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【参考資料5】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 別冊 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
(iv)
第三版
別冊
CRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)
疫学の概要と臨床的特徴
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales: CRE)感染症は 5
類全数届出疾患である 56。日本で分離される CRE のうちの約 16-17%がカルバペネマーゼ産生腸
内細菌目細菌(carbapenemase-producing Enterobacterales: CPE)であり、残りの 80%以上は
カルバペネマーゼ非産生のカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(non-carbapenemase-producing
Enterobacterales: non-CP-CRE)である。カルバペネマーゼにはいくつかの酵素型があり、国内
で最も分離頻度が高いのはメタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase: MBL)に分類される
IMP 型であり CPE の 85-90%を占める 57。一方、海外で頻度が高いのは NDM 型、VIM 型、KPC
型、OXA-48-like 型等である 57。CRE 獲得(定着/感染いずれも含む)のリスク因子は補遺 p.14
参照。
CRE 感染症において、最も頻度の高い感染臓器は UTI であり、菌血症、気道感染症と次ぐ 27,57。
国内の CRE 感染症での死亡率は 15-20%程度と、他国と比較して死亡率が低い傾向がある 58,59。
微生物学的診断
CRE 感染症において、カルバペネマーゼ産生の有無を確認することによって CPE と non-CPCRE を識別して、治療を変更すべきなのかどうか、また予後が異なるのかどうかという議論に
関してはまだ結論がついていない 60。
また、西日本を中心に分離頻度が高く、イミペネムに感受性を示す IMP-6 産生株 61 のような、
カルバペネム系抗菌薬に感受性を示す CPE による感染症に対してカルバペネム系抗菌薬で治療
した場合にどのような予後が得られるのかはまだ分かっておらず 60、治療中に耐性化し治療に失
敗するリスクがあるとされる 62。したがって、カルバペネム感受性株であったとしても可能な限
りカルバペネマーゼ産生の有無を評価することが望ましく、CPE のスクリーニング基準としては
メロペネムの MIC≥0.25μg/mL が推奨される 63。スクリーニング基準を満たした株に対しては
mCIM 法、あるいは Carba NP 法で確認検査を行う 32。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と
判断された株に対しては、mCIM 法と eCIM 法を組み合わせて MBL かどうかの判定を行うか、あ
るいはイムノクロマトグラフィー法や遺伝子検査法(PCR 法、マイクロアレイ法)を用いて具
体的な酵素型を判定する(図 1)
。
治療方針
① 総論
CRE 感染症で治療に難渋する最大の理由は、カルバペネムを含めた既存の β-ラクタム系抗菌
薬に広範な耐性を示すためである。そのために、米国では 2015 年以降、Ceftazidime-Avibactam
や Meropenem-Vaborbactam、レレバクタム/イミペネム/シラスタチン、Cefiderocol 等、いずれ
も米国で最も頻度の高い CPE に対して活性を有する複数の新規 β-ラクタム系抗菌薬が開発され
て市場に導入されてきた背景がある。
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別冊
CRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)
疫学の概要と臨床的特徴
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales: CRE)感染症は 5
類全数届出疾患である 56。日本で分離される CRE のうちの約 16-17%がカルバペネマーゼ産生腸
内細菌目細菌(carbapenemase-producing Enterobacterales: CPE)であり、残りの 80%以上は
カルバペネマーゼ非産生のカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(non-carbapenemase-producing
Enterobacterales: non-CP-CRE)である。カルバペネマーゼにはいくつかの酵素型があり、国内
で最も分離頻度が高いのはメタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase: MBL)に分類される
IMP 型であり CPE の 85-90%を占める 57。一方、海外で頻度が高いのは NDM 型、VIM 型、KPC
型、OXA-48-like 型等である 57。CRE 獲得(定着/感染いずれも含む)のリスク因子は補遺 p.14
参照。
CRE 感染症において、最も頻度の高い感染臓器は UTI であり、菌血症、気道感染症と次ぐ 27,57。
国内の CRE 感染症での死亡率は 15-20%程度と、他国と比較して死亡率が低い傾向がある 58,59。
微生物学的診断
CRE 感染症において、カルバペネマーゼ産生の有無を確認することによって CPE と non-CPCRE を識別して、治療を変更すべきなのかどうか、また予後が異なるのかどうかという議論に
関してはまだ結論がついていない 60。
また、西日本を中心に分離頻度が高く、イミペネムに感受性を示す IMP-6 産生株 61 のような、
カルバペネム系抗菌薬に感受性を示す CPE による感染症に対してカルバペネム系抗菌薬で治療
した場合にどのような予後が得られるのかはまだ分かっておらず 60、治療中に耐性化し治療に失
敗するリスクがあるとされる 62。したがって、カルバペネム感受性株であったとしても可能な限
りカルバペネマーゼ産生の有無を評価することが望ましく、CPE のスクリーニング基準としては
メロペネムの MIC≥0.25μg/mL が推奨される 63。スクリーニング基準を満たした株に対しては
mCIM 法、あるいは Carba NP 法で確認検査を行う 32。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と
判断された株に対しては、mCIM 法と eCIM 法を組み合わせて MBL かどうかの判定を行うか、あ
るいはイムノクロマトグラフィー法や遺伝子検査法(PCR 法、マイクロアレイ法)を用いて具
体的な酵素型を判定する(図 1)
。
治療方針
① 総論
CRE 感染症で治療に難渋する最大の理由は、カルバペネムを含めた既存の β-ラクタム系抗菌
薬に広範な耐性を示すためである。そのために、米国では 2015 年以降、Ceftazidime-Avibactam
や Meropenem-Vaborbactam、レレバクタム/イミペネム/シラスタチン、Cefiderocol 等、いずれ
も米国で最も頻度の高い CPE に対して活性を有する複数の新規 β-ラクタム系抗菌薬が開発され
て市場に導入されてきた背景がある。
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