換えワクチン>生ワクチン>非接種の関係が成立している。この場合、A と B の大小関係に
よって、ICER の評価法が変化する。
A<B(非接種に対する ICER で、生ワクチン<組換えワクチン)の場合は、生ワクチンの費用対効果は
A の数値(vs 非接種)で、組換えワクチンの費用対効果は C の数値(vs 生ワクチン)で評価する。
A>B(非接種に対する ICER で、生ワクチン>組換えワクチン)の場合、生ワクチンは費用対効果のう
えでは選択肢から除外される。組換えワクチンの費用対効果は、生ワクチンが除外されるため、B の数値
(vs 非接種)で評価される。表中で太字で示した部分が、該当するケースである。
表の各行に色をつけたセル(B もしくは C)が、組換えワクチンの費用対効果の数値として各行で参照
すべき ICER の数値である。色をつけたセルの数値が 500(もしくは 600)より小さければ組換えワクチ
ンが費用対効果に優れ、大きければ比較対照(B ならば生ワクチン、C ならば非接種)が費用対効果に優
51
罹患時の QOL の低下は、PHN 合併の有無ごとに区分した Mizukami et al. 248・Imafuku et al. 249 の年代別
データを用いた。PHN 合併なしの場合の損失は 0.014-0.017QALY、合併ありの場合は 0.118-0.179QALY で
あった。シナリオ分析として、Hoshi et al.(2017)241 の生ワクチンの費用対効果評価論文中と、同じく
Hoshi et al.(2019)242 の組換えワクチンも含めた費用対効果評価論文での QOL 低下の数値を組み込んだ
分析も実施した。Hoshi et al.(2017)241 の数値では、PHN 合併なしが 0.0452-0.0456QALY、合併ありが
0.21-0.24QALY で、いずれもベースの数値よりも大きい。Hoshi et al.(2019)242 の数値は PHN 合併なしが
0.009-0.0160QALY、合併ありが 0.12-0.23QALY で、ベースの数値との差はやや縮小している。
ワクチン費用は、東京都のデータをもとに生ワクチン 10,000 円(接種回数 1 回)
・組換えワクチン 40,000
円(接種回数 2 回)とした。ここでのワクチン費用は、ワクチンそのもののコストと接種費用(手技料
等)を合算したものである。帯状疱疹罹患後の医療費は、Shiragami et al. 243・Teng et al. 244 のデータをも
とに、合併症なしが 37,494 円・PHN 合併が 123,852 円・PHN 以外の合併症併発例が 70,941 円とした。な
お、今回の分析では保健医療費支払者の立場として、ワクチン接種費用及び医療費を自己負担割合にかか
わらず 100%分析に組み込んでいる。B 類定期接種の場合、接種費用のうち国の負担割合は原則 3 割で、
自治体負担分を含めても接種費用の負担割合(3 割+自治体負担分)よりも医療費の負担割合(7 割~9 割)
が大きくなる。双方を 100%組み込む分析は、実質的に接種費用を 100%負担する設定となるため、国の
立場からは予防接種にとってやや保守的な分析になる。
分析は、特定の年齢集団に接種したケース(50 歳から 5 歳刻みで 80 歳まで)と、人口分布を考慮しつ
つある年齢以上の全ての集団(
「50 歳以上全員」
「55 歳以上全員」…「70 歳以上全員」まで)に接種した
ケースの二つのシナリオで行った。なお、後者のシナリオでの人口分布には、2023 年 10 月 1 日現在の年
齢別人口推計の数値を用いた(概数で、50 歳以上 6,166 万人・60 歳以上 4,373 万人・70 歳以上 2,889 万
人となる)
。
基本分析の結果を表 17A に、シナリオ分析の結果を表 17B~表 17H に示す。基本分析では、生ワクチ
ンの PHN 予防効果を 1 年目 50%・2~7 年目は 25%と設定している。
ICER は、
「生ワクチン vs 非接種(A とおく)
」
「組換えワクチン vs 非接種(B とおく)
」
「組換えワク
チン vs 生ワクチン(C とおく)
」の 3 通りを計算した。どの分析でも、費用・QALY 減少を阻止する効
果ともに組換えワクチン>生ワクチン>非接種の関係が成立している。この場合、A と B の大小関係に
よって、ICER の評価法が変化する。
A<B(非接種に対する ICER で、生ワクチン<組換えワクチン)の場合は、生ワクチンの費用対効果は
A の数値(vs 非接種)で、組換えワクチンの費用対効果は C の数値(vs 生ワクチン)で評価する。
A>B(非接種に対する ICER で、生ワクチン>組換えワクチン)の場合、生ワクチンは費用対効果のう
えでは選択肢から除外される。組換えワクチンの費用対効果は、生ワクチンが除外されるため、B の数値
(vs 非接種)で評価される。表中で太字で示した部分が、該当するケースである。
表の各行に色をつけたセル(B もしくは C)が、組換えワクチンの費用対効果の数値として各行で参照
すべき ICER の数値である。色をつけたセルの数値が 500(もしくは 600)より小さければ組換えワクチ
ンが費用対効果に優れ、大きければ比較対照(B ならば生ワクチン、C ならば非接種)が費用対効果に優
51