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資料1-2 早期導入を要望する医療機器等に関する要望書【No.2024-1】 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42226.html
出典情報 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会(第38回 8/9)《厚生労働省》
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(別添様式1)
に脳梁離断術か迷走神経刺激療法、または両者併用が行われる。脳深部刺激療法(DBS)が2022年6月にてん
かん治療に対して薬事承認、2023年12月に保険適応を取得した。これらの緩和的治療では発作の完全消失
は得られない。
RNSの位置付けは、DBS、VNSとほぼ同様であり、互いに補完する。併用においては、RNSとDBSの併用は現
状禁忌であり、RNSとVNSは併用されることもある22。これらデバイスの適応についての順位付けは今のとこ
ろ明確ではない。食事療法にはケトン食療法がありごく一部のてんかん患者で発作の軽減を認めることが
ある。

3-4. 既存の治療方法の問題点
1) 焦点切除術は、60-70%近くの患者で発作消失が期待できる有効な治療法ではあるが、言語野や運動感
覚野などの重要な脳機能を有する部位を切除した場合には重篤な合併症を起こす可能性があるため全
ての患者に適応することはできない 21 23。また焦点切除術の成績も対象となる脳の部位によって異なる
が RNS では両側側頭葉や Eloquent Area に焦点が疑われる薬剤抵抗性てんかん患者へも治療が可能と
な る 24 。 RNS の Feasibility Study や Pivotal Study 、 そ し て 多 施 設 共 同 研 究 に て 全 患 者 群 の
33%~34%9.16 が RNS の治療を開始する前にてんかん手術を受けたが効果不十分であったために RNS
を追加施行されている。
2) 既存の迷走神経刺激療法(VNS)との比較において、申請した RNS の有効性(術後 1 年、2 年、3 年で
の発作減少率)は先述のメタアナリシス 10 では、RNS では、66.3%, 56.0%, 68.4%、VNS では 32.9%,
44.4%, 53.5%であった。1 年時点の評価において RNS は VNS よりも有意に良好な発作減少率を示し
ている。本邦における部分発作(焦点性てんかん)患者に対する、3 年時点の VNS のレスポンダーレー
ト(発作回数が 50%以下に減少した患者の割合)は 58.0%であったが25、RNS では 18 歳以上を対象とし
た多施設共同研究にて 3 年時点のレスポンダーレートが 84%であった 9。
現在 VNS は小児てんかんへも適応されている。本邦における 12 歳以下の患者群に対する VNS の治療
成績は、1, 2, 3 年時点でレスポンダーレートがそれぞれ 48%, 57.1%, 60%である 25。RNS による小児
てんかんへの治療成績は、小児てんかんセンター12 施設、平均年齢 14.9 歳の 56 症例において、レス
ポンダーレートは 1 年時点で 64.71%であった 2。また 18 歳未満を対象としたメタアナリシスでは、植
込み後 22 カ月でのレスポンダーレートが 12 歳以下群において 87%, 12 歳-18 歳群において 77.8%であ
った 3。
RNS の Feasibility Study や Pivotal Study、そして現在の多施設共同研究においては、VNS の治療経
験があるもの満足な発作減少が得られず RNS の植込みを行った患者が多く含まれる(RNS 植込み患者
の 32%程度は過去に VNS の植込みを経験している 9.16)
3) 脳梁離断術は失立発作(脱力して転倒する発作)に対してきわめて有効だが、その他の発作型に対する
効果については予測し難い26。
4) 食事療法にはケトン食療法があり、短期の有害作用には、下痢、便秘および嘔吐などがあり、長期的に
は心機能障害の可能性に影響を及ぼす可能性がある。また発作改善率は必ずしも高くなく、また食事療
法に耐えられないために脱落する患者も多数いる27。
5) DBS は一定程度の発作軽減を抑制する脳深部刺激療法であるが、刺激による鬱症状や記憶障害、睡眠
障害等の副作用が報告されている。また最近発表された市販後実臨床成績(MORE registry:2 年~5 年

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