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【参考資料5】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 別冊 (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

別冊

(4) 緑膿菌
疫学の概要と臨床的特徴
国内では薬剤耐性緑膿菌感染症は 5 類定点把握届出疾患 85 であるが、感染症法で定義される薬
剤耐性緑膿菌と、世界標準での多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa:
MDRP)の定義は異なっている点には注意を要する(詳細は補遺 p.20-21 参照)

なお、過去の薬剤耐性菌に関する定義では各抗菌薬カテゴリーの重みづけは成されておらず、
効果と毒性のバランスが取れている抗菌薬(例:β-ラクタム系やフルオロキノロン系)とバラン
スを欠いている抗菌薬(例:アミノグリコシド系やポリミキシン系)が同列で扱われている点が
臨床に落とし込む際に難点となっていたため、近年新たに難治耐性緑膿菌 (difficult-to-treat
resistance P. aeruginosa: DTR-PA)という概念が提唱されている 86。DTR-PA は、全 β-ラクタム
系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬に非感受性を示す緑膿菌株、と定義される。つまり、
DTR-PA 感染症では、既存薬の中ではアミノグリコシド系、ポリミキシン系抗菌薬しか活性のあ
る抗菌薬がない、ということになる。この臨床に即した DTR-PA の概念は、海外の耐性菌治療の
ガイダンスやガイドラインでも広く採用されている 41,66。
微生物学的診断
日本における、カルバペネム(正確にはメロペネム)耐性緑膿菌の中で、カルバペネマーゼ産
生株は 10%未満にすぎず 87 最も頻度の高いカルバペネマーゼは IMP 型である(詳細は補遺 p.2021 参照)
。IMP 型に関してはメロペネムに高度耐性を示す 88 ため、CPE のようにカルバペネム感
受性のカルバペネマーゼ産生株を懸念する必要性は乏しく、原則的にカルバペネム(メロペネム)
耐性でのスクリーニングが可能である。
スクリーニング陽性株に対しては mCIM 法や Carba NP 法 32、あるいは CIMTris 法 89 で確認検
査を行う。これらの検査でカルバペネマーゼ陽性と判定された株に対しては、イムノクロマトグ
ラフィー法や遺伝子検査法(PCR 法、マイクロアレイ法)を用いて具体的な酵素型を決定する。
治療方針
以下、断りのない限り、カルバペネマーゼ非産生株であることが確認されている前提で述べる。
MDRP 感染症の場合、既存の β-ラクタム系抗菌薬のいずれかに感受性が保たれていれば、
(たと
えカルバペネム系抗菌薬に耐性であったとしても)感受性の確認された β-ラクタム系抗菌薬を選
択できる 41。但し、MDRP 感染症でも、感染巣のコントロールができていないか、あるいは重症
の場合には、後述の新規 β-ラクタム系抗菌薬も治療選択肢となる。
より治療選択肢に困るのは、DTR-PA 感染症である。この場合、既存薬では、UTI を除いて臨
床的有効性が確立しておらず、かつ有害事象の頻度が高いアミノグリコシド系抗菌薬とコリスチ
ンしか選択できる抗菌薬がない。2014 年以降に、海外で承認された各新規 β-ラクタム系抗菌薬
は、いずれも CRE を中心とした耐性グラム陰性桿菌感染症において、アミノグリコシド系抗菌
薬やコリスチンを中心とした既存薬による治療を比較して、臨床予後を悪化させることなく、腎
障害の頻度を減らすことが示されている 90。これらの抗菌薬の中で、2023 年 9 月 14 日時点で日

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