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【参考資料6】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 補遺 (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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(別冊参考箇所:p.21-22)
1. 入院患者の感染症で問題となる微生物>(4) 緑膿菌
<感染症法の定義する薬剤耐性緑膿菌と世界標準での MDRP との違い>
感染症法の定義する薬剤耐性緑膿菌の耐性と判定される MIC のカットオフ値は、米国臨床検査
標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute: CLSI)の定める判定基準に照らし合わ
せると、2011 年まで利用されていた基準が採用されており、現行の基準 87 とは異なっている。
<緑膿菌の β-ラクタム系抗菌薬への耐性機序と日本での疫学>
緑膿菌がカルバペネム耐性を示す場合には、①カルバペネマーゼの獲得及び産生、②外膜蛋白
OprD の欠損/変異による透過性低下、③多剤排出ポンプの過剰産生/変異による細胞質から細胞外
への汲み出し、のいずれかの機序が関与する。国内で最も頻度の高いカルバペネマーゼは IMP 型
であり 88、その他、近年では VIM 型 89 や GES 型 90 も報告されているが、本文に記載した通り、
カルバペネム耐性株のうちカルバペネマーゼ産生株は 10%未満に過ぎない。
<耐性緑膿菌感染症における新規 β-ラクタム系抗菌薬のエビデンス>
第 3 相試験までに難治耐性緑膿菌(difficult-to-treat resistance P. aeruginosa: DTR-PA)のよう
な高度耐性緑膿菌が対象症例に含まれることは稀である。これは、対照薬の設定が困難なためで
ある。市販後の耐性緑膿菌感染症を対象としてコリスチンやアミノグリコシド系抗菌薬を軸とし
た治療群とタゾバクタム/セフトロザン治療群を比較した観察研究(タゾバクタム/セフトロザン
群の症例数は 82-100 例程度)では、いずれの研究においてもタゾバクタム/セフトロザン治療群
で臨床的治癒率は上昇し、腎障害の頻度は低下することが示されている 91,92。一方で、レレバク
タム/イミペネム/シラスタチンに関しては、米国ではあくまで KPC 産生菌による感染症の治療薬
としての位置づけが大きく、世界的にも耐性緑膿菌感染症における治療経験がまだ少ない 93。従
って、既存薬(特にコリスチンやアミノグリコシド系抗菌薬)と比較した場合の治療成績や、治
療中の耐性化率等のデータは揃っていない。

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