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【参考資料6】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 補遺 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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(本編参考箇所:p.120)
13. 入院患者の感染症に対する基本的な考え方>(1) 診断・治療のプロセス>(vi) 感染症の治療期
間>②治療期間の考え方と注意点>B) 短期治療を適用するための条件
<グラム陰性菌菌血症における短期治療のエビデンスの補足>
グラム陰性菌の短期治療(7 日間治療)には、抗菌薬終了の 48 時間前までに解熱し血行動態が
安定していることが条件となっている 28。さらに、グラム陰性菌に対し統一された「非複雑性」
菌血症の定義がなく、RCT では重度の免疫不全症例、複数菌による菌血症、膿瘍や感染性心内膜
炎は共通して除外され、試験によっては肺炎の症例も除外されている 21,23,24。
(本編参考箇所:p.123)
13. 入院患者の感染症に対する基本的な考え方>(2) マネジメント>(i) 感染症が改善しない場合の
考え方>B) 感染症が改善しない場合の鑑別
<感染症が改善しない場合の原因に関するエビデンス>
免疫不全のない市中肺炎を対象とした検討では 29、1383 例のうち 238 例(18%)で抗微生物
薬治療開始 48-72 時間後に解熱が得られなかったが、多くは抗微生物薬の変更をせずに治療可能
で、81 例(6%)においてのみ、抗微生物薬の変更や胸腔ドレーン挿入等の治療介入が必要であ
った(早期治療不応例)
。この 81 例の早期治療不応例の内訳は、適切な抗微生物薬治療にも関わ
らず肺炎や敗血症が進行したのが最多で(54 例、67%)
、次いで膿胸(18 例、22%)であった。
さらに、早期治療不応例で原因微生物が判明した 52 例において、不適切な抗微生物薬治療に起
因したものは、16 例(31%)で、そのうち薬剤耐性によるものは 1 例のみで、レジオネラ等の非
定型肺炎や結核が 12 例を占めた。また、ICU における肺炎 71 例の検討では、44 例(62%)で治
療不応と判定され、治療不応の原因は、不適切な抗微生物薬治療が 23%、カンジダ血症やカテー
テル感染等の肺炎以外の感染症合併が 16%、別の微生物による細菌性肺炎の合併が 14%、膿胸
合併が 14%、非感染性の原因が 15%で、36%で原因が同定できなかった 30。ただし、これらに
は比較的古い文献的報告も含まれ、現在と薬剤耐性菌の疫学が異なる可能性があることに留意す
る必要がある。
肺炎以外では、市中発症の女性における非複雑性急性腎盂腎炎 843 例の検討においては、29%
で 72 時間以内に解熱が得られなかった。これらの症例では腎膿瘍合併例・菌血症合併例が有意
に多い一方、不適切な抗微生物薬選択は有意な関連が認められなかった 31。また、コアグラーゼ
陰性ブドウ球菌による CRBSI に関する検討では、16%の症例でカテーテル抜去後 48 時間に改善
が得られず、うち 83%が化膿性静脈血栓、7%に膿瘍を合併していた 32。
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13. 入院患者の感染症に対する基本的な考え方>(1) 診断・治療のプロセス>(vi) 感染症の治療期
間>②治療期間の考え方と注意点>B) 短期治療を適用するための条件
<グラム陰性菌菌血症における短期治療のエビデンスの補足>
グラム陰性菌の短期治療(7 日間治療)には、抗菌薬終了の 48 時間前までに解熱し血行動態が
安定していることが条件となっている 28。さらに、グラム陰性菌に対し統一された「非複雑性」
菌血症の定義がなく、RCT では重度の免疫不全症例、複数菌による菌血症、膿瘍や感染性心内膜
炎は共通して除外され、試験によっては肺炎の症例も除外されている 21,23,24。
(本編参考箇所:p.123)
13. 入院患者の感染症に対する基本的な考え方>(2) マネジメント>(i) 感染症が改善しない場合の
考え方>B) 感染症が改善しない場合の鑑別
<感染症が改善しない場合の原因に関するエビデンス>
免疫不全のない市中肺炎を対象とした検討では 29、1383 例のうち 238 例(18%)で抗微生物
薬治療開始 48-72 時間後に解熱が得られなかったが、多くは抗微生物薬の変更をせずに治療可能
で、81 例(6%)においてのみ、抗微生物薬の変更や胸腔ドレーン挿入等の治療介入が必要であ
った(早期治療不応例)
。この 81 例の早期治療不応例の内訳は、適切な抗微生物薬治療にも関わ
らず肺炎や敗血症が進行したのが最多で(54 例、67%)
、次いで膿胸(18 例、22%)であった。
さらに、早期治療不応例で原因微生物が判明した 52 例において、不適切な抗微生物薬治療に起
因したものは、16 例(31%)で、そのうち薬剤耐性によるものは 1 例のみで、レジオネラ等の非
定型肺炎や結核が 12 例を占めた。また、ICU における肺炎 71 例の検討では、44 例(62%)で治
療不応と判定され、治療不応の原因は、不適切な抗微生物薬治療が 23%、カンジダ血症やカテー
テル感染等の肺炎以外の感染症合併が 16%、別の微生物による細菌性肺炎の合併が 14%、膿胸
合併が 14%、非感染性の原因が 15%で、36%で原因が同定できなかった 30。ただし、これらに
は比較的古い文献的報告も含まれ、現在と薬剤耐性菌の疫学が異なる可能性があることに留意す
る必要がある。
肺炎以外では、市中発症の女性における非複雑性急性腎盂腎炎 843 例の検討においては、29%
で 72 時間以内に解熱が得られなかった。これらの症例では腎膿瘍合併例・菌血症合併例が有意
に多い一方、不適切な抗微生物薬選択は有意な関連が認められなかった 31。また、コアグラーゼ
陰性ブドウ球菌による CRBSI に関する検討では、16%の症例でカテーテル抜去後 48 時間に改善
が得られず、うち 83%が化膿性静脈血栓、7%に膿瘍を合併していた 32。
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