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【参考資料6】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 補遺 (26 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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<治療薬に関する既存のエビデンス>
テトラサイクリン系抗菌薬、コリスチン
テトラサイクリン系抗菌薬の忍容性は比較的高いものの、速やかに組織移行し分布容積が大き
いことにより、血中濃度が上がりにくいことが菌血症を伴う重症感染症に用いる場合の懸念点で
ある 119。チゲサイクリンについて、観察研究で治療効果が劣ると報告されている 120,121。また、
MDRA による肺炎に対するチゲサイクリンと他の治療を比較したメタアナリシスで、治療成功率
や死亡率に差はなかったが、微生物学的効果が有意に劣ったと報告されている 122。さらに、
CLSI 及 び 欧 州 抗 菌 薬 感 受 性 試 験 法 検 討 委 員 会 (European Committee on Antimicrobial
Susceptibility Testing: EUCAST)は Acinetobacter 属のチゲサイクリンに対する感受性判定の
Breakpoint を定めていない 87,123。そのため、IDSA による治療ガイダンスではミノサイクリンが
より好ましいとしている 40。コリスチンは、腎障害の発現頻度が高く治療域が狭いことが懸念点
であり 124-126、特に高齢者では腎機能の慎重なフォローが求められる 126。
併用療法
多くのランダム化比較試験(RCT)において単剤治療に対する併用療法の優位性が示せてお
らず 64,65,127-130、例えば、コリスチンとメロペネムの併用については 2 つの RCT で優位性が認
められなかった 65。また、優位性の示された RCT は非盲検で対象患者が 39 名と比較的少数で
あった 131。さらに、コリスチン(ポリペプチド系抗菌薬)を主軸とした併用療法が用いられる
ことが多いが 132、先述のように副作用の懸念が大きく、また、併用療法の適切な組み合わせも
明確ではない。
国内未承認薬
国内未承認薬剤では、Cefiderocol133-135 や Eravacycline136 等が有望視されているが十分な臨床
データがなく、今後のデータの蓄積が待たれる 137,138。Cefiderocol については、カルバペネム耐
性グラム陰性菌感染症に対し、他の治療薬と比較した第 3 層試験において、Acinetobacter が原因
の症例で 28 日死亡が多かったと報告されており 69、ESCMID によるガイドラインでは、データ
が少ないため条件付きではあるが推奨していない 61。
(別冊参考箇所:p.27)
表 10 Acinetobacter 属に対する抗菌薬の主な選択肢と注意点
メロペネムの 1 回 2g を 1 日 3 回/日での投与は添付文書では化膿性髄膜炎の場合にのみ適応と
なっている。
セフェピムの添付文書上限は最大 4g/日である。
スルバクタム/アンピシリンについては、IDSA による治療ガイダンスでは 1 日投与量 18-27g と
記載されているが 40、添付文書上限は最大 12g/日である(ただし、添付文書上の適応菌種に
Acinetobacter 属は含まれていない)。社会保険診療報酬支払基金の審査情報事例には、『原則と
して、「スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム【注射薬】」を「脳膿瘍」に対して
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テトラサイクリン系抗菌薬、コリスチン
テトラサイクリン系抗菌薬の忍容性は比較的高いものの、速やかに組織移行し分布容積が大き
いことにより、血中濃度が上がりにくいことが菌血症を伴う重症感染症に用いる場合の懸念点で
ある 119。チゲサイクリンについて、観察研究で治療効果が劣ると報告されている 120,121。また、
MDRA による肺炎に対するチゲサイクリンと他の治療を比較したメタアナリシスで、治療成功率
や死亡率に差はなかったが、微生物学的効果が有意に劣ったと報告されている 122。さらに、
CLSI 及 び 欧 州 抗 菌 薬 感 受 性 試 験 法 検 討 委 員 会 (European Committee on Antimicrobial
Susceptibility Testing: EUCAST)は Acinetobacter 属のチゲサイクリンに対する感受性判定の
Breakpoint を定めていない 87,123。そのため、IDSA による治療ガイダンスではミノサイクリンが
より好ましいとしている 40。コリスチンは、腎障害の発現頻度が高く治療域が狭いことが懸念点
であり 124-126、特に高齢者では腎機能の慎重なフォローが求められる 126。
併用療法
多くのランダム化比較試験(RCT)において単剤治療に対する併用療法の優位性が示せてお
らず 64,65,127-130、例えば、コリスチンとメロペネムの併用については 2 つの RCT で優位性が認
められなかった 65。また、優位性の示された RCT は非盲検で対象患者が 39 名と比較的少数で
あった 131。さらに、コリスチン(ポリペプチド系抗菌薬)を主軸とした併用療法が用いられる
ことが多いが 132、先述のように副作用の懸念が大きく、また、併用療法の適切な組み合わせも
明確ではない。
国内未承認薬
国内未承認薬剤では、Cefiderocol133-135 や Eravacycline136 等が有望視されているが十分な臨床
データがなく、今後のデータの蓄積が待たれる 137,138。Cefiderocol については、カルバペネム耐
性グラム陰性菌感染症に対し、他の治療薬と比較した第 3 層試験において、Acinetobacter が原因
の症例で 28 日死亡が多かったと報告されており 69、ESCMID によるガイドラインでは、データ
が少ないため条件付きではあるが推奨していない 61。
(別冊参考箇所:p.27)
表 10 Acinetobacter 属に対する抗菌薬の主な選択肢と注意点
メロペネムの 1 回 2g を 1 日 3 回/日での投与は添付文書では化膿性髄膜炎の場合にのみ適応と
なっている。
セフェピムの添付文書上限は最大 4g/日である。
スルバクタム/アンピシリンについては、IDSA による治療ガイダンスでは 1 日投与量 18-27g と
記載されているが 40、添付文書上限は最大 12g/日である(ただし、添付文書上の適応菌種に
Acinetobacter 属は含まれていない)。社会保険診療報酬支払基金の審査情報事例には、『原則と
して、「スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム【注射薬】」を「脳膿瘍」に対して
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