よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


参考資料4  歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)[4.9MB] (133 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42117.html
出典情報 歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループ(令和6年度第1回)
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

2.学生が診療参加型臨床実習で行う歯科医業
1)学生が歯科医行為を行うことについての法的な整理
平成 15 年度厚生労働科学研究「歯科医師卒前臨床実習に関する調査研究」報告書によれば、歯科医師卒前
臨床実習については、患者の同意の下で、歯科医師としての資質向上を目的として卒前教育の一環として行
われるものであり、侵襲性が相対的に小さいことや指導医の指導・監督の下に行われること等、適正な体制
の下に相当な手段で実施される場合には、社会通念から見て相当であり、歯科医師法上の違法性は阻却され
る、とされた。
適正な実施にいたる具体的な条件として、
①患者の同意の下に実施されること。
②侵襲性が相対的に小さいものであること。
③指導医の指導・監督の下に実施されること。
④実習計画の策定、指導医の資格、指導体制の確立、診療録の管理等につき適正な対応が行われているこ
と。
⑤学生の技術力が確保されていること。
⑥万が一事故が生じた場合に適切に対応できる体制が確立されていること。
⑦各実習項目に応じた教育評価法が確立されていること。
の 7 点が必要とされ、全国歯学部ではこれに基づき診療参加型臨床実習が実施されてきた。
歯科医師法の一部改正により、共用試験合格を歯科医師国家試験受験資格とし、同試験に合格した学生に
ついて診療参加型臨床実習として歯科医業を行うことができる旨が明確化されたが、今後も診療参加型臨床
実習における学生の歯科医行為を行う条件として、上記 7 点は引き続き妥当であり、この考えに沿って実習
が行われるべきであると考えられる。
2)学生が診療参加型臨床実習で行う歯科医業の範囲
診療参加型臨床実習において歯学生が行う歯科医業の項目については、歯学教育モデル・コア・カリキュ
ラム(平成 28 年度改訂版)での臨床実習の内容と分類の中で、「Ⅰ.指導者のもとに実践する(自験をもとめ
るもの)」「Ⅱ.指導者のもとでの実践が望まれる(自験不可の場合はシミュレーションなどで補完する)」
「Ⅲ.指導者の介助をする」及び「Ⅳ.指導者のもとで見学・体験することが望ましい」と示されている。
このように歯学生が主体的に関わる歯科医行為は、歯科医学的な難易度で分類することはある程度可能であ
るが、実際の現場では患者の状況や歯学生の習熟度の影響も大きく受けることが想定される。こうしたこと
をふまえると、無数にある歯科医行為の中から歯学生が行うべきでない行為を個別に列挙することは、医学
的な観点からも困難である。
歯学生が行う歯科医業については、歯科医行為を行う場面や患者の状況、歯学生の習熟度等によって、侵
襲度や安全性は異なる。また、歯科医学の進歩等により、歯科医行為の侵襲度等は変化しうると考えられ
る。歯学生が診療参加型臨床実習の中で歯科医行為を行うにあたっては、今回新たに改訂された「診療参加
型臨床実習の内容と分類」に基づき各大学で定めた歯科医行為の範囲を遵守することとし、さらに歯学生が
その定められた歯科医行為を実施するかどうかについては、現場で指導監督を行う歯科医師が、患者の状況
や診療ケースの難易度、歯学生の習熟度等を勘案し、決定することが適当である。
なお、処方箋の交付を歯学生が実施した場合、歯学生が交付した処方箋により患者が受領した薬剤につい
ては、医療施設外で使用され、その薬用効果の発現時点においては歯科医師の直接の監視下にないことか
ら、万一、処方箋に過誤があった場合には、危険や損害の回避ができず、重大な事故を招きかねないという
こと、また、処方箋に基づき調剤を行う薬剤師は、処方箋に疑わしい点があるときには、その処方箋を交付
した歯科医師に確認することが義務付けられているが、処方箋を交付した者が歯学生の場合、適切に確認作
業の対応ができないおそれがあることから、処方箋の交付は政令で除くべき歯科医業にあたる。
126