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03 資料1-1 帯状疱疹ワクチンファクトシート (17 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40826.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第26回 6/20)《厚生労働省》 |
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患者(帯状疱疹発症リスクが高い)では、水痘ワクチン接種後に帯状疱疹を発症することがある。水痘ワ
クチン既接種者が帯状疱疹を発症した場合、帯状疱疹の原因となった VZV が野生株かワクチン株かを調
べることが必要である。その鑑別は水疱内容液から検出される VZV の性状を解析することで可能である
52。
帯状疱疹の場合、皮疹出現に先行して、あるいは皮疹を認めずに帯状疱疹による疼痛、掻痒、臓器障害
などの症状が出現したり、播種性となって皮疹が単一の神経支配領域にとどまらない分布となったりす
ることがある。その場合、帯状疱疹と早期に診断することが困難である。帯状疱疹には前述のようにさま
ざまな合併症があり、特に免疫不全患者においては重篤化したり致命的となったりすることがあるため、
早期診断と抗ウイルス薬治療の早期開始が重要である。
③ 検査法
ウイルス学的な検査法について記述する。
1)ウイルス分離・ウイルス DNA 検出:ウイルス分離もしくは VZV DNA の検出は、最も直接的な検査
法である。感染性ウイルスが存在する水疱内容物を検体とする。VZV DNA の検出には、PCR 法 53、LAMP
法 54 及びリアルタイム PCR 法 52,55,56 などが用いられる。近年、帯状疱疹発症前の患者の唾液中に VZV
DNA が検出されることが明らかとなり、帯状疱疹の診断に有用な可能性があることが示された 47,57。VZV
DNA 検出(定量的検出を含む)は民間の検査機関で実施され、保険診療上は、「免疫不全状態であって、
単純疱疹ウイルス感染症又は水痘帯状疱疹ウイルス感染症が強く疑われる患者を対象としてリアルタイ
ム PCR 法により測定した場合に、一連として 1 回のみ算定できる。」とされている。また、髄膜炎・脳炎
においては、マルチプレックス PCR 法である Film Array 髄膜炎・脳炎パネルに VZV が含まれており 58、
保険診療において利用することが可能となっている。また、ワクチン株と野生株を判別するには、PCRRFLP 法 52,59、LightCycler を用いた Tm 解析法 60、株特異的プライマーを用いた LAMP 法 61、TaqMan allelic
discrimination assay による方法 62 などが有用である。また、病変から分離されたウイルスや直接採取され
たサンプルから open reading frame(ORF*)62 遺伝子を PCR 法で増幅し、その塩基配列を決定すること
でより確実に判別できる。
*
ORF:タンパク質に転写・翻訳される DNA 配列
2)ウイルス抗原検出:VZV 抗原に対するモノクローナル抗体(市販の FITC 標識モノクローナル抗体な
ど)を用いた直接蛍光抗体法 63 は、HSV と区別して VZV を検出することができ、感度は PCR より落ち
る(十分な検体量が必要)ものの迅速に結果を得ることができる。民間の検査機関で実施され、保険適用
されている。HSV による水疱性病変を鑑別することが必要な場合には、迅速 HSV 抗原検出法 64 による検
査を行う必要がある。
水疱擦過物スメア(Tzanck smear)の染色標本により多核巨細胞を検出する方法(Tzanck test)65 を用い
ると、迅速に結果を得ることが可能である。しかし、この方法で陽性結果が得られたとしても帯状疱疹と
HSV 感染症との鑑別が不可能である。また、自己免疫性水疱症、特に尋常性天疱瘡との鑑別も必要であ
る。
2018 年に、より迅速簡便な検出方法であるイムノクロマト法を用いた VZV 抗原検出キットが市販さ
れ、保険適用されている。検査に用いる検体は、皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい
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クチン既接種者が帯状疱疹を発症した場合、帯状疱疹の原因となった VZV が野生株かワクチン株かを調
べることが必要である。その鑑別は水疱内容液から検出される VZV の性状を解析することで可能である
52。
帯状疱疹の場合、皮疹出現に先行して、あるいは皮疹を認めずに帯状疱疹による疼痛、掻痒、臓器障害
などの症状が出現したり、播種性となって皮疹が単一の神経支配領域にとどまらない分布となったりす
ることがある。その場合、帯状疱疹と早期に診断することが困難である。帯状疱疹には前述のようにさま
ざまな合併症があり、特に免疫不全患者においては重篤化したり致命的となったりすることがあるため、
早期診断と抗ウイルス薬治療の早期開始が重要である。
③ 検査法
ウイルス学的な検査法について記述する。
1)ウイルス分離・ウイルス DNA 検出:ウイルス分離もしくは VZV DNA の検出は、最も直接的な検査
法である。感染性ウイルスが存在する水疱内容物を検体とする。VZV DNA の検出には、PCR 法 53、LAMP
法 54 及びリアルタイム PCR 法 52,55,56 などが用いられる。近年、帯状疱疹発症前の患者の唾液中に VZV
DNA が検出されることが明らかとなり、帯状疱疹の診断に有用な可能性があることが示された 47,57。VZV
DNA 検出(定量的検出を含む)は民間の検査機関で実施され、保険診療上は、「免疫不全状態であって、
単純疱疹ウイルス感染症又は水痘帯状疱疹ウイルス感染症が強く疑われる患者を対象としてリアルタイ
ム PCR 法により測定した場合に、一連として 1 回のみ算定できる。」とされている。また、髄膜炎・脳炎
においては、マルチプレックス PCR 法である Film Array 髄膜炎・脳炎パネルに VZV が含まれており 58、
保険診療において利用することが可能となっている。また、ワクチン株と野生株を判別するには、PCRRFLP 法 52,59、LightCycler を用いた Tm 解析法 60、株特異的プライマーを用いた LAMP 法 61、TaqMan allelic
discrimination assay による方法 62 などが有用である。また、病変から分離されたウイルスや直接採取され
たサンプルから open reading frame(ORF*)62 遺伝子を PCR 法で増幅し、その塩基配列を決定すること
でより確実に判別できる。
*
ORF:タンパク質に転写・翻訳される DNA 配列
2)ウイルス抗原検出:VZV 抗原に対するモノクローナル抗体(市販の FITC 標識モノクローナル抗体な
ど)を用いた直接蛍光抗体法 63 は、HSV と区別して VZV を検出することができ、感度は PCR より落ち
る(十分な検体量が必要)ものの迅速に結果を得ることができる。民間の検査機関で実施され、保険適用
されている。HSV による水疱性病変を鑑別することが必要な場合には、迅速 HSV 抗原検出法 64 による検
査を行う必要がある。
水疱擦過物スメア(Tzanck smear)の染色標本により多核巨細胞を検出する方法(Tzanck test)65 を用い
ると、迅速に結果を得ることが可能である。しかし、この方法で陽性結果が得られたとしても帯状疱疹と
HSV 感染症との鑑別が不可能である。また、自己免疫性水疱症、特に尋常性天疱瘡との鑑別も必要であ
る。
2018 年に、より迅速簡便な検出方法であるイムノクロマト法を用いた VZV 抗原検出キットが市販さ
れ、保険適用されている。検査に用いる検体は、皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい
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