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【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (85 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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建部らは JMDC 社のデータベースを用い, 2011 年 1 月~2013 年 12 月の期間で生後 1 カ月~5
歳の児を対象に,ピボキシル基を含有している抗菌薬と低血糖との関連を解析した 7. ピボキシル
基を含有している抗菌薬群 454,153 受診, それ以外の抗菌薬 417,287 受診が解析され, それぞれ
3,356 受診 (0.74% [0.71–0.76]), 2605 受診 (0.62% [0.60–0.65]) が低血糖と診断された. 多変量
ロジスティック回帰分析により, ピボキシル基を含有している抗菌薬群が低血糖を発症するオ
ッズはそれ以外の抗菌薬群に比べて 1.19 [1.13–1.25] 倍高いことが明らかになった (表 87). 低
血糖のリスクにおける調整オッズ比は, 7 日以内の投与で 1.17 [1.11-1.24], 8-14 日の投与で
1.22 [1.05-1.41], 15 日以上の投与で 1.57 [0.90-2.69] であった.

表 87: 低血糖と関連する危険因子 (多変量解析)
オッズ比

調整オッズ比

(95%信頼区間)

(95%信頼区間)

コントロール群

1.19 (1.13-1.25)

1.18 (1.12-1.24)

<0.001

女性

1.14 (1.08-1.20)

1.14 (1.08-1.20)

<0.001

1-2 歳

乳児

1.00 (0.90-1.12)

1.00 (0.96-1.10)

0.938

3-4 歳

乳児

1.37 (1.23-1.53)

1.36 (1.22-1.52)

<0.001

5 歳以上

乳児

1.32 (1.18-1.49)

1.31 (1.17-1.48)

<0.001

変数

対照

P値

抗菌薬
ビボキシル基を含む
抗菌薬投与
性別
男性
年齢

薬剤が供給されてからの日数
8-14 日

7 日以内

1.05 (0.97-1.13)

1.06 (0.98-1.15)

0.132

15 日以上

7 日以内

0.93 (0.71-1.20)

0.96 (0.75-1.28)

0.623

[小括]
小児・成人を問わず, 呼吸器感染症が抗菌薬適正使用における重要なターゲットであること,
また, 小児では第 3 世代セファロスポリンとマクロライド, 成人ではそれに加えてフルオロキノ
ロンの使用が目立っており, これらの抗菌薬を削減する必要があると考えられた. また, 政治的
な施策が抗菌薬適正使用へ及ぼした効果を検討した 2 つの報告が出版されたが, これらの研究
は今後の施策方針を決定していく上で重要である. 小児外来抗菌薬適正使用加算については対
象年齢が引き上げられたこともあり, 引き続き検証が必要である. さらに, ピボキシル基含有抗
菌薬の低血糖リスクを大規模な調査で示した報告が出版された. 国内で代表的に使用されてい
る第三世代セファロスポリンの多くはピボキシル基含有抗菌薬を含んでおり, 副作用の把握は
適正使用支援と密接に関わる問題である. 今後も, 抗菌薬副作用に焦点を当てた研究を行ってい
くことが望まれる.

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