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参考資料4  歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)[4.9MB] (70 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42117.html
出典情報 歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループ(令和6年度第1回)
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第 2 章では、学生に修得が求められる具体的な内容(学修目標)を明記した。これらを各施設において「カリキ
ュラム」に活用する際には、具体的な学修方略とともに、学生が学修目標に到達したかを測定するための評価方
法を検討する必要がある。本章では、態度・技能領域の学修目標を中心に、各大学でカリキュラムを立案する際
に参考となるよう、学修方略と学修評価に関する理論的背景や参考となるアイデア、Good Practice(各大学にお
ける実践例)を記載した。
特に理論的背景や参考となるアイデアについては、医学・歯学教育において共通する事項が多いため、今回改
訂の「医学教育モデル・コア・カリキュラム 第 3 章」の記載内容を基盤とし、歯学特有のものについて追記す
る形とした。
Ⅰ.学修方略
1.学修方略とは
学修目標を達成するために必要な具体的な教育方法(Teaching Method)と学修する順序、人的資源や物的資
源、対象者、人数、選択・必修等のより大きな教育戦略(Educational Strategy)を合わせて、「学修方略
(LS)」という。歯学教育モデル・コア・カリキュラムで示されるねらいや学修目標に対してだけでなく、各大
学の特色ある独自のカリキュラムに対しても学修方略が設定される。修得すべき能力には知識、技能、態度の
各領域があるが、それぞれに対して適した学修方略を選択する必要がある。
学修方略は、目標を達成するための手段であるため、画一的な方法が存在するものではない。したがって、
ある学修目標に対する学修方略は、様々なものが考えられる。そのため、各歯科大学・歯学部では、カリキュ
ラムポリシーに従い創意工夫し、学修効果が最大限得られるように取り組んでいる。また、各歯科大学・歯学
部における資源や環境、地域性、学生数等、様々な制約の中で実現可能な方略が選択されている。
2.学修方略を組む際に役立つ教育学理論
1)成人学修理論
高等教育として位置付けられる歯学教育において、成人学修理論の理解は重要である。Knowles は、成人
の学修プロセスは自己概念、過去の経験、学修へのレディネス、学修への方向性、動機付けという 5 つの要
素について成人特有の特徴があり、子どもを対象とする教育学(Pedagogy)と対比して、成人を対象とする教
育学(Andragogy)を提唱した。成人学修理論は 20 世紀終盤に開発された学修者中心性の高い歯学教育カリキ
ュラム(例:Problem-based Learning 等)の基盤となる理論として活用されてきた。例えば「学修者がこれま
でに学んできた内容と関連づけて授業を計画する」といったような活用が可能である1。成人教育理論で
は、能動的学修(アクティブ・ラーニング)が推奨されている2。講義の前に自主学修を課すこと、ICT を活
用して双方向性にコミュニケーションができるよう工夫すること、等が例として挙げられる。
2)行動主義と認知主義と構成主義
行動主義は、人の学修や思考プロセスを、その人の行動から予測可能と捉える心理学的立場である。この
考え方は、20 世紀の教育心理学において、学修者にどのような学修内容を与えれば、どのような行動をする
かという観点から活用された。一方で、行動さえ変われば何を考えていてもよいのか、あるいは何も考えな
くてもよいのかという批判や客観的な知識のみを評価する試験至上主義を招いた等の批判が生じた。これに
対し、認知主義では、行動主義が行動のみに着目していたのに対し、人は情報が入ってからどのように処理
されて、どのように蓄積されて、そしてどのように記憶が引き出されているのかという点に注目し、注意と

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西城卓也, 他. 医学教育における効果的な教授法と意味のある学習方法(1). 医学教育. 2013; 44(3):133–41.
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駒澤伸泰, 他. 医学教育イントロダクション 医療系学生を支えるすべての指導者へ: 日本医事新報社; 2022.

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