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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (53 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》
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れると判断される。
費用対効果の基準値を 1QALY あたり 500 万円および 600 万円に設定した場合、全てのシナリオ・全て
の年齢階層において、A(生ワクチンの ICER)と色つきセル(B または C, 組換えワクチンの ICER)の
少なくとも一方は基準値を下回った。すなわち、ワクチン接種自体は、
(非接種と比較して)常に費用対
効果に優れる結果になった。表の右側に、各行で基準値 500 万円・600 万円それぞれのケースでどちらの
ワクチンが優れているかを示した。
年齢を固定した分析では、50 歳から 65 歳までは組換えワクチンが、75 歳と 80 歳では生ワクチンのワ
クチンが費用対効果の点で最も優れる介入となった。70 歳では、生ワクチンの PHN 効果のシナリオによ
って、組換えワクチンが優れる場合と生ワクチンが優れる場合とが混在する結果となった。
一定の年齢以上の全員に接種するシナリオでは、50 歳以上全員・55 歳以上全員・60 歳以上全員の 3 つ
のパターンでは組換えワクチンがおおむね優れる結果となった(55 歳以上全員のケースでは、組換えワ
クチンの ICER が 500 万円~600 万円に近接した値となる)

65 歳以上全員接種ではシナリオによって、生ワクチンが優れる場合と組換えワクチンが優れる場合と
が混在し、70 歳以上全員接種のシナリオでは生ワクチンが費用対効果の点で優れる結果となった。
QOL 低下のデータとして Hoshi et al.(2017)241 や Hoshi et al.(2019)242 のデータを用いた場合(表 17E、
17F)
、全体的に組換えワクチンが費用対効果に優れる結果になるケースが増加した。
罹患率に関するシナリオ分析として、Shiraki et al.(2019)247 の宮崎スタディにおける帯状疱疹の罹患
率 (1,000PY あたり 6.65-10.45, ベースケースの SHEZ スタディ 5 の数値よりも 20%程度低下)を組み込ん
だ場合 (表 17G)、双方のワクチンともに費用対効果が若干悪化したが、全体の傾向はおおむね共通であ
った。
今回の分析には、種々の限界点がある。
まず罹患率のデータについて、ベースケースで用いた SHEZ スタディのデータは 2008~2009 年からの
3 年間の追跡調査に基づくもので、
開始から 15 年が経過した現在とは状況が異なっている可能性がある。
もっとも、シナリオ分析で用いた Shiraki et al.(2019)247 の研究では経年的な罹患率の上昇傾向が見られ
る。罹患率が漸増する状況下で、過去の SHEZ スタディの数値を「そのまま」用いることは、現状の罹患
率よりも低めの推計になり、ワクチンの費用対効果については控えめな推計となる(組換えワクチンと生
ワクチン相互の比較に関しては、費用・効果ともにより高い組換えワクチンにとって不利・生ワクチンに
とって有利な推計となる)
。また、双方ともに国内の研究である SHEZ スタディと宮崎スタディのうち、
相対的に罹患率の高い SHEZ スタディをベースケースに選択したことはむしろ接種に対して有利な推計
になりうるが、研究自体の質と、先行研究で基本データとして使用されていることを考慮した結果であ
る。
あわせてワクチンの有効性について、i)生ワクチンの有効性への年齢の影響、 ii)組換えワクチンに
ついて、帯状疱疹発症者に対する PHN 発症予防の「上乗せ効果」の二点は、十分なデータが得られなか
ったことから分析には含めていない。これらの要素は、生ワクチンにとって有利(組換えワクチンには不
利)な推計となり、追加的なデータの収集が必要である。
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