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【参考資料5】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 別冊 (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
1.
第三版
別冊
入院患者の感染症で問題となる微生物
(1) 黄色ブドウ球菌(MRSA[メチシリン耐性黄色ブドウ球菌]を含む)
疫学の概要と臨床的特徴
ブドウ球菌属は皮膚や粘膜に常在する菌の一種であり、健康人の鼻腔に約 30%の割合で存在し
ていると言われている。この菌は、毛のう炎等のシンプルな皮膚感染症から、骨髄炎、肺炎、感
染性心内膜炎等命に関わる重篤な感染症、トキシックショック症候群といった毒素産生に関連し
た病態等幅広い病態を起こすことで知られている。また、細菌感染症に関連した死亡の原因菌と
して頻度が高い細菌である 1。
なお、黄色ブドウ球菌と異なり、病原性が比較的弱い CNS が血液培養から検出された場合、
本当の感染症かコンタミネーションかの評価も必要になることが多い。しかし、CNS の中でも、
Staphylococcus lugdunensis は臨床的に黄色ブドウ球菌と同様に振る舞うことが知られている。
このため本菌が血液培養から検出された場合には、黄色ブドウ球菌と同様の扱いが必要になる 2。
以下に臨床的に重要な「黄色ブドウ球菌菌血症」という病態にフォーカスを当てて 5 つのポイ
ントを述べる。
微生物学的診断
① 血液培養で検出されたら必ず「ホンモノ」として考える。
血液培養から黄色ブドウ球菌が検出された場合に、コンタミネーションによるものである可能
性は 1-1.5%程度と言われている 3,4。黄色ブドウ球菌菌血症は感染性心内膜炎を含めた様々な病
態を合併し、死亡率も高い疾患である 5。このため、血液培養から黄色ブドウ球菌が検出された
場合、例えそれが 1 ボトルだけであったとしても、コンタミネーションとは即断せずに、可能性
が否定できるまでは本物の黄色ブドウ球菌菌血症として治療を行う必要がある。
治療
② 感染症医へのコンサルテーションが勧められる。
これまでの研究において、感染症専門医へのコンサルテーションは、黄色ブドウ球菌菌血症患
者において、治療の質(早期感染巣コントロール、血液培養再検、心臓超音波検査、抗菌薬の正
しい選択及び投与期間等)を改善するだけでなく、その結果、患者死亡率の低下、早期退院につ
ながるという結果が示されている 5。
③ 黄色ブドウ球菌菌血症の評価・治療は「セット」で行う。
黄色ブドウ球菌菌血症を確認した場合、まずは「複雑性」か「非複雑性」の菌血症かの見極め
が必要になる。これにより治療期間が変わるためとても大事な評価であり、以下の評価をセット
で必ず行う。以下の a~e の条件すべてを満たした場合に「非複雑性」の菌血症と判断される。
3
1.
第三版
別冊
入院患者の感染症で問題となる微生物
(1) 黄色ブドウ球菌(MRSA[メチシリン耐性黄色ブドウ球菌]を含む)
疫学の概要と臨床的特徴
ブドウ球菌属は皮膚や粘膜に常在する菌の一種であり、健康人の鼻腔に約 30%の割合で存在し
ていると言われている。この菌は、毛のう炎等のシンプルな皮膚感染症から、骨髄炎、肺炎、感
染性心内膜炎等命に関わる重篤な感染症、トキシックショック症候群といった毒素産生に関連し
た病態等幅広い病態を起こすことで知られている。また、細菌感染症に関連した死亡の原因菌と
して頻度が高い細菌である 1。
なお、黄色ブドウ球菌と異なり、病原性が比較的弱い CNS が血液培養から検出された場合、
本当の感染症かコンタミネーションかの評価も必要になることが多い。しかし、CNS の中でも、
Staphylococcus lugdunensis は臨床的に黄色ブドウ球菌と同様に振る舞うことが知られている。
このため本菌が血液培養から検出された場合には、黄色ブドウ球菌と同様の扱いが必要になる 2。
以下に臨床的に重要な「黄色ブドウ球菌菌血症」という病態にフォーカスを当てて 5 つのポイ
ントを述べる。
微生物学的診断
① 血液培養で検出されたら必ず「ホンモノ」として考える。
血液培養から黄色ブドウ球菌が検出された場合に、コンタミネーションによるものである可能
性は 1-1.5%程度と言われている 3,4。黄色ブドウ球菌菌血症は感染性心内膜炎を含めた様々な病
態を合併し、死亡率も高い疾患である 5。このため、血液培養から黄色ブドウ球菌が検出された
場合、例えそれが 1 ボトルだけであったとしても、コンタミネーションとは即断せずに、可能性
が否定できるまでは本物の黄色ブドウ球菌菌血症として治療を行う必要がある。
治療
② 感染症医へのコンサルテーションが勧められる。
これまでの研究において、感染症専門医へのコンサルテーションは、黄色ブドウ球菌菌血症患
者において、治療の質(早期感染巣コントロール、血液培養再検、心臓超音波検査、抗菌薬の正
しい選択及び投与期間等)を改善するだけでなく、その結果、患者死亡率の低下、早期退院につ
ながるという結果が示されている 5。
③ 黄色ブドウ球菌菌血症の評価・治療は「セット」で行う。
黄色ブドウ球菌菌血症を確認した場合、まずは「複雑性」か「非複雑性」の菌血症かの見極め
が必要になる。これにより治療期間が変わるためとても大事な評価であり、以下の評価をセット
で必ず行う。以下の a~e の条件すべてを満たした場合に「非複雑性」の菌血症と判断される。
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