【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (81 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html |
出典情報 | 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回 1/17)《厚生労働省》 |
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国内の抗菌薬適正使用に関わる研究について, 進捗状況を以下にまとめた. 診療請求情報
(レセプトデータ)を用いた日本全国の外来を対象とした研究のみを対象とし, 対象地域が限
定されている研究や, 抗菌薬使用量だけが解析されている研究は除外した. レセプトデータは,
厚生労働省が構築した NDB2,3,6 , 国民健康保険のデータベース 4, 複数の健康保険組合のレセプ
ト情報を組み合わせて構築された製品化されたデータベース (JMDC 社 の JMDC データベー
ス 1,7,9-15 や IQVIA 社の IQVIA Claims5) などが利用されていた. なお, 記載中の角括弧 ([ ]) で囲
まれている数字は特に記載のない場合, 95%又は 99%信頼区間を表す.
1. 抗菌薬適正使用総論
[過去の報告のまとめ]
吉田らは 2005 年 1 月~2014 年 9 月の期間において, JMDC データベースを用いて生直後か
ら 6 歳までの未就学児を対象に外来で処方された抗菌薬を検討した 1. 155,556 の小児について
1,492,548 受診を解析し, 急性気管支炎 (11.9%), 急性上気道炎 (10.1%), 喘息 (7.5%) に抗菌薬処
方が多いことを明らかにした. 本検討において, 高年齢, 男性, 診療所勤務, 小児科以外を標榜して
いること, 時間外受診が, 医師が非細菌性上気道炎へ抗菌薬処方する危険因子であった また, 宇
田らは同様の研究を, NDB を用いて小児 (15 歳以下) を対象に行っている 2. 本研究では, 2013 年
~2016 年を対象に 297,197,328 感染症受診が解析され, DOT の調査が行われた. その結果, 2016
年の 1 受診あたりの DOT は第 3 世代セファロスポリン (0.545) が最も高く, マクロライド
(0.517), ベータラクタマーゼ阻害剤を含まないペニシリン (0.182)と続いた. 対象疾患は上気道
炎 (全体の 54.6%)、下気道炎 (26.2%) で約 80%を占め, 続いて中耳炎 (4.2%), 皮膚感染症 (4.2%),
胃腸炎 (4.0%) であった. また, 胃腸炎ではホスホマイシン (41.6%), 中耳炎ではフルオロキノロ
ン (12.7%) 皮膚感染症では第 3 世代セファロスポリン (74.1%) がそれぞれ最も使用頻度の高い
抗菌薬であった.
[2020 年度に更新された情報]
橋本らは, 日本国内の外来で処方されている内服抗菌薬の種類や対象疾患について, NDB を用
いて解析した 3. その研究によると, 2012 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日の間で 659,333,605 の
感染症受診に対し 266,470,173 の抗菌薬が処方されており, 年間 89,600,000 人 (1,000 人口当た
り 704) に抗菌薬が処方されていた. 最も抗菌薬が使用されていた疾患は急性気管支炎であり
(1,000 人口当たり 184), 急性上気道炎 (166), 扁桃炎 (104), 胃腸炎 (41), 尿路感染症 (33), 皮膚
軟部組織感染症 (31) と続いた. 約 70%の抗菌薬が気道感染症と急性下痢症に使用されていた.
使用された抗菌薬は第 3 世代セファロスポリン (36.9%), マクロライド (28.8%), フルオロキノ
ロン (20.3%) で全体の約 85%を占め, 処方全体の 56%は通常抗菌薬が用いられない感染症に使
用されていた (表 84). この結果は, 同著者が国民健康保険のデータを利用して行った同様の研究
と大きく変わらない結果であった 4.
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