参考資料4 歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)[4.9MB] (74 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42117.html |
出典情報 | 歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループ(令和6年度第1回) |
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歯学教育モデル・コア・カリキュラムは全ての歯学生に対して必修とする項目を扱っている。自分の専門
分野、診療科に進まない学生にとって最低限修得しておくべき内容は何か、という問いについて常に考えて
おく。選択型の場合、学修者が自ら(その科目を)選択するという行為、また学修方法を自ら選択できるとい
うこと自体が、学修への動機づけを高めることがしばしばある 8。
6)系統的か、場当たり的か?
臨床実習において学ぶ内容は、担当する患者さんに依存するため、場当たり的になる。一方で、シミュレ
ーション教育は、学ぶべき症候や疾患全てを網羅した系統的な学修が可能になる。実務経験を通じた学修を
On-the-Job Training(OJT)、それ以外の実務と離れて行う学修を Off-the-Job Training(Off-JT)と呼ぶが、
臨床実習は OJT の代表例である。OJT による学びの利点は、セッティングを転用する必要がない点にある
(その場で学んだことがそのまま活かされる)が、上記のとおり、学びが場当たり的なものになりがちで、学
修効率は悪いとされる。一方で、Off-JT の代表例であるシミュレーション教育は、学ぶべき内容を系統的か
つ効率的に学ぶことができるが、セッティングを転用する必要がある9。講義は系統的に計画できるが、PBL
のような課題基盤型の学修は場当たり的になりがちである。PBL を主体としたカリキュラムを組む際には、
学生が学ぶべき内容全体を系統的に学べているかどうかについて、確認する必要がある。
7)対面かオンラインか?
LMS や遠隔会議システム等の ICT を用いて学修を提供する手段をオンライン教育といい、新型コロナウイ
ルス感染症が拡大する状況下で大きく進歩した。この「対面かオンラインか」という問いは、多くの教員が
日々、考えている問いでもある。臨床実習であれば、対面による教育の優位性がわかりやすい。一方で、講
義や小グループ討議の場合、オンライン教育でもほぼ同等な学修効果が得られるのみならず、録画された動
画を見直すなど、学修者のペースで学修ができるという利点もある。一方で、講義と講義の間の学生同士の
雑談のような時間は取りにくく、学修コミュニティが構築されにくいといった側面もある。また、対面がよ
いかオンラインがよいかという二項対立を超えて、両者の利点を組み合わせた教育10や Virtual Reality(仮
想現実)/Augmented Reality(拡張現実)/Mixed Reality(複合現実)等メタバース空間における教育の発展が
今後は予想される。
対面とオンラインの利点を組み合わせて実施する教育はハイブリッド型学修とよばれ、大きく分けてブレ
ンド型、分散型、ハイフレックス型などがある11。ブレンド型は、1 回目の授業はオンライン、2 回目の授業
は対面、というように、実施内容と回に応じて形式を切り替える方策である。分散型は学生を複数のグルー
プに分け、たすき掛けで対面とオンラインとを入れ替えて実施する形式である。ブレンド型と異なり、対面
授業の参加人数を調整可能なため、コロナ禍などでの実施には適している形式である。一方、学生によって
コンテンツを学ぶ順番が異なる場合が生じうるため、スケジュールを組む際には注意が必要である。ハイフ
レックス型は、ある 1 回の授業について、対面・同時双方向・オンデマンド等、種々の形式で学生が受講で
きるような形式にしたものである。例として、教室で実施している授業(対面)を遠隔会議システム等で遠隔
に配信し(同時双方向)、終了後には LMS で資料を提示することで後日の学修を可能とする(オンデマンド)等
9
Rouse WB, et al. Learning in the health care enterprise. Learning Health System. 2017;1(4):e10024.
https://doi.org/10.1002/1rh2.10024
10
AlQhtani A, et al. Online versus classroom teaching for medical students during COVID-19: Measuring effectiveness and
satisfaction. BMC Medical Education. 2021;21(1):425. https://doi.org/10.1186/s12909-021-02888-1
11
田口真奈. 授業のハイブリッド化とは何か --概念整理とポストコロナにおける課題の検討--. 京都大学高等教育研究. 2020;26:65–74.
http://id.ndl.go.jp/bib/031268764
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