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【参考資料6】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 補遺 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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(別冊参考箇所:p.15-17)
1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(3) 腸内細菌目細菌>(iv) CRE(カルバペネム耐性腸
内細菌目細菌)
<CRE 獲得のリスク因子>
CRE 獲得(定着/感染いずれも含む)のリスク因子は、海外渡航歴(特に現地での医療曝露や
抗菌薬曝露歴)
、広域抗菌薬(特に過去 3 か月以内のカルバペネム系を含む広域な β-ラクタム系、
フルオロキノロン系抗菌薬)の使用歴、濃厚な医療曝露歴(長期入院や施設入所、尿路や血管内
カテーテル等医療デバイスの使用、手術や人工呼吸器管理等侵襲的処置歴)
、ADL 低下、並存疾
患が多いこと、等が挙がる 59,60。特に日本では CRE に占めるカルバペネマーゼ産生腸内細菌目
細菌(Carbapenemase-producing Enterobacterales: CPE)の頻度は低く、かつ CPE の 85-90%
を IMP 型が占めるため、IMP 型以外の CPE に関しては海外渡航歴が重要なリスク因子となる。
<CRE 感染症における併用療法のエビデンス>
IDSA に よ る 治 療 ガ イ ダ ン ス 40 及 び 欧 州 臨 床 微 生 物 学 会 (European Society of Clinical
Microbiology and Infectious Diseases: ESCMID)による多剤耐性グラム陰性桿菌治療ガイドライ
ン 61 のいずれも、2015 年以降に海外で承認されている Ceftazidime-Avibactam、MeropenemVaborbactam、Cefiderocol 及び 2023 年 7 月 17 日時点で日本でも利用可能なレレバクタム/イミ
ペネム/シラスタチンを含む新規 β-ラクタム系抗菌薬の感受性が確認され、これらの新薬で CRE
感染症を治療する場合、併用療法を支持していない。ただし、日本で頻度の高い IMP 型に対して
はこれらの新薬の中で、Cefiderocol を除くいずれの薬剤も単剤では活性が期待できないため、ま
だ併用療法について議論の余地が残されており、ESCMID によるガイドライン 61 では CRE 感染
症において、これらの新薬が利用できない重症感染症では、既存薬の中から 2 剤以上の活性のあ
る抗菌薬での治療を条件付きで推奨している。一方で軽症感染症においては、単剤治療を有益性
の高い医療行為(good practice statement)として推奨している。
観察研究ではメロペネムの MIC が≤8µg/mL の場合にはメロペネムを併用レジメンに含むこと
によって 62、特に重症患者 63 では予後が改善する可能性が示唆されている。カルバペネム耐性グ
ラム陰性桿菌菌血症において、コリスチンとメロペネムの併用療法とコリスチン単剤治療を比較
した 2 つのランダム化比較試験 64,65 内の CRE 菌血症のみでのサブ解析では、症例数が少なく統
計学的有意差には至らないものの、数字上は併用療法で死亡率が低下することがいずれの研究で
も示されている。ただし、注意が必要なのは、併用療法と単剤治療を比較した各研究において対
象となっている CRE 感染症は KPC 型 CPE 感染症が大半を占めているという点で、残念ながら、
日本で最も頻度の高い IMP 型を含む MBL 産生 CPE 感染症において併用療法と単剤治療を比較し
た研究はない 66。
また、2014 年以降に海外で承認された新規 β-ラクタム系抗菌薬に関しては、感受性が確認さ
れた場合、単剤でも CRE に対して十分な活性が期待できることもあり、ガイドラインでも単剤
治 療 が 推 奨 さ れ て い る の は 前 述 の 通 り で あ る 。 実 際 、 最 も 使 用 実 績 の 高 い Ceftazidime-

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