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【参考資料6】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 補遺 (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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(別冊参考箇所:p.11)
1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(3) 腸内細菌目細菌>(iii) AmpC 産生腸内細菌目細菌>
微生物学的診断
<プラスミド性 AmpC 産生菌と ESBL の鑑別法に関して>
セフメタゾールの場合には MIC≥16µg/mL、フロモキセフでは≥4µg/mL をプラスミド性 AmpC
産生のスクリーニング基準とすると最も ESBL との鑑別能が高くなるとする国内からの報告があ
り 46、セフメタゾール非感受性(≥32µg/mL)を基準とすると、プラスミド性 AmpC 産生株の半
数以上を見逃す可能性がある。
<プラスミド性 AmpC の確認試験について>
確認試験には表現型検査と遺伝子検査がある。表現型検査では、セファマイシン系抗菌薬が加
水分解されることによって、あるいはボロン酸やクロキサシリン等の AmpC 阻害剤の存在下で第
3 世代セファロスポリン系抗菌薬の感受性が回復することによってプラスミド性 AmpC の存在を
推定する。一方で PCR 等の遺伝子検査によってプラスミド性 AmpC 遺伝子の存在を確認するこ
とも可能である。
(別冊参考箇所:p.11-12)
1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(3) 腸内細菌目細菌>(iii) AmpC 産生腸内細菌目細菌>
治療方針
<SDD について>
用量依存的感性(susceptible dose dependent: SDD)とは通常用量・用法の抗微生物薬では臨
床効果が得られないが、投与量・頻度を増やした場合に臨床効果が期待される感性カテゴリーを
指す 47。
<セフェピムの MIC が SDD(4-8µg/mL)領域にある染色体性 AmpC 産生菌におけるセフェピ
ムの使用の是非について>
台湾で実施された Enterobacter cloacae 菌血症の標的治療においてセフェピムとカルバペネム系
抗菌薬を比較した観察研究 48 では、セフェピムの MIC が SDD 領域にある場合にセフェピムで治
療すると、それが ESBL 産生株であれば全例死亡(10/10 例)したのに対して、非 ESBL 産生株で
あれば、死亡例を認めなかった(0/6 例)ことが報告されており、米国感染症学会(Infectious
Diseases Society of America: IDSA)による多剤耐性グラム陰性桿菌治療ガイダンス 40 ではこれを
引用して、SDD 領域の場合にセフェピムの使用を控えることを提案している。一方で、SDD 領域
であっても、高用量・長時間投与法で使用された場合に、カルバペネム系抗菌薬と比較して予後
が劣らなかったとする報告もある 49。また、MIC が SDD 領域にある場合に ESBL 産生株である
頻度は地域によって異なっており、ほとんど ESBL 産生株が含まれない地域もある 50。現時点で
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1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(3) 腸内細菌目細菌>(iii) AmpC 産生腸内細菌目細菌>
微生物学的診断
<プラスミド性 AmpC 産生菌と ESBL の鑑別法に関して>
セフメタゾールの場合には MIC≥16µg/mL、フロモキセフでは≥4µg/mL をプラスミド性 AmpC
産生のスクリーニング基準とすると最も ESBL との鑑別能が高くなるとする国内からの報告があ
り 46、セフメタゾール非感受性(≥32µg/mL)を基準とすると、プラスミド性 AmpC 産生株の半
数以上を見逃す可能性がある。
<プラスミド性 AmpC の確認試験について>
確認試験には表現型検査と遺伝子検査がある。表現型検査では、セファマイシン系抗菌薬が加
水分解されることによって、あるいはボロン酸やクロキサシリン等の AmpC 阻害剤の存在下で第
3 世代セファロスポリン系抗菌薬の感受性が回復することによってプラスミド性 AmpC の存在を
推定する。一方で PCR 等の遺伝子検査によってプラスミド性 AmpC 遺伝子の存在を確認するこ
とも可能である。
(別冊参考箇所:p.11-12)
1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(3) 腸内細菌目細菌>(iii) AmpC 産生腸内細菌目細菌>
治療方針
<SDD について>
用量依存的感性(susceptible dose dependent: SDD)とは通常用量・用法の抗微生物薬では臨
床効果が得られないが、投与量・頻度を増やした場合に臨床効果が期待される感性カテゴリーを
指す 47。
<セフェピムの MIC が SDD(4-8µg/mL)領域にある染色体性 AmpC 産生菌におけるセフェピ
ムの使用の是非について>
台湾で実施された Enterobacter cloacae 菌血症の標的治療においてセフェピムとカルバペネム系
抗菌薬を比較した観察研究 48 では、セフェピムの MIC が SDD 領域にある場合にセフェピムで治
療すると、それが ESBL 産生株であれば全例死亡(10/10 例)したのに対して、非 ESBL 産生株で
あれば、死亡例を認めなかった(0/6 例)ことが報告されており、米国感染症学会(Infectious
Diseases Society of America: IDSA)による多剤耐性グラム陰性桿菌治療ガイダンス 40 ではこれを
引用して、SDD 領域の場合にセフェピムの使用を控えることを提案している。一方で、SDD 領域
であっても、高用量・長時間投与法で使用された場合に、カルバペネム系抗菌薬と比較して予後
が劣らなかったとする報告もある 49。また、MIC が SDD 領域にある場合に ESBL 産生株である
頻度は地域によって異なっており、ほとんど ESBL 産生株が含まれない地域もある 50。現時点で
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