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【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (64 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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市販流通する鶏肉から分離された大腸菌を対象に薬剤感受性試験を行った結果,国産鶏肉由来株の
方が高い耐性率を示したのはKM(国産35.7%,輸入8.3%),TC(国産46.9%,輸入19.4%),
ABPC(国産42.3%,輸入27.8%),CP(国産22.8%,輸入5.6%),ST合剤(国産29%,輸入
19.4%),SM(国産37.3%,輸入30.1%)であった。一方,輸入鶏肉で耐性率が高かったのはNA
(国産19.9%,輸入36.1%),GM(国産5%,輸入19.4%)であった。
2019年に健康者糞便から分離された大腸菌311株を対象に19薬剤を用いた薬剤感受性試験を行った
結果,いずれか1薬剤以上に耐性を示した株は39.2%であった。フルオロキノロン系薬剤に対する耐
性率は10%,CTX耐性率は5%程度であり、2015年から同じような傾向を示していた。IPM,MEPM
耐性株は認められなかった。プラスミド性コリスチン耐性遺伝子保有株2株(いずれもmcr-1 陽性)
が確認された。
2019年度の国内市販鶏肉129検体について、CTX耐性大腸菌の検出を目的にCTX薬剤含有培地直接
選択法を用いて調査した結果、鶏もも肉では検体数の内76.7%、および鶏むね肉では検体数の内
66.0%の肉からCTX耐性大腸菌が検出された。一検体当たりのCTX耐性大腸菌の含有菌数は最大で約
3.0logCFU/gであった。鶏肉の大腸菌がそのままヒトの腸内に定着するとは限らないが、上記のよう
に健康人由来大腸菌の約5%がCTX耐性菌(ほぼESBL遺伝子保持菌であった)であることからすると、
食物を介して耐性菌あるいは耐性遺伝子がヒトの常在細菌叢に入り込んでいる可能性も否定できない。
今後、各由来の耐性菌について、比較解析していく必要がある。

(4)環境
一般的に、人的活動による汚物は下水処理場等の生活排水処理施設で排水基準まで処理されて環境
(河川・海洋)へと放流される。ワンヘルス・アプローチに基づく環境 AMR で注視すべき対象は、
人的活動による汚物が下水処理場等の生活排水処理施設で排水基準まで処理されて環境(河川・海
洋)へと放流される環境水の中にどのような薬剤耐性菌(遺伝子)が存在し、我々の日常生活へどの
ように循環しリスクへと発展しうるのかを評価することにある。
現状、どの程度の薬剤耐性菌(AMR bacteria: ARB)およびそれらに由来する薬剤耐性遺伝子(AMR
gene: ARG)が環境へと排泄され負荷を与え続けているのかについて、定量的な報告はわずかであり、
系統だった全国調査が必須であると考えられる。そこで、本邦行政として継続的な環境 AMR 調査の
ため、厚生労働省科学研究費課題「環境中における薬剤耐性菌及び抗微生物剤の調査法等の確立のた
めの研究. 代表: 金森肇

H30-R02」の研究班が編成された。

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