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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (38 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》
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状疱疹ワクチンの安全性についての無作為抽出比較試験を集めたコクランレビューによると 、中等度の
エビデンスで、接種の有効性が確立されたとしている。安全性については、軽度または中等度までの局所
の有害事象が認められるが、全身の有害事象はほぼなかった 161-163。
全世界で 3 千万回以上の弱毒生帯状疱疹ワクチン
(ZOSTAVAX™; Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA)
が接種された後(製造販売承認後)の、有害事象を集めた安全性データベースに 2006 年から 2016 年の
10 年間に有害事象は、23,556 件(合計 45,898 件)報告された。大部分(93%)が重篤でない有害事象で、
接種から 2 日後(中央値)の報告が多かった。しかし、野生株による帯状疱疹は、接種から 2 週間以内に
認められ、免疫正常者で 1 件、免疫不全者で 4 件あった。播種性帯状疱疹と考えられた有害事象は 18 件
で、そのうち 4 件でワクチン由来ウイルスが同定された 164。
米国 Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)による製造販売承認後調査では、2006 年から 2015
年までの 10 年間に、50 歳以上の帯状疱疹ワクチン接種後に、23,092 件の有害事象が報告された。重篤な
有害事象は 851 件(4%)で、そのうちアナフィラキシーショックが 36 件を占めたが、死亡の報告はなか
った。106 件の眼帯状疱疹のうち 15 件が重篤な有害事象と認められた。接種者に接触した 96 人に皮疹を
認め、そのうち 12 人は肺炎や意識障害などを合併して重症で、帯状疱疹様、水痘様疾患が見られた 165。
米国のワクチン安全データベース(VSD; Vaccine Safety Datalink System)や食品医薬品局(FDA)によ
ると、帯状疱疹ワクチン接種後のギラン・バレー症候群の発生率は 100 万接種に対して 3.3 から 6.3 と推
測されているが 166-168、別の VAERS への報告に基づいた分析では、帯状疱疹ワクチン接種が、ギラン・
バレー症候群、多発性硬化症、視神経炎、全身性エリテマトーデス、血小板減少症や血管炎などの重篤な
自己免疫関連疾患を悪化させたり誘発させることはない、と結論付けられた。一方で、帯状疱疹ワクチン
接種者では破傷風トキソイド含有ワクチン接種者と比較して、関節炎、脱毛症の発症がそれぞれ 2.7 倍
(95%CI: 1.7~4.3, p<0.001)
、2.2 倍(95%CI: 1.2~4.3, p=0.015)多かったが、それらは生命予後には関わ
っていなかった 169。
VSD を使用した研究では、60 歳以上の 19 万人の帯状疱疹ワクチン接種者のうち、接種後 1~7 日以
内のアレルギー反応が若干増加するリスクがあることが指摘されたが、接種後 42 日以内の脳梗塞、髄膜
炎、脳炎、ベル麻痺などの重篤な有害事象の増加は見られなかった 170。ニュージーランドの原住民の成
人を対象に実施された自己対照研究によると、ワクチン接種後に脳血管疾患、心筋梗塞、急性心内膜炎、
急性心筋炎、耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)の増加は認められなかったとされている 171。
韓国、インド、米国、オーストラリア、ケニアなどにおける多くの調査で、帯状疱疹ワクチン接種によ
る局所反応が報告されたが 136,137,172-182、ワクチン関連の重篤な有害事象はみられなかった 137,169,170,174177,179,181-186。2022 年までに実施されたシステマティックレビューおよびレビュー文献や、VAERS の報告

においても、新たな種類の有害事象は報告されていない 187-189。
ワクチン群とプラセボ群の接種部位の水痘様発疹(varicella-like-rash)発生割合は、それぞれ 0.11%と
0.04%であり、ワクチン群でより多くみられた。ただし、発疹部位からは野生株、ワクチン株いずれの VZV
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