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【参考資料5】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 別冊 (22 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

別冊

本でも利用できるのは、タゾバクタム/セフトロザンとレレバクタム/イミペネム/シラスタチンの
2 剤である。
既に観察研究では、耐性緑膿菌においてタゾバクタム/セフトロザンによる治療は、コリスチ
ンやアミノグリコシド系抗菌薬を軸とした既存薬による治療と比較して、臨床的治癒率が高く、
腎障害の頻度が低下することが示されている 91。レレバクタム/イミペネム/シラスタチンに関し
ては、まだ緑膿菌感染症での臨床実績は限られるが、第 3 相試験のサブ解析では、イミペネム非
感受性緑膿菌感染症において、コリスチンとイミペネム/シラスタチンの併用療法と比較して治
療奏効率が悪化することなく、腎障害の頻度は低下する可能性が示唆されている(詳細は補遺
p.20-21 参照)92。いずれの薬剤も、カルバペネマーゼに依存しないカルバペネム耐性株に対し
て活性が維持されており、米国のデータではあるが、DTR-PA 症例の約 50-70%93 において、こ
れらの薬剤の感受性が確認されている。緑膿菌感染症において、タゾバクタム/セフトロザンと
レレバクタム/イミペネム/シラスタチンの両剤間で比較した臨床研究はまだないが、臨床経験が
豊富であること、市販の検査機器で感受性を測定できること(2023 年 2 月 25 日時点)を理由と
して、タゾバクタム/セフトロザンの方が使用しやすい。但し、タゾバクタム/セフトロザンは使
用中及び使用後に最大 20%の頻度で耐性株が出現することが報告されている 94。タゾバクタム/
セフトロザンとレレバクタム/イミペネム/シラスタチンの交叉耐性の頻度は比較的低いため 95、
タゾバクタム/セフトロザン耐性株でもレレバクタム/イミペネム/シラスタチンの感受性は保たれ
ている可能性がある。なお、これらの新薬を利用する場合には、単剤治療よりも併用療法が優れ
ているというエビデンスはなく 91,96、併用療法は推奨されない。将来的には、CeftazidimeAvibactam97,98、Cefiderocol99,100 が利用できるようになれば、タゾバクタム/セフトロザンやレレ
バクタム/イミペネム/シラスタチンと同様に DTR-PA 感染症での治療選択肢となりえる。但し、
Cefiderocol はその他の新規 β-ラクタマーゼ阻害剤と異なり、既存薬との比較試験で治療予後が
改善することは示されておらず 99、さらには CRE の項で述べた通り、MBL 産生 CPE 感染症にお
いて現存する唯一の単剤で治療可能な β-ラクタム系抗菌薬であるため、他剤が利用できる場合に
は、Cefiderocol の使用は極力控えるべきである。
一方で、カルバペネマーゼ産生株であることが確認された場合、日本ではその多くが IMP 型の
MBL 産生株であるため、非 β-ラクタム系抗菌薬であるフルオロキノロン系やアミノグリコシド
系抗菌薬と共に Cefiderocol が治療選択肢となりうる 101。

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